2023年11月 / 今月のチェックマーク作品リスト
その月にリリースされたもので、チェックマークを是非とも付けておきたい作品(アルバム・EP・ミックステープなど)をピックアップする記事です。
今回は10月末の作品も含みます。
ということで、11月版は以下のラインナップとなっております〜。
- 1.Eneeks - 『G.I.N.A』
- 2.Ojerime - 『The Interludes』
- 3.Mariah the Scientist - 『To Be Eaten Alive』
- 4.Sol ChYld - 『Something Came To Me』
- 5.Jor'dan Armstrong - 『Church Girls Love R&B - Girls Trip II』
- 6.Elaquent - 『Rediscovery』
- 7.Queen Naija - 『After the Butterflies』
- 8.H31R - 『HeadSpace』
- 9.lojii - 『STARTER_PACK』
- 10.Zenesoul - 『Fantasy』
1.Eneeks – 『G.I.N.A』
サウス・ロンドンのアンダーグラウンド・シーン、ニュー・ソウル・ヒップホップに傾倒するアーティストEneeks(エネークス)のニューアルバム。
G.I.N.Aは「God Is Never Absent(神は決して不在ではない)」の略。2年の歳月をかけて入念に制作されたそうで、メロウとクールのグラデーションが際立つ作品です。
2.Ojerime – 『The Interludes』
南ロンドン出身のシンガーソングライターOjerime(オージェリメ)の最新EP。プロジェクトの4曲全てが「Interlude」という真新しい組み合わせからなっています。
滑らかで少しダークな雰囲気も漂う、ゴシック&エレガンスな作品です。
3.Mariah the Scientist – 『To Be Eaten Alive』
ジョージア州アトランタ出身のシンガーソングライターMariah the Scientist(マライア・ザ・サイエンティスト)の最新作。
このアルバムは、彼女自身のサソリ座の性格を表すメタファーなのだそうで、アルバムタイトル「To Be Eaten Alive(生きたまま食べられる)」もサソリ座の特性が由来しているのだとか。
「私みたいなサソリ座の人間って、基本的に非社交的で単独行動派だよね。めったに人と絡まないし、交際とか特別な時くらいかな。で、華々しいライオン座の人から見ると、私たちサソリ座はちょっとしたもんに過ぎないかも。不思議とお互いに惹かれ合って、予測不能な組み合わせになるけど、お互いのユニークな違いに対して尊敬の念を持つことになるんだよ。」Rated R&B
「ライオン座もサソリ座も、生まれながらのハンターだよね。この絆を築くには、犠牲、信頼、そして自制心が必要だよ。毒を持つサソリ座にとって、生きたまま食べられるってことは、それ自体が攻撃になるんだ。」Rated R&B
4.Sol ChYld – 『Something Came To Me』
ニュージャージー州カムデン出身のヒップホップアーティストSol ChYld(ソル・チャイルド)の新作EP。TikTokなどのプラットフォームで流行した楽曲「NBC」をはじめとする9曲で構成されています。
シームレスなラップと雰囲気のある声色、渋めのサウンドの折り重なりがグッドバイブスを醸し出しています。
5.Jor’dan Armstrong – 『Church Girls Love R&B – Girls Trip II』
ゴスペル・ミュージック業界での活躍で知られる、ルイジアナ州バトンルージュ生まれのミュージシャンJor’dan Armstrong(ジョーダン・アームストロング)の新作です。
7月に最初に、リリースされた全3作あるという『Church Girls Love R&B – Girls Trip』シリーズの第二弾。甘い歌声と、スムースなメロディー好きに最適です。
6.Elaquent – 『Rediscovery』
カナダのプロデューサー、Elaquent(エラクエント)の14曲入りプロジェクト。これまでの作品中でもより洗練された最高の作品であると本人も語る一作で、彼の現時点でも集大成が詰まった作品とも言えそうです。
「これまでで最高の作品を期待してほしい!自分のサウンドが成長し、成熟したように感じる。エラクエントの古いアルバムのいくつかは、振り返ってみると、少し過剰にプロデュースされ、多くのことをやろうとしすぎているように感じることもあった。このアルバムの仕上がりには本当に満足しているし、同時に、自分を幸せにしてくれるものや、そもそもなぜ音楽を好きになったのかを再発見するというアイデアにもつながっている。レコードをまとめるのは、ここ数年で一番楽しかった。」Grown Up Rap
また、このアルバムを通して「俺という人間をもっと理解してもらいたいんだ。」とも語っています。
7.Queen Naija – 『After the Butterflies』
ミシガン州イプシランティ生まれのシンガーソングライターQueen Naija(クイーン・ナイジャ)の最新EPです。客演にはラッパーYoungBoy Never Broke Againのほか、Monica、Eric Bellinger、Ella Maiなど、R&Bサイドの彩りも豪華。
総じるゴージャスな質感と、Queen Naijaのソウルフルなヴァイブを感じられる作品です。
8.H31R – 『HeadSpace』
ニュージャージー出身のプロデューサー/コンポーザーJWordsと、ブルックリン出身のラッパー/ヴォーカリストmaassaiからなる実験的エレクトロニック・ヒップホップ・デュオH3R1の2ndアルバムです。
「実験的エレクトロニック・ヒップホップ・デュオ」というだけある、複雑かつウォンキーなサウンドが魅力の一つ。未来的な高解像度感もありつつ、どこかLo-Fiな雰囲気も醸し出している点にも不思議な引力を感じます。
9.lojii – 『STARTER_PACK』
ペンシルベニア州フィラデルフィア出身のアンダーグラウンド・ラッパーlojii(ロジー)のEP。本作はアートーワークにも描写されているブランド「Starter/スターター(1971年創業のアメリカのアパレルメーカーで、ヒップホップ界を中心にポップカルチャーのアイコンとなった)」へのオマージュで、リスナーのハッスル精神を鼓舞し、モチベーションを高めることを意図しているのだそうです。
スターターは、「身につけるだけで羨まれたけど、それは同時に危険も伴ってた。」と語られています。そんな背景があるが故に生まれる「ピリつき」と「闘争心」から生まれる、エネルギーの一端を感じられる作品とも言えるかもしれません。
「俺たちは、スタータージャケットが命に等しい時代の連中さ。
手に入れるのは簡単じゃなかったから、それが俺たちをハッスルさせるきっかけになったんだ。
身につけるだけで羨まれたけど、それは同時に危険も伴ってた。
血に飢えた狼たちがそれを奪いに来るんだ。
だから、それを着て輝こうと思ったら、外に出て恐怖と向き合わなきゃならなかったんだ。でもな、俺たちはそれを生き抜いた。
欲しいものを手に入れるための意欲をずっと保ってきた。
何十年たっても、今追いかけてる夢に対しても、同じエネルギーを注いでる。
あのジャケットは始まりの触発だったんだ、俺たちのスターターパックってわけさ。このプロジェクトは、それへのオマージュだよ。
君のハッスルのためのサウンドトラックを作ったんだ。
諦めないでくれよな、どんなに時間がかかっても、
どんなにゲームが危険になっても、
君が追いかけてる夢が何であれな。」bandcamp
10.Zenesoul – 『Fantasy』
カナダのブランプトン出身のR&B/ネオソウル・アーティストZenesoul(ゼネソウル)の9曲入りEPです。
作品のハイライトソングの一つ「Love Island」では、人生の旅と愛の探求の複雑さを肯定的な視点から表現。
Hi everybody
(みんな、こんにちは)
My name is Zenesoul
(私の名前はゼネソウルです)
And I’d like to welcome you
(そして、皆さんを歓迎したいと思う)
Like to welcome you beautiful people
(美しい人々を歓迎したい)
You beautiful souls on this ride
(この旅に出る美しい魂たち)
We’re going somewhere
(私たちはどこかへ行く)
Some of ya’ll been here before
(あなたたちの中には以前ここに来た人もいる)
Some of ya’ll never been here before
(そして、ここに来たことがない人もいる)
And I hope this ain’t no short trip
(そして、これが短い旅でないことを願っている)
I hope you plan to stay here forever
(永遠にここに留まるつもりでいてほしい)
Forever
(永遠に)
Enjoy
(楽しんでね)
と歌い、ゼネソウルによるリスナーへの心温まる歓迎と鼓舞のメッセージも表現されています。
全体的にソウルフルで情熱的な歌声・サウンドが楽しめますが、上記のようなメッセージの力もその要因の一つなのでしょうね。