2023年1月 / 今月のチェックマーク作品リスト

その月にリリースされたもので、チェックマークを是非とも付けておきたい作品(アルバム・EP・ミックステープなど)をピックアップする記事です。

2023年一発目。今年も何卒よろしくお願いいたします。1月は以下のラインナップとなっております〜。

1.Nakkia Gold – 『Like Girls』


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こちらは昨年12月の初めにリリースされた作品ですが、滑り込みで紹介させていただきます。ロサンゼルス出身のシンガーソングライターNakkia Goldの12曲入りプロジェクト。

LGBTQ+アーティストと公言している彼女は、力強くもパーソナルで忠実なリリックを発信し、注目が集まっているようです。

「自分らしさを恐れず、声を大にして生きることがとても大切だと感じているんだ」Hype Magazine

レイドバックながらも、エナジーも感じられるR&B。かなり個人的にも好きですね。

2.Oddisee – 『To What End』


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メリーランド州出身でブルックリンを拠点に活動しているラッパー/プロデューサーのOddiseeの、2017年の『The Iceberg』以来、10枚目のソロアルバム。

フィーリングッドなトーン・流れの中に多様性あり◎。時たま来る「Bartenders」のようなブーンバップや「People Watching」のようなしぶとい曲にも痺れる作品でした。

3.Shane Sounds – 『Apostolos』


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カリフォルニアのベイエリア出身のプロデューサー/DJ、Shane Soundsのプロジェクトです。彼は「ヒップホップの黄金時代の信奉者」で、本作にフィーチャーしているアーティストはその黄金時代を蘇らせるにふさわしい面々ばかり。

故Sean Priceの弟子であるRimにコンタクトを取ったことから始まり、Eddie KaineやSpillsなどの新進気鋭のラッパーをはじめ、Masta Ace、Planet Asia、A.G.(D.I.T.C.)、Geechi Suede(Camp Lo)など、レジェンドたちまでもが集う豪華さ溢れる作品です。

何を隠そうShane Soundsのプロダクションが間違いないですね。

4.Vedo – 『Mood Swings』


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ミシガン州ベントンハーバー出身でアトランタにもルーツを持つR&BシンガーVedoの6枚目のフルアルバムです。

「音楽はそれ自体で語ってくれるし、僕たちはただ皆さんに感じて欲しいだけなんだ…どんな感情やムードであれね。」Lyrical Lemonade

「Mood Swings」というタイトルにふさわしいコメントを残していて「リスナーに委ねる」というのはリリックの解読難易度が高い外国人にも嬉しいコメントに感じます。

5.Declaime & Madlib – 『In The Beginning (Vol. 3)』


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カリフォルニア州オックスナード出身の二人、で長年のコラボレーターであるDeclaimeとMadlib(Declaimeが9歳の頃からの知り合いだそう)の未発表曲満載コレクションシリーズ『In The Beginning』の第三弾。

1993年から96年にかけて録音されたという楽曲で構成された本作は、とにかく激渋。僕の好きなプロデューサーのエリック・サーモンや、ロードフィネスなどのスモーキーさやファンキーさも感じられて、個人的にも◎◎◎でした。

6.Reuben Vincent – 『Love Is War』


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9th Wonder率いるレーベルJamla Recordsの新鋭ラッパーReuben Vincentのデビューアルバム。「Love Is War(愛は戦争だ)」と直球なタイトルが名付けられた本作は、「愛とは常に戦いであること」「自分を正しく愛すことで他人も正しく愛せる」などのメッセージが込められているのだとか。

「自分を愛する方法がわからないと、正しい方法で人を愛することができない。Love Is Warはそれを解決してくれる。この2年間で、俺は自分自身について多くを学んだけど、まだ学ぶべきことが沢山あるんだ。俺のゴールは自分自身を正しく愛することであり、それは(内面的にも外面的にも)探求することで得られるもの。だから、アルバムのタイトルを『Love Is War』にしたんだ。人生の中心に到達するためには、常に戦わなければならないからね。俺たちは皆、愛することも愛されることもできる場所に到達するために、自分自身と戦っているのです。」BroadwayWorld

9th Wonderプロデュースの「2ime Files」や、ノースカロライナ州ウィンストン・セーラム出身のシンガーでマルチインストゥルメンタリストのSonny Milesをフィーチャーした「Look What You Did」など、メロディアスな曲が垣間見えるのも◎でした。

関連記事:Jamla Recordsの注目新鋭ラッパー「Reuben Vincent(ルーベン・ヴィンセント)」

7.Luke Bar$ – 『Angels Never Die』


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マサチューセッツ州ブロックトン出身、ラップコレクティブ「Van Buren Records」のメンバーでもあるラッパーLuke Bar$の新作です。

甲高く荒々しい特徴的な音色を放つLuke Bar$のラップを基本として、今作はエッジの効いたビートが特に多い印象。かっこいいです。

8.Boldy James & RichGains – 『Indiana Jones』


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デトロイト出身のラッパーBoldy Jamesと、シカゴのプロダクションデュオBlended Babiesの片割れであるRich Gainsのコラボ作。つい1ヶ月前Cunsとのアルバムをリリースしたばかりですが、また一味違った彼の音楽を味わえます。

ちなみにBoldy Jamesは、今年に入って脊椎を骨折する重大な事故に巻き込まれたそうですが、現在は回復してきているそうです。

9.Kota the Friend – 『Lyrics to GO, Vol. 4』


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ブルックリン出身のラッパーKota the Friendの2020年から続く『Lyrics to GO』シリーズの第四弾です。

Lyrics to GOは「曲」というよりも「アイデア」を集めた短編集のようなもので、今作も例に漏れず10曲16分と短くまとまってます。聴き込むというより、サクッと聴くのに向いてるかもしれません。

関連記事:ブルックリンのインディーラップアーティストKota the Friendとは

10.Dende – 『Before We Crash』


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オースティン生まれ、テキサス州ケイティ育ちの若手シンガー/ラッパー/インストゥルメンタル奏者/プロデューサーDendeの最新プロジェクト。6曲入りの短めEPで、シンガーErykah Officerとアトランタ出身のラッパーDeante Hitchcockのフィーチャーを含んでいる作品です。

甘く、魅惑的な楽曲がギュッと詰まっております。

11.Jane Handcock – 『World Of Women』


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カリフォルニア州オークランド生まれ、ベイエリア育ちのR&BシンガーソングライターJane Handcockの最新プロジェクト。昨年NFT(デジタル資産の保有証明書)として発売したプロジェクトで、今年になってストリーミング配信が解禁されています。

スヌープ・ドッグが新たに再結成したデス・ロウ・レコードからのリリースということで、スヌープがフィーチャーされた楽曲も多く盛り込まれています。

ソウルフルで甘美。耳に心地よき作品です。

12.Lil Yachty – 『Let’s Start Here』


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ジョージア州メーブルトン出身のラッパーLil Yachtyの最新アルバムです。

「僕の新しいアルバムはラップじゃないアルバムなんだ」billboard

と彼自身が昨年語っていた通り、「Lil Yachty」と聞いて思い浮かぶ作品とは到底雰囲気の違うものが発表されました。

「アーティストとして真剣に受け止めてもらいたかった…ただのSoundCloudのラッパーでもなく、マンブルラッパーでもなく…」Twitter

伝説的ヒップホップバンドThe Rootsのフロントマンであり、アカデミー賞受賞の映画監督でもあるQuestloveも「俺がこれまで目撃したどの音楽キャリアよりも、特にヒップホップの傘下で最も驚くべき変遷だったかもしれない」「こういう(限界を超えるような)ことがあると、音楽の未来に興奮するんだ。」と絶賛し、界隈をざわつかせている作品であります。

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