Summer Walker & J Cole「To Summer, From Cole – Audio Hug」を考察&解説 / 曲を通じて心のハグを送る歌
2023年5月19日にリリース。サマーのEP『CLEAR 2: SOFT LIFE EP』に収録された「To Summer, From Cole – Audio Hug」。シンガーSummer Walker(サマー・ウォーカー)とノースキャロライナ州ファイエットビル出身のラッパーJ. Cole(J.コール)のコラボソングです。
今回は「To Summer, From Cole – Audio Hug」の歌詞を読み解きながら、曲の内容を考察&解説していきたいと思います。
(※本記事は筆者の感想文が含まれます。あくまで考察としてお読みいただければと思います。)
「To Summer, From Cole – Audio Hug」はどんな曲?
この曲はコールのシャウトが主な内容となるEPのオープニングトラックで、コールからサマーに贈られる愛情深いメッセージが印象深いです。
サマーはコールと以前から一緒に曲を作ろうとしていたそうですが、互いの忙しさやサマーの妊娠でなかなか制作までに至らず…という経緯があり、そのあとでコールからサマー宛に送られてきた曲なのだそうです。
「”Audio Hug”っていうのを送ってくれたの。それで彼は…すごくスウィート。それを聴いたとき、私は泣いたわ。私が通ってきた苦労や困難を見てきたって言ってくれて。何か困ったことがあれば、いつでも彼に電話していいよって。それが、本当に素敵だった。」COMPLEX
「ヘイ、ミスウォーカー」と話し始めるコールは、Summer Walkerに対しての感謝と尊敬の気持ち、彼女の成功と、同時に直面するプレッシャーや困難について言及しています。
彼女を労う気持ちや気遣う心が感じられ、彼の優しさが滲み出ているのが魅力的です。
「To Summer, From Cole – Audio Hug」のリリックを深読みする
ここからは歌詞のいくつかを抜粋して、曲に込められた想いを紐解いていきます。
コーラス/Summer Walker:サマーとコールの深い友情
コーラス部分では、繰り返される「Call me when you need some love」(愛が必要な時は私に電話して)というフレーズが、支えとなる愛情や友情の存在を強調しています。
困難な時期においても、相手に対して常にそこにいること、支援を提供する準備があることを表しています。
ヴァース/J Cole:この曲を通じて心のハグを送るよ
Hey Ms. Walker
(やあ、ミス・ウォーカー)
Thank you for wantin’ a verse from me
(俺の詩を望んでくれてありがとう)
Apologies for the wait sometimes it’s hard to-
(待たせてしまってごめん)
Get the distraction up off ya’
(忙しさから抜け出すのがなかなか難しくて)
For enough time to jot your thoughts
(考えをまとめるのに時間がなくてさ)
But fuck it this mornin’ I gots to
(でも今朝は、やらなくちゃ)
I’m thinkin’ about ya
(君のことを考えてるよ)
I heard you just had you another lil’ baby congratulations
(君ががまた赤ちゃんを産んだって聞いたよ、おめでとう)
I hope you got through it with no complications
(何の問題もなく乗り越えられたことを願ってる)
I find it amazing the way that you juggle your kids the biz the fame
(君が子育てとビジネスと名声をうまくやりくりするのがすごいと思う)
The bitches that’s hatin’ they sit around waitin’ for you to fall off like the album I’m makin’
(嫌ってる女たちは、俺が作っているアルバムに対してのように、君が失敗するのをじっと待ってる)
But I hope that you takin’ a little time for yourself
(でも自分のために少しでも時間を確保できてるといいな)
Stealin’ a moment or two to unwind
(くつろぎのひとときを過ごそう)
Between the hectic sounds of your precious baby cryin’
(大切な赤ちゃんの泣き声の忙しい音の間で)
Do you clear your mind? Must be a lot goin’ on
(心をクリアにしてるかい?たくさんのことが起こっているに違いない)
I hear it in all of your songs
(君のすべての歌でそれを聞く)
Niggas been doin’ you wrong
(連中は君に間違ったことをしてきた)
Family been doin’ you wrong
(家族も君に間違ったことをしてきた)
On days you feelin’ like you on your own
(君が一人でいるような気がする日には)
I wrote this for you to put on
(心の支えにして欲しくてこの曲を書いたんだ)
Thank you for sharin’ your light your voice and writin’ them beautiful poems
(君の才能や美しい声、素晴らしい歌詞を書いてくれてありがとう)
Session 32 bring me to tears be gettin’ choked up when I hear it
(セッション32は俺を涙させ、それを聞くとむせび泣く)
Seem like I keep cryin’ off so much since a nigga had these kids
(子供ができてから、よく感情的になって泣くようになったみたいだ)
And I don’t know what it is that made me so sensitive
(何が俺をこんなに敏感にしたのかわからない)
More than I already was
(以前よりも)
But never mind that I’m back I’m sendin’ you this little audio hug
(でもそんなことはさておき、元気を取り戻したから、この小さなオーディオハグを送るよ)
In hopes that you smile forgettin’ the stress that piles from all the above
(上に積み重なるストレスを忘れて笑顔になることを願って)
The more that we hurt the harder we love
(俺たちが傷つけば傷つくほど、より一層強く愛する)
As soon as it’s gone we gotta re-up it’s just like a drug
(なくなったらすぐに再充電する必要がある、まるでドラッグのように)
If people knew half of the pressure they’d know that it’s hard to be her
(人々がそのプレッシャーの半分を知っていれば、彼女であることがどれだけ大変かを知るだろう)
I’m sendin’ you SZA & Ari my love
(SZAとアリにも愛を送るよ)
Y’all holdin’ us down y’all holdin’ the crowns
(みんなが俺たちを支えてくれている、みんなが王冠を持っている)
You ever need somethin’ from me don’t hesitate please
(俺から何か必要なことがあれば、ためらわずにさ)
Just hit me and I’ll be around I’m gone
(連絡して、そばにいるからさ、じゃあね)
ヴァース部分ではタイトルの所以である「この小さなオーディオハグを送るよ」とあるように、コールがサマーへの賞賛と感謝の気持ちを表現しています。
彼はサマーが子育てやキャリア・名声を携えているという、多忙な生活をどのようにこなしているかに感銘を受けています。彼女が直面する挑戦、特に他人からの批判や個人的な困難にも触れています。
コールは彼女の音楽、特に「Session 32」に感動したと言い、自分自身の感情(子供ができてから涙もろくなったことなど)についても語っています。
彼はまた、SZAとAri Lennoxに対しても言及し、彼女たちの音楽が現代のR&Bシーンを支えていると評価しています。この部分からは、音楽業界における女性の力を称え、彼女たちが直面する困難にも焦点を当てているように思います。
サマーだけでなく、SZAやAri Lennoxのような他のアーティストへの支持と敬意を示し、彼女たちが音楽業界で果たしている重要な役割を示した部分だと感じました。
まとめ
全体として、「To Summer, From Cole (Audio Hug)」は、困難な時期における互いの支持と、サマー・ウォーカーを称えた(音楽業界における女性アーティストの貢献を祝福する)曲です。
サマーが「それを聴いたとき、私は泣いたわ。私が通ってきた苦労や困難を見てきたって言ってくれて。」と語っていますが、リスナーにも(あなた自身にも)向けられていると思って聴いてみると、また深く刺さる曲だなと思います。
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