【Back to 90s】SWVのアルバム『Release Some Tension』を紹介

「黄金期」と呼ばれた90年代を振り返るシリーズを書こうと思い立ったので、ピックしたアルバムを紹介します。

今回はニューヨークの女性R&Bトリオ「SWV」の3rdアルバム『Release Some Tension』。アルバム内のヒット曲と、個人的に好きな曲を掘り下げます!

SWVとは

SWV(エスダブリューブイ)は、ニューヨーク出身。Cheryl (Coko) Gamble(シェリル(ココ)・ギャンブル)、Tamara (Taj) Johnson(タマラ(タジ)・ジョンソン)、Leanne (Lelee) Lyons(リアン(リー)・ライオンズ)の3人からなる、女性R&Bトリオ。

1988年にゴスペル・グループとして結成され、1992年に楽曲「It’s About Time」でデビュー。マイケル・ジャクソンのヒットソングサンプルを使った「Right Here」のリミックスや、「I’m So into You」、「You’re the One」などのヒット曲でも有名。

90年代のR&Bシーンの代表的な三人組であり、93年のデビューアルバムは、「グラミー賞」「アメリカン・ミュージック・アワード」「ソース・アワード」にもノミネート。また「チルドレンズ・チョイス・アワード」や「BET ベスト・オブ・ビデオ・ソウル」賞も受賞しています。

また、全世界で2500万枚以上のレコードを販売した実績を持ち、史上最も売れたガールズ・グループの一つとも言われています。

98年には一度解散しましたが、2005年に再結成。現在でも3人現役でステージに立ち、ファンを魅了し続けています。

SWVの3rdアルバム『Release Some Tension』

今回ご紹介するのは彼女達の3rdアルバム『Release Some Tension』。1997年8月12日にRCAレコードから発売され、アルバムには以下のゲストが参加しています。

  • E-40
  • Puff Daddy
  • Missy Elliott
  • Timbaland
  • Foxy Brown
  • Lil’ Cease
  • Lil’ Kim
  • Snoop Dogg
  • Redman

「都会的な窮屈さから抜け出し、自分たちのヒップホップのルーツに戻ろうとしている」と言われた作品で、フィーチャーアーティストの面から見てもその様相が伺えます。

それまでヒットを与えてくれたプロデューサーやライター陣を刷新して、前作からの期待の逆風を乗り越えようとした作品のようですね。

アルバムは50万をセールスし、ゴールドディスクに認定されています。

『Release Some Tension』のヒットソング

Rain

『Release Some Tension』の4枚目のシングルとしてリリースされた曲。米ビルボードホット100シングルチャートでは25位を記録し、ホットR&Bシングルチャートでは7位を記録しています。

この曲はChingy「Pullin’ Me Back」や、Rick Ross「Summer Reign ft. Summer Walker」でもサンプリングされているのですがどちらも良いです。合わせてどうぞ。

Chingy – Pullin’ Me Back

Rick Ross – Summer Reign ft. Summer Walker

Someone

アルバムのセカンドシングルとしてリリースされた一曲。アメリカのラッパーでありプロデューサーでもあるショーン・コムズがゲスト出演しています。

米ビルボードホットR&Bシングルチャートでは5位、ビルボードホット100では19位を記録。カナダ、ニュージーランド、イギリスでもヒットしました。

この曲はThe Notorious B.I.G.のアルバム『Life After Death』(1997)に収録されている「Ten Crack Commandments」を大胆にサンプリング。ビギーの親友ならではなのかは分かりませんが、どこか「ショーン・コムズワークス」がひしひしと感じられる、ヒップホップライクな曲です。

The Notorious B.I.G. – Ten Crack Commandments

Can We

ゲストボーカルにミッシー・エリオット、プロデュースにミッシー・エリオットとティンバランドが加わっている曲です。

「Can We」はSWVのアルバムに収録される以前に、1997年の映画「Booty Call」のサウンドトラックに収録されてヒットした曲です。

Booty Call Trailer

映画の効果もあってか、ラジオなどでは大々的に放送され認知度はあったものの、CDやカセットなどシングルとしては手に入れられなかったのだとか。しかし、映画のサントラに収録されたことでチャートインを果たした曲なのだそうです。

Lose My Cool

アルバムのサードシングルとしてリリース。ラッパーのレッドマンをフィーチャーした曲です。

この曲は、当時のアルバムカットに関するルールによってチャートインできなかったのだとか。しかしながら、後にビルボードR&B/Hip-Hopエアプレイチャートには登場して31位を記録したそうです。

ちなみにミュージックビデオはWu-Tang ClanのGZAと、Wu-Tangのビデオを多く手掛けた映像作家Chase Johnston-Lynchが監督したそう。

個人的に好きな曲「Love Like This」

アルバム4曲目に収録の、ラッパーのLil’ Ceaseをフィーチャーした曲です。Jeff Lorber Fusionの「Rain Dance」をサンプリングした曲であり、Lil’ Ceaseのラップを添えている点から、Lil kimの名曲「Crush On You」と比較される事が多いようです。

Jeff Lorber Fusion – Rain Dance

アルバムでは7曲目にLil kimをフィーチャーした「Give It Up」を収録していることもあり、(おそらく「Crush On You」に酷似しているのも相まって)「革新的ではなく派生的に感じられる」と評価する声も上がっている様子。

Lil’ Kim ft. Lil’ Cease – Crush On You

ただ個人的にはSWVのハイトーンな歌声が入るだけで、雰囲気がガラッと変わっていて好きだし、甲乙つけるものでもないかなと思っています。どちらも良い!

最後に

SWVのアルバム『Release Some Tension』を紹介しました。

海外のレビューで「このアルバムは『Rap All-Stars featuring SWV』とすべきだったと思います」というコメントがあって、大胆…さすがアメリカ…と思ってしまいました(笑)アルバムへの皮肉が込められていたのかもしれませんが。

そして、それだけヒップホップに寄ったアルバムだったんだなって事が改めて知れました。深い!

最後までお読み頂いた方、ありがとうございました!

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