Rapsody「3:AM ft. Erykah Badu」を考察&解説 / パートナーへの深い愛と感謝を歌う曲

ノースカロライナ州ノースヒル出身のラッパーRapsody(ラプソディ)の楽曲「3:AM」。Erykah Badu(エリカ・バドゥ)をフィーチャーしたこの曲は、ラプソディのパーソナルな思いが込められており、特別で幸せな時間を過ごすパートナーとの深い絆を、エリカ・バドゥの情緒豊かな歌声とともに表現しています。

今回は、この「3:AM ft. Erykah Badu」の歌詞の内容を詳しく考察・解説します。

(※本記事は筆者の感想文が含まれます。あくまで考察としてお読みいただければと思います。)

Rapsodyの「3:AM ft. Erykah Badu」はどんな曲?

この曲は、パートナーへの深い愛と感謝を歌うラブソングです。相手との時間がどれほど特別で幸せなものであるかを表現し、その関係がとても深いものであることを強調しています。

パートナーと過ごす時間の楽しさや、互いに信頼し合い支え合う様子、パートナーとの将来を夢見て子どもの名前を考えたり、様々な思い出を振り返る場面が描かれています。

2012年の『The Idea of Beautiful』に続く、ラプソディの4枚目のニューアルバム『Please Don’t Cry』からの3枚目のシングルカット。ラプソディ自身も「アルバムで一番好きな曲」と語っています。

彼女にとってとてもパーソナルな曲であり、情緒豊かな表現をするための歌声を求め、行き着いたのがエリカ・バドゥだったのだとか。

とても個人的な曲だから、ラップのヴァースはあまり使いたくなかったんだ。ソウル・ミュージックが持つ感情を呼び起こすために、多くのシンガーを起用したかったんだけど、私は歌えないからね。だからどの曲も、まず私が歌い、レコードと一緒にライブをしながら、”このストーリーを完成させるためには誰の声が必要だろう?”と話し合った。それで、バドゥの名前が最初に浮かんだんだ。曲を聴いてみて、彼女の声がぴったりだと思った。彼女が快く引き受けてくれて、本当に感謝してるよ。UPROXX

また、「3:AM」制作には10カ月ほどかかったそうで、尊敬するエリカがどのようにレコードを作り上げていくのか、「その過程を見ることができたのはありがたかったし、そうすることで自分も成長できた。」と語っています。

エリカ・バドゥが毎年ダラスで開催しているバースデー・バッシュ・コンサートでのライブ・パフォーマンス映像もあるので、合わせてぜひ。

Rapsody – 3:AM (Live Performance) ft. Erykah Badu

Rapsodyの「3:AM ft. Erykah Badu」を深読みする

ここからは「3:AM」の歌詞の内容を、和訳を用いながら考察していきます。

※ここでは直訳ではなく、独自の解釈を含んだ意訳も含む場合があります。ここでの解釈が正解と思わず、「考察」「感想文」程度にお読みくださいますようお願いします。

ヴァース1:Rapsody / あなたは私の心の支えになる存在

You make me feel like a virgin (Yeah), new person (New person)
You make me pull back the curtains (I love it)
I’m not afraid to share with you what hurt me (Right)
You feel like a healer (Uh-huh), I know I’m imperfect
Though you make me feel like Jesus (You do)
Or how God sees us (Huh)
Not afraid to show my insecurities like Issa (Right)
Love makin’, booty clappin’ like Netty and Ceile (Netty and Ceile)
Netflix askin’ if we still watchin’ TV (No)
Intoxicated, nauseous off your love, got me throwin’ up emotions I kеpt secret (Safety)
That’s how I know you carе, everything I hid, you always peeped it
When it’s darkest we always attract the brightest people (Uh-huh)
Baby, you a light (A light)
You shift my whole world to the right
Nothin’ left but

Lyric

あなたは私を新しい人のように感じさせる
あなたはカーテンを引っ張るようにさせる
あなたに傷ついたことをシェアするのが怖くない
あなたは癒し手のように感じる 私は不完全だと知ってる
でもあなたは私をイエスのように感じさせる
神が私たちを見るように
イッサのように私の不安を見せるのが怖くない
愛を作る、ネティとセリーのようにお尻を弾ませて
Netflixがまだ見てるか聞いてくる
あなたの愛に酔って、感情を吐き出している
それであなたが気にかけてくれていると分かる、隠していたものはいつも見抜いてくれた
一番暗い時にいつも明るい人を引き寄せる
ベイビー、あなたは光
あなたは私の世界を右にシフトさせる
他には何も残らないけど

ここではパートナーによって自分が新しい人間のように感じ、心を開ける存在であり、隠していた傷をもシェアすることができると述べています。パートナーは癒し手のようで、歌い手の不完全さを受け入れ、安心感を与えます。

二人の関係は深く親密で、愛情が溢れているのが感じ取れます。

「You make me pull back the curtains(カーテンを引っ張るようにさせる)」

この部分は「心の奥底に隠していたものをさらけ出すこと」と解釈。つまり、ラプソディがパートナーの前で本当の自分を見せられるようになったということを意味しています。

「Love makin’, booty clappin’ like Netty and Ceile(愛を作る、ネティとセリーのようにお尻を弾ませて)」

この表現は、映画『カラー・パープル(The Color Purple)』のキャラクターであるネティとセリーのような親密な関係を指していると思われます。

「booty clappin」は、特に女性がヒップ(お尻)を動かして拍手のような音を出す、セクシャルなダンスだそうですが、ここでは親密で深い絆を強調するための比喩として解釈しています。

「You shift my whole world to the right(あなたは私の世界を右にシフトさせる)」

この部分は、「パートナーが自分の人生を良い方向に導いてくれる」というのを示していると解釈。

最後の一文「Nothin’ left but(他には何も残らないけど)」も同じ文脈で、パートナーのおかげで全てが正しい方向に変わった(その結果、他に望むものは何もない、すでに満足している=他には何も残らない)ことを強調しています。

Issa(イッサ)

「イッサ」というのは、アメリカの女優兼コメディアンであるイッサ・レイ(Issa Rae)を指していると思われます。彼女はHBOのドラマシリーズ「インセキュア(Insecure)」で知られ、この作品では多くの人々の不安や脆弱性、特に黒人女性としての経験が描かれています。

『カラーパープル』

『カラーパープル』は、アリス・ウォーカーの同名小説を原作とし、スティーブン・スピルバーグが監督を務めた映画にもなった1985年の作品です(2024年にミュージカル映画としてリメイクもされています)。物語は、20世紀初頭のアメリカ南部を舞台に、困難な環境下で生きる黒人女性たちの生活を描いています。主人公のセリー(Celie)とその妹ネティ(Nettie)は、幼少期に引き離されますが、互いに支え合い、手紙を通じて絆を保ち続けます。この姉妹の関係は、愛と希望、そして再生の象徴として描かれており、深い絆を持っています。

コーラス:Erykah Badu / あなたとの特別なひととき

Ah, baby, slow motion for me
Whine, roll a likkle somethin’ for me
Oh, baby, you can do it, explore me
Oh, I love it, baby, I’m in awe
I remember late nights with you
Ooh-ooh-ooh, what you like in the mornin’?
Ah, baby, you my lesson, blessin’
I just wanna tell you, I do

Lyric

ああ、ベイビー、スローモーションで
少し何か巻いてくれない?
ああ、ベイビー、できるよ、私を探って
ああ、大好き、ベイビー、感嘆してる
あなたと夜遅くまで過ごした時間を覚えている
朝はどんな風に過ごすのが好き?
ああ、ベイビー、あなたは私の教訓、祝福
ただ伝えたい、愛してる

コーラスでは、パートナーとの時間をゆっくり楽しみ、親密な関係を深めていく様子が伺えます。夜遅くまで過ごした時間や早朝の時間について話し合う場面を振り返りながら、パートナーに対する愛と感謝を表現しています。

ヴァース2:Rapsody / 二人の親密な関係性と午前3時

You could take the sour out of lemons with your sweetness (Softly)
Solid, grounded like the ones that grows beneath us
I conceive your fetus, that would probably have my features (Haha)
We laugh, our sense of humor is what feeds us, I love you (I love you)
I trust you, staycations in St. Regis, like Weezy (Let’s go)
It’s hot boy, we hit the beach, sun tannin’ my peach (Mm)
Eyes on us like the feds would watch Meech (They see us)
The look of love, they watch us like convos on Beale Street (Uh)
Your knees week for my cocoa, brown skin
With kicks just like Tae Bo, I win (I win)
I dress better, you dress better, we have fun with it (We fly)
Shopping sprees on 5th Avenue, we both spend (Let’s get it)
Make up, wake up and spin the block again (Let’s go again)
It’s different when you lovers and you best friends (My homie)
I feel safe with you (I feel safe)
The most vulnerable that I could be
Right around this time of the mornin’ at three
Yeah, I love you

Lyric

あなたの甘さでレモンの酸っぱさを取り除く (優しく)
しっかりと、私たちの下に育つもののように
あなたの胎児を想像する、それはたぶん私の特徴を持つ
笑う、私たちのユーモアが私たちを養う、大好き
あなたを信じてる、セントレジスでの滞在、ウィージーのように (行こう)
暑い日にはビーチに行って、日焼けしてる私の桃色の肌
連邦捜査官がミーチを監視するように目が私たちに向かう
愛の眼差し、ビールストリートでの会話のように見つめられる
あなたは私のココア色の肌に弱い
タエボのようなキックで、私は勝利する
私たちはおしゃれで、楽しむ (飛んでる)
5番街でショッピング、二人で散財 (やろう)
化粧直し、目覚めてまた街を回る (もう一度行こう)
恋人であり親友であるときは違う (私の相棒)
あなたと一緒にいると安心する (安心する)
最も無防備になれる
朝の3時頃に
うん、愛してる

このヴァースでは、パートナーと過ごす幸せな時間を描写。二人の関係はとても安定し、共に過ごす時間は楽しく、一緒に笑うことが二人の絆を強めているのが感じ取れます。

また、高級ホテルでの滞在やビーチでの時間などの、特別な思い出を話しながら、一緒にいることで自分が強くなれると感じています。

ヴァース全体を通じて、二人が強い絆で結ばれていること、パートナーとの関係を大切にしていることが伝わります。

「Solid, grounded like the ones that grows beneath us(しっかりと、私たちの下に育つもののように)」

ここは、木や植物の根が地面にしっかりと根付いている様子を比喩として使い、「私たちの足元でしっかりと根を張るもののように、あなた(二人の関係)は安定している」と解釈。さらに続くラインにもかかっているかなと思います。

「staycations in St. Regis, like Weezy(セントレジスでの滞在、ウィージーのように)」

この部分は、豪華なホテルでの滞在を楽しんでいる様子を描いています。

「Staycation(ステイケーション)」は、「stay+vacation=家や近場(のホテルなど)で過ごす休暇」という意味の造語。「St. Regis」は高級ホテルチェーンの一つで、豪華でリラックスできる場所として知られています。

「Weezy」は、ラッパーのリル・ウェイン(Lil Wayne)の愛称。リル・ウェインみたく、成功したアーティストのように贅沢な時間を過ごしていることを表現している描写が伺えます。

「Like the feds would watch Meech(連邦捜査官がミーチを監視するように)」

「Meech」は、アメリカの犯罪組織「Black Mafia Family(BMF)」の共同創設者であるビッグ・ミーチ(Big Meech)のこと。ビッグ・ミーチは、違法活動に関わり、連邦捜査局(FBI)などの厳しい監視を受けていました。

連邦捜査官がビッグ・ミーチを厳しく監視する様子は、非常に集中して注目されていることを意味します。

「They watch us like convos on Beale Street(ビールストリートでの会話のように見つめられる)」

「Beale Street」は、メンフィスの歴史的な通りであり、ブルース音楽の発祥地として知られています。音楽や文化、コミュニティが重要な役割を果たしており、多くの人々が集まり交流を持つ場所です。つまり、この通りでの会話や交流が注目されることを意味しています。

「With kicks just like Tae Bo(タエボのようなキックで)」

「Tae Bo(タエボ)」は、「ビリーズブートキャンプ」でお馴染み、ビリー・ブランクスが考案したフィットネスプログラムで、ボクシングとテコンドーを組み合わせたエクササイズのこと。

ここでは「タエボのようなキック」という比喩を使って、「力強さ」を表現していると解釈します。手前の一文で、「弱い」という表現を使った文脈で考えると、「私の美しいココア色の肌に魅了されてあなたはたじろぎ、私は自信満々にその魅力で勝利を収める」と、強弱の対比を上手く使った意味で解釈できるのかなと思いました。

「5th Avenue(5番街)」

ニューヨーク市マンハッタンの5番街は、世界的に有名なショッピングストリートで、高級ブランド店やデパートが立ち並んでいます。ここでのショッピングは、豪華で贅沢な買い物であると考えられます。

–コーラス/繰り返し–

アウトロ:Rapsody / 大切な存在への愛と感謝

We been together super long (Woah-oh, ooh-woah)
The Dre to my Sidney
It taste like Brown Sugar every time that you kissed me (It taste)
Every day you made me feel like a princess
Tiana (Ooh), the black one at Disney (Ooh-ooh)
I talked about bein’ a momma, havin’ kids someday
Maybe two boys, a girl, I’d probably name her Sydney (Woah-oh, oh-oh)
Thinkin’ back on the plans we made (Hey)
The looks across the room we’d trade
Holding hands on the long car rides we’d take
I had your back, you had mine, all the jokes we’d say, ha
I loved to laugh with you, you were never my mistake, a blessing (A blessing)
Your communication was so impressive (So impressive)
I learned so much, you were like my second adolescence (Hey)
We grew with each other till we grew apart
My heart cryin’ at the thoughts of memories I utter (Mm-hmm)
‘Cause whenever, wherever
You were always there for me
And for that, I’ll always love you (I love you)
Love you
Love you

Lyric

私たちはすごく長く一緒にいた
私のシドニーのドレ
あなたがキスするたびにブラウンシュガーのような味がする
毎日あなたは私をプリンセスのように感じさせてくれた
ティアナ、ディズニーの黒いプリンセス
ママになること、いつか子供を持つことを話していた
たぶん二人の男の子と一人の女の子、シドニーと名付けるかも
私たちが作った計画を思い出す
部屋の向こうから交換した視線
長い車の旅で手をつないでいた
あなたのバックアップ、あなたのジョーク、楽しかった
一緒に笑うのが好きだった、あなたは私の間違いではなく祝福だった
あなたのコミュニケーションはとても印象的だった
たくさん学んだ、あなたは私の第二の青春のようだった
お互いに成長し、やがて別れた
思い出すたびに心が泣く
いつでも、どこでも
あなたはいつも私のそばにいてくれた
そのため、いつまでも愛してる
愛してる
愛してる

アウトロでは、パートナーとの長い関係を振り返り、特別な思い出や感謝の気持ちを表現。パートナーとの関係が非常に特別で深いものであること、そしてその関係に対する感謝と愛情を示しています。

やがて別れてしまいますが、二人の関係が強かったことや、今でも特別なものであることが、最後のストレートな「Love you」の繰り返しからも伝わってきます。

The Dre to my Sidney It taste like Brown Sugar every time that you kissed me(私のシドニーのドレ あなたがキスするたびにブラウンシュガーのような味がする)

映画『ブラウン・シュガー』の登場人物「シドニー」と「ドレ」を用い、自分とパートナーの関係が映画の中のシドニーとドレの関係に似ていると示しています。深い友情に基づいた強い絆と、ロマンティックな愛情に発展するような特別な関係を象徴しています。

また、ディアンジェロの曲「Brown Sugar」が醸し出す「愛の甘さ」「心地よさ」をキスの味としてダブルミーニングしているかもしれません。

Tiana, the black one at Disne(ティアナ、ディズニーの黒いプリンセス)

ティアナがディズニー映画における初の黒人プリンセスであることを指し、黒人女性としての誇りとアイデンティティを強調していると解釈。ティアナは、自立した努力家であり、自分の夢を追い求める姿が描かれています。

映画『ブラウン・シュガー』

2002年に公開されたロマンティック・コメディ映画。ヒップホップ文化と共に成長してきた幼馴染のシドニー(サナ・レイサン)とアンドレ(テイ・ディグス)が、友情からロマンスに発展する過程を描いています。シドニーは音楽雑誌の編集者、アンドレはレコード会社の重役として、それぞれのキャリアと個人的な感情に悩みながら成長します。この映画は、音楽と愛、友情の複雑な関係を探求し、ヒップホップ文化への愛情を中心に据えています。

ディアンジェロの曲「Brown Sugar」

1995年にリリースされた彼のデビューアルバム『Brown Sugar』のタイトル曲。ディアンジェロの滑らかなボーカルとジャズ、ソウル、R&Bの要素を融合させたサウンドで、当時の音楽シーンに大きな影響を与えました。「ブラウンシュガー」という甘い比喩を使って、愛や恋人の魅力を表現しています。

ティアナ(Tiana)

ティアナは、2009年に公開されたディズニーのアニメーション映画『プリンセスと魔法のキス』の主人公。彼女はディズニー初の黒人のプリンセスとして登場しました。ティアナは、ニューオーリンズで料理の才能を持つ若い女性で、自分のレストランを開くという夢を持っています。彼女は努力家で、自立した女性として描かれています。

ピックアップ:R&B好きのためのムーブメント「R&B Lovers Club」が発足

Lyrics source

Genius

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