
2024年12月 / 今月のチェックマーク作品リスト
その月にリリースされたもので、チェックマークを是非とも付けておきたい作品(アルバム・EP・ミックステープなど)をピックアップする記事です。
今回は月末の作品も含みます。
ということで、12月は以下のラインナップとなっております。
Jayla Darden – 『MOMENTUM』
12/6リリース。デトロイト出身、LAを拠点に活動するR&Bアーティスト、Jayla Darden(ジェイラ・ダーデン)のEPです。
彼女はただのシンガーソングライターじゃなく、作詞作曲、プロデュースからエンジニアリングまで、ぜんぶ一人でこなす人物。人の作ったビートにしっくりこなかったことから、「じゃあ自分で作るしかない!」と、YouTube見ながら独学でスキルを身につけたのがキャリアの始まりだとか。
そんな彼女が放つ今作『MOMENTUM』は、タイトル通り、彼女がアーティストとして再び「勢い」をつけていく決意表明のような作品です。ここ数年、彼女は他の有名アーティストの楽曲を手がける裏方仕事が中心だったそうで、今作で再び自身のキャリアのハンドルをがっちり握り直したカムバック作となっています。
滑らかで、メロウな質感のR&B。ただ甘いだけではなく、ビート感がしっかりしている点も個人的に好きでした◎。
Smino – 『Maybe in Nirvana』
12/6リリース。セントルイス出身の多才なシンガー/ラッパー、Smino(スミノ)の最新アルバムです。
『Maybe in Nirvana』は単なる新作ではなく、大ヒットした前作『Luv 4 Rent』よりも前の2020年を通して制作されたものだそう。
本作は「タイムスタンプのようなもの」「クローズアップ・プロジェクト(区切りをつけるための作品)」と本人も語っており、過去の特定の時期(特にパンデミックの期間)に経験した個人的な感情や出来事を昇華させ、それらの感情に区切りをつけ、次の段階へと進むために不可欠だった「ある章の終わり」を告げる作品といえるかもしれません。
Smino印のソウル、ラップ、R&Bの心地よい融合はそのままに、サウンドは前作に比べてよりシンプルで落ち着いたプロダクションが際立ちます。ミニマルなトラックの上で、彼のボーカルは多彩な表情を見せています。Bun B、Ravyn Lenae、Thundercatなど、豪華なゲストが参加しているのにも注目したいです。
Redman – 『Muddy Waters Too』
12月24日リリース。ヒップホップ界のレジェンド、Redman(レッドマン)の待望のニューアルバム。1996年にリリースされた名盤『Muddy Waters』の続編ということもあり、長年のファンにとってはまさに感涙ものの作品です。
本作は、架空のラジオ局を舞台にした構成。Redman特有のユーモアと奇抜なキャラクターは健在で、古き良きヒップホップへのノスタルジーと現行サウンドが融合しています。
盟友Method Manとの楽曲や、Queen Latifahらが参加した豪華なコラボも聴きどころで、Redman自身が多くの楽曲プロデュースを手がけ、アーティストとしての健在ぶりも示しています。
様々な困難の中、10年以上制作に時間がかかったという本作。困難を乗り越えたことで多くの教訓を得たと感じているそうで、そんな経験があったからこそ、アルバムは現在のようなインパクトを持つことができたと感謝しているそうです。
彼は「新しいファンは求めていない」と公言していて、長年のファンへ誠実に向き合う姿勢も感動もの。彼のキャリアの集大成であり、人間的成長の記録、ファンへの感謝が詰まったこの一枚は、じっくり味わう価値のある大作です。