2024年9月 / 今月のチェックマーク作品リスト
その月にリリースされたもので、チェックマークを是非とも付けておきたい作品(アルバム・EP・ミックステープなど)をピックアップする記事です。
今回は月末の作品も含みます。
ということで、9月は以下のラインナップとなっております〜。
1.01sail – 『Structured Soul』
8/28リリース。日本のプロデューサー兼ギタリストである01sail(オーワンセイル)のデビューEPです。
90年代R&BやG-Funkといったブラック・コンテンポラリーサウンドをベースに、現代的なアプローチを加えたこの作品には、reinaやLil Summer、Áminaといったゲストアーティストが参加。
ニュージャックスウィングの影響を感じる粘りのあるリズムや、現代的なシンセサウンドが絶妙に組み合わさっていて、ビートだけとっても心地よさ全開です。
01sail自らがプロデュース、ミックス、マスタリングまで手がけたそうで、緻密なサウンドには懐かしさと新しさが入り混じっています。
2.RINI – 『Lucky 7』
9/6リリース。オーストラリアのメルボルンで生まれ。ロサンゼルスを拠点とするR&BアーティストRINI(リニ)の最新作。
本作は、彼自身の内省的な旅や経験をもとに、R&Bを基盤にしながらもファンク、ロック、オルタナティブの要素を取り入れた多彩なサウンドが展開されます。
特に、彼が子供の頃から影響を受けてきたギター音楽への愛情が強く反映されていて、R&Bとロックの融合が実現しています。クラシックなR&Bから一歩踏み出し、より実験的で挑戦的なサウンドを追求した意欲作です。
「このコンセプト全体は、自分のこれまでの道のりとか音楽キャリアを振り返るところから始まったんだよね。俺はオーストラリア出身で、2019年にアメリカに引っ越してきたんだ。それからずっと、まるでジェットコースターみたいな感じでさ。自分のことも、キャリアのこともいろいろ学んだよ。「Lucky 7」ってのは、この数年間に経験したこと、特に俺の人間関係について語ってるんだ。友達も何人か失ったし、一緒に仕事してた人たちとも別れた。そういう経験が俺を成長させて、アーティストとしても人間としても今の俺を形作ったんだよね。海外に出て、全部を賭けて、何か大きなものを掴みに行く――そのリスクを取るっていうのが、このプロジェクト全体のテーマなんだ。
コロナの時に海外から戻ってきて、アパート探しをしてたんだけど、めっちゃ苦労したんだよ。俺、海外から来たばっかだから、こっちでのクレジットスコアとかそんなに良くなくてさ。結局、スタジオシティでアパートを見つけたんだけど、それが7号室だったんだよね。で、友達が「おい、これ『Lucky 7』って呼ぼうぜ」って言ってさ、「ここが最後の望みだったけど、ちゃんと手に入ったじゃん」って感じで。EPに入ってる曲のほとんどは、そのアパートに住んでた時に作ったんだ。」Rated R&B
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3.Ye Ali – 『THJ Radio Vol.1』
9/6リリース。インディアナ州ハモンド出身のシンガーYe Ali(イェ・アリ)の新しいコンピレーション・プロジェクト『THJ Radio』。
本作はYe Aliがプロデューサー兼キュレーターとして、さまざまな新進アーティストや、R&Bシーンで活躍する熟練のアーティストを集めて制作した、コラボレーション色の強い作品です。
Tone Stith、Ant Clemons、Eric Bellingerなどの実力派アーティストが参加している他、Reggie BectonやBalladといった注目の若手もフィーチャーされています。アルバム全体が、一貫してスムーズで心地よいムードを醸し出しており、曲ごとに異なるボーカルやプロダクションが楽しめます。
4.Terrace Martin – 『Nintindo Soul』
9/13リリース。カリフォルニア・クレンショー出身のアーティスト/プロデューサー/マルチインストゥルメンタリストTerrace Martin(テラス・マーティン)の2024年リリースの2枚目のアルバム。
テラス・マーティンといえばジャズに造詣深いアーティストとして有名ですが、本作はネオソウルやR&Bのテイストが濃く、終始リラックスムードが漂っています。
とは言いつつもジャジーな曲「Love」でアルバムのラストを飾るなど、彼を構成する要素はもれなくギュッと詰まった作品でもあると思いました。
5.Quadry – 『Ask a Magnolia』
9/25リリース。ルイジアナ州バトンルージュ出身のラッパーQuadry(クアドリー)による、「青春時代の無邪気さと騒々しさをカタログ化したもの」と称されさた作品。
「Magnolia(マグノリア)」はルイジアナ州の象徴的な花であり、タイトルからも故郷への深い感情が感じられます。
個人的に好きなラッパー、Quadryの同郷バトンルージュ出身のラッパーWakaiや、コンプトン出身のラッパーBuddyがフィーチャーされているのもグッドポイントでした。
6.9th Wonder – 『ONE FORTY SEVEN』
9/27リリース。ノースカロライナの重鎮プロデューサー/DJの9th Wonder(ナインス・ワンダー)と、同じくノースカロライナのプロデューサーGIVE EM SOUL(ギブ・エム・ソウル)のコラボ作品です。
ジャズとヒップホップが見事に融合し、スムーズなビートと洗練されたプロダクションで、シンプルかと思えば、どこか荘厳な雰囲気も漂う不思議な魅力を持っています。
7.Doobie Powell – 『REMEDY』
9/27リリース。コネチカット州ハーフォード出身のミュージシャンで、卓越したキーボード奏者としても知られるDoobie Powell(ドゥービー・パウエル)の最新作。
複雑なジャズのアレンジ、ゴスペルの力強いボーカルなどが融合しつつ、R&Bやファンクの要素も折り重なる作品です。メロウな曲に関しては、特に音色が丁寧で、優しくも魂に刺さるように体を刺激します。