2023年3月 / 今月のチェックマーク作品リスト
その月にリリースされたもので、チェックマークを是非とも付けておきたい作品(アルバム・EP・ミックステープなど)をピックアップする記事です。
3月は以下のラインナップとなっております〜。
1. Kali Uchis – 『Red Moon In Venus』
コロンビア出身の歌手のKali Uchis(カリ・ウチス)の3作目のスタジオアルバム。Billboard 200で4位、BillboardのTop R&B/Hip-Hop Albumsで2位にランクインし、彼女にとって初のトップ10アルバムになったようです。
ロマンチックでソウルフル。ジャンルについてはあまり考えず、自身の伝えたいことを、自身の”ソウル”から歌っている作品なんだそうです。
「このアルバムにはたくさんのソウルが詰まっていると言えるわ。私にとって、ソウルは音楽の根底にある言葉なの。私は自分のソウルから歌って書いているから、だから私の音楽はすべてソウルミュージックとして捉えているのよ。創作するときにジャンルについてあまり考えないわ。それよりも、何を伝えたいかが大事なの。私はこのアルバムが時代を超えたものになること、ロマンティックなものになることが望んでいたの。そしてとても大切だったのは、愛のさまざまな側面を表現すること。下降も上昇も、平和な瞬間も、バラバラな時も、すべてよ。」NPR
2. Che Noir – 『Noir Or Never』
ニューヨーク州バッファロー出身のラッパーChe Noir(チェ・ノワール)のニューEP。プロデューサーBig Ghost Ltdのバックアップを受けた作品で、バッファローらしい、渋ーいブーンバップ作品です。D-Stylesのスクラッチが時折入ってくる感じもしかりです。
3. Jae Skeese – 『Abolished Uncertainties』
Che Noirと同じくバッファロー出身のラッパーJae Skeese(ジェイ・スキーズ)の新作です。彼は2010年秋にデビュー。ミックステープ『W.A.C.K. (Women, Alcohol, Cash & Kicks)』のリリースをきっかけに、Conway the Machineの”EMPIRE Distribution”インプリント(特定のアーティストやジャンルに特化したサブレーベルのこと)”Drumwork Music Group”と契約し、注目を浴びたアーティストです。
今作はそんな恩師、コンウェイとのコラボ曲があったりする12曲入りのプロジェクトで、ソウルサンプル系の曲があるのが個人的に好きなポイントです◎。
4. Conway the Machine – 『Pain Provided Profit』
そして上記紹介のJae SkeeseとConway the Machineコラボレート作品『Pain Provided Profit』。Conway the Machineはニューヨーク・バッファローのヒップホップシーンを牽引するグリセルダ・レコードの共同設立者でもあります。
煙たさ全開。Goose、SK da King、7xvethegeniusらが参加した 不穏な雰囲気のポッセカット「Food」もバッチリです。
5. Adi Oasis – 『Lotus Glow』
フランス・カリブ海出身のアーティスト、ブルックリンを拠点に活動するシンガー/プロデューサーのAdi Oasis(アディ・オアシス)のフルアルバム。
グルーヴィーなメロディ、R&Bやファンクの要素がふんだんに込められた、心地よいアンセムだらけの作品です。
6. Musiq Soulchild – 『Victims & Villains』
2000年初頭に起きたネオソウルムーブメントの先駆者であり、フィラデルフィア出身のシンガーソングライターMusiq Soulchild(ミュージックソウルチャイルド)の新作。西海岸のプロデューサー/ラッパーのHit-Boy(ヒット・ボーイ)とのコラボレーションプロジェクトでもあります。
Hit-Boyとのコラボレーションが実現した理由は、自然な流れで彼とコンタクトが取れたことから始まったそう。アルバム制作の当初は熱意を失っていたが、制作過程で再び情熱が戻ってきたんだとか。
7. Zo! & Tall Black Guy – 『Abstractions (Deluxe Edition)』
デトロイトのプロデューサー、Zo!とTall Black Guyによる、2021年リリースのコラボレーションアルバム『Abstractions』のデラックス版。オリジナルの9曲のほか、2曲の新曲と3つの新リミックスが追加されています。
8. 9th Wonder – 『Zion VIII』
ノースカロライナのレジェンドP、9th Wonder(9thワンダー)が毎年リリースしているビートテープシリーズ「ZION」の最新作です。今作はLAの人気グループMoonchild(ムーンチャイルド)のAmber Navran(アンバー・ナヴラン)とのコラボレーションが数曲収録。
9th Wonder特有のソウルフルビート、アンバーの化学反応が楽しめる他、お馴染みのビート集もガッツリと収録されています。
9. Reel People – 『Love2』
イギリス出身、2000年にレコードストアのマネージャーであるOli Lazarus(オリ・ラザラス)が立ち上げた音楽プロジェクトReel People(リアル・ピープル)の10年以上ぶりとなるオリジナルアルバム。
コアメンバーOli Lazarus、Mike Patto、Toni Economidesがプロデュースしたという10曲からなる本作は、メロディアスな極上サウンドで、心地よさ全開です。アルバムアートワークに描かれているようなサンセットシーンで聴きたい作品です。
10. Hit-Boy – 『SURF OR DROWN』
上記に紹介したミュージックソウルチャイルドとのコラボもしている、Hit-Boy(ヒットボーイ)の最新プロジェクト。最近ではNas(ナス)との『King’s Disease』シリーズ(グラミー賞も受賞)でも話題になっているプロデューサー/ラッパーです。
そんな化学反応を起こしているNasをはじめ、Curren$y、Spank Nitti James、Devin Morrison、James Fauntleroyなどのゲストが参加。ゲストとの絡み方、活かし方が巧妙と言わざるを得ないなーと思いました。
11. Kota the Friend – 『To See A Sunset』
ブルックリン出身のインディラッパーKota the Friend(コータ・ザ・フレンド)の新作。マサチューセッツ州ボストン地域出身のプロデューサーStatik Selektah(スタティックセレクター)とのコラボです。スタティックとは以前にも『To Kill a Sunrise』という作品でコラボしてますね。
メロウなブームバップサウンドはさすがといったところで、レイドバックなKotaのフロウの良さが最大限に活きてる気がします。まさに「To See A Sunset」したくなる作品です。
関連記事:ブルックリンのインディーラップアーティストKota the Friendとは
12. Benny Reid – 『The Infamous Live』
ニューヨークを拠点に活動するサックス奏者で作曲家のBenny Reid(ベニー・リード)が、90年代の名作であるMobb Deep(モブ・ディープ)『The Infamous(1995)』を再構築した一作。サンプルせず、一から構築したものだそうです。
本作はMobb DeepのHavoc(ハヴォック)のお墨付き。というのも、2019年にリリースしたベニー・リードによるエリックB&ラキムの「Follow The Leader」カバーがビルボードチャートに入ったのがきっかけで、そのカバーを聞いたMobb DeepのHavocが彼の才能に感銘を受けたのだそう。
『The Infamous Live』は、Havocからアドバイスを受けながら、一緒に作り上げられたものなのだそうです。
当たり前ですが、めっちゃくちゃに質の高い作品だと思います。
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