5つの個性が集結するバンド「The Internet(ジ・インターネット)」の魅力
ロサンゼルスのヒップホップ集団Odd Future(オッド・フューチャー)のメンバーだった、SydとMatt Martiansによって発足したバンド「The Internet(ジ・インターネット)」。3rdアルバムである『Ego Death』で、彼らの磨き上げられたサウンドと、エゴを昇華した内容が評価され、2016年のグラミー賞「ベストアーバンコンテンポラリーアルバム」にノミネートされました。
今回はそんな彼らの魅力を深堀り。メンバーそれぞれがどんな人物なのか、バンドが魅力的な理由について、彼らを語る上で外せない二枚のアルバムについて、The Internetのヒットソングなどを紹介します。
調べうる情報を注ぎ込んだボリューム満点の内容です。「The Internet(ジ・インターネット)」について深く知りたい方は是非ご覧下さい〜。
The Internet(ジ・インターネット)とは
名前 | The Internet(ジ・インターネット) |
出身 | カリフォルニア州ロサンゼルス |
結成 | 2011年〜 |
メンバー | ・Syd(シド)/ボーカル ・Matt Martians(マット・マーシャンズ)/キーボード ・Patrick Paige II(パトリック・ペイジ2世)/ベース ・Christopher Smith(クリストファー・スミス)/ドラム ・Steve Lacy(スティーヴ・レイシー)/ギター |
ディスコグラフィー |
・『Purple Naked Ladies』(2011) ・『Feel Good』(2013) ・『Ego Death』(2015) ・『Hive Mind』(2018) |
The Internet(ジ・インターネット)は、カリフォルニア州ロサンゼルスを拠点に活動するソウル、オルタナティブR&Bバンドです。
メンバーはボーカルのSyd(シド)、キーボードのMatt Martians(マット・マーシャンズ)、ベースのPatrick Paige II(パトリック・ペイジ2世)、ドラムのChristopher Smith(クリストファー・スミス)、ギターのSteve Lacy(スティーヴ・レイシー)の5名。
ロサンゼルスのヒップホップ集団Odd Future(オッド・フューチャー)のメンバーだったSyd(Syd tha Kyd)とMatt Martiansによって発足しました。
2011年にファースト・アルバム『Purple Naked Ladies』をリリースし、2013年にはヒット曲「Dontcha」を含むセカンド・アルバム『Feel Good』をリリース。
2015年の3rdアルバム『Ego Death』には、Patrick Paige II、Steve Lacy、Christopher Allan Smith、Jameel Brunerら、強固なラインナップのメンバーが追加され、2016年のグラミー賞「ベストアーバンコンテンポラリーアルバム」にノミネートされました。
その後、メンバーそれぞれがソロプロジェクトをリリースし、Steve LacyがJ. ColeやKendrick Lamarの楽曲に携わるなど、「個」としての才能も発揮。
現時点でのバンドの集大成とも言える4枚目のアルバム『Hive Mind』は2018年7月20日にリリースされ、現在もメンバーそれぞれが多方面で活躍しています。
名前の由来
シドは、「世界規模」という意味があると言いつつも、さほどの意味はないと語っています。また、マットはOdd Futureが出会った場所がインターネットだった(シドがOdd Futureの面々とであったきっかけが、「MySpace*」というSNSだった)ことが由来していると語っています。
Syd「私にとっては世界規模の意味があるね。今は生活の糧になっているよ。でも名前としては?正直なところ、何の意味もないかな。ただ面白いと思ったから。TimeOut
Matt「昔のアパートでドキュメンタリーのインタビューを撮っていたとき、俺たちにインタビューをしていた女性がレフトブレインに”どこから来たの?”と聞いた。彼はその質問にうんざりしていたので、急いで怒りをぶちまけて”もうインターネット出身だ”と言ったんだ。俺たちはそれがバカげてるし偶然の結果だとは思ったけど、理にかなっていると思ったんだ。なぜなら俺たち[Odd Future]が出会った場所がインターネットだからね。」CRACK
MySpace(マイスペース)は、2000年代初頭に大変人気だったソーシャルネットワーキングサイト。音楽、映画、ブログなどのコンテンツを共有するプラットフォームとして特に知られていました。ユーザーは自分自身のページをカスタマイズし、音楽やビデオをアップロードしたり、他のユーザーとメッセージを交換したりすることができました。
メンバー
Syd(シド)
本名 | Sydney Loren Bennett(シドニー・ローレン・ベネット) |
生年月日 | 1992年4月23日 |
出身 | カリフォルニア州ロサンゼルス |
ソロ作品 | 『Fin』(2017) 『Always Never Home』(2017) |
Syd(シド)はThe Internetのボーカリスト。プロデューサーのMatt MartiansとMyspaceで知り合った事がきっかけで、二人によってThe Internetが結成されました。
14歳のとき、両親のゲストハウスにスタジオを作り、独学でレコーディング・エンジニア、プロデューサーとして音楽の世界に没頭。その後Odd Futureと仕事をするようになり、ミックス、マスタリング、DJでのツアー参加などを行いました。
シド:「音楽を作り始めた頃は、ただフックを歌うプロデューサーになりたかったんだ。正直なところ、ファレルみたいになりたかったんだよね。ビートを作って女の子と一緒にミュージック・ビデオに出てくるような人にね」TIME
Sydがボーカルを務めるThe Internetですが、元々は自分たちで楽曲を制作し、他のアーティストに歌ってもらうつもりだったそう。しかし、ボーカルを担当する適切な人材が見つからず、Sydが歌い始めたことがきっかけで今のスタイルになっているそうです。
マット:「シドが曲を書くときは、とても個人的でリアルな話から書いているんだ。とても親しみやすい曲なんだよ。誰にとってもどんな意味でもあり得る。誰かに来てほしい、一緒に遊んでほしいという気持ちは誰にでもあると思うんだ。」NYLON
また、メンバーのマットはシドの書く曲には親しみが持てるんだと語っています。歌声もさることながら、共感出来るリリックという部分にも魅力のある人物なようです。
Sydについて詳しく知りたい方はこちらもご覧いただければと思います。
Matt Martians(マット・マーシャンズ)
本名 | Matthew Martin(マシュー・マーティン) |
生年月日 | 1988年9月12日 |
出身 | ジョージア州アトランタ |
ソロ作品 | 『The Drum Chord Theory』(2017) 『The Last Party』(2019) 『Going Normal』(2021) 『Butterfly Don’t Visit Caterpillar』(2021) |
Matt Martians(マット・マーシャンズ)は、Odd Futureの創設メンバーでもあり、SydとともにThe Internetの結成に携わった人物。プロデューサーとして主に活躍していますが、キーボディストやボーカルを努めることも。
大学時代に「The Super 3」というグループでミュージシャンとしてのキャリアをスタート。MySpaceでTyler The Creatorとの出会いがあり、その後プロデューサーとしてのキャリアアップのためにアトランタを離れてLAへ移住。
ジャズとファンクのメッカであったアトランタからロサンゼルスへの旅は、ミュージシャンがより良い機会を求めて何年も続けてきたものだ。マットの移住は、自分の音楽スタイルにより適した環境に身を置きたいという願望を強調している。NME
「僕が音楽を始めたのは、タイラーの影響がとても大きかった。」FADER
Tyler The Creatorとの出会いによってOdd Futureのメンバーとして活躍。その後Sydと意気投合した事でThe Internetがスタートしました。
グループのリーダー的存在であり、Sydの相棒的存在な人物です。
Steve Lacy(スティーヴ・レイシー)
本名 | Steve Thomas Lacy-Moya(スティーブ・トーマス・レイシー=モヤ) |
生年月日 | 1998年5月23日 |
出身 | カリフォルニア州コンプトン |
ソロ作品 | 『Steve Lacy’s Demo』(2017) 『Apollo XXI』(2019) 『The Lo-Fis』(2020) |
2014年の高校在学中にギタリストとしてグループに参加し、アルバム『Ego Death』でレコーディングデビューを果たしたSteve Lacy(スティーヴ・レイシー)。その才能はギタリストとしてだけでなく、ソングライティングやプロデューサー、シンガーとしても開花しています。
活動初期の音楽制作のほとんどは、iPhoneとGarageBandで行ったことでも有名で、『Ego Death』の「Gabby」や「Curse」もiPhoneで制作されたトラックを起用しているのだそうです。(TED Talkでも実際にこの話をしています)
また、自身の作品である『Steve Lacy’s Demo』もiPhoneで制作されたものなのだとか。
その後、彼の才能は多くのアーティストに認められ、
- J. Cole「Foldin Clothes」
- Kendrick Lamar「PRIDE」
- Tyler, The Creator「911/Mr.Lonely」
- Vampire Weekend「Sunflower」
などのプロデュースに携わりました。(Kendrick Lamar「PRIDE」もまたiPhoneで制作されたものだそう)
現在でもiPhoneは彼にとって重要な音楽ツールであることに変わりはないそう。環境に依存しない”クリエイター”の本質的な部分を十二分にとらえている人物。アメリカを代表するプロデューサーの一人です。
Patrick Paige II(パトリック・ペイジ2世)
生年月日 | 1990年10月30日 |
出身 | カリフォルニア州ロサンゼルス |
ソロ作品 | 『Letters of Irrelevance』(2018) 『If I Fail Are We Still Cool? (2021) |
グループのベーシストであるPatrick Paige II(パトリック・ペイジ2世)。グループの「秘密兵器」とよく称される、世界最高のベーシストの一人として名高い人物です。同じロサンゼルス出身のベーシストThundercat(サンダーキャット)とは旧知の仲で、親友のような存在だそう。
The Internetのしなやかなベースラインを支える彼ですが、2つのソロ作品ではマイクスキルやプロデュース力も発揮。「もはや秘密ではない兵器だ」とも言われています。
熟練したソロアーティストとしても活躍する彼は、グループ活動とソロ活動について、以下のように述べています。
僕たちは皆、異なる物語を持ち異なることを言うことができる。他のメンバーが経験したことのないような経験をしてきたわけで、その経験について、それぞれがどう感じているかを吐き出すことが重要だと思うんだ。インターネットのアルバムではそれができないこともあるけど、ほとんどの場合、お互いのレコードに参加していたし、今でもお互いの音楽を手伝い合っているんだ。yahoo news
Sydが「ソロ・プロジェクトを出すことはバンドにとって良いことだ」と語っている通り、彼もお互いを支え合い、ブラッシュアップしていく感覚を同じく持っているようです。
2018年の『Letters of Irrelevance』はとてもパーソナルな内容が詰まった作品で、Sydのリリックが「リアルな話でとても親しみやすい」と評されるように、Patrick Paigeもまたベーシストだけではない才能を持った人物と言えるのかもしれません。
Christopher Smith(クリストファー・スミス)
出身 | カリフォルニア州ロサンゼルス |
作品 | C&T『Loud』 (2017) |
グループの中でも一番ミステリアスな存在と言われるChristopher Smith(クリストファー・スミス)。バンドの軸となるドラマーで、「どのドラムも目的を持っている」、「他の楽器のが入り込むポケットを作っている」などと称され、その巧妙さに一目置かれている人物です。
Christopher Smith – 趣味はなんもない。fnmnl
と語る彼に対して、
Syd – 彼は音楽が全てなんだね。fnmnl
と会話する様子が、彼がいかに人生の多くを音楽に捧げているかが分かります。
2017年にT’Challa KingというアーティストとともにC&Tという名義でアルバム『Loud』をリリースしています。スペイシーでハードなドラムが特徴的な作品です。
彼のドラムブレイクは尋常じゃないので、是非動画でもご覧下さい。
The Internet(ジ・インターネット)の魅力とは
1.圧倒的な「個の能力」を活かすチームの団結力
The Internetの魅力の一つは、メンバーそれぞれがソロアーティストとしても確立していること。
Syd:「The Internetのライブがユニークなのは、グループとしての個性が集結しているからだと思う。みんなキャラが立ってて、そのバランスがうまくとれてるんだ。」
2015年の『Ego Death』以降は頻繁に各々でソロプロジェクトをリリースしており、結果的にバンドとソロ活動において良い循環が生まれています。
Syd「全員がソロプロジェクトを発表すれば、バンドにとって、The Internetのアルバムにとって最善の事を自由にできるようになると思う。」FADER
とSydが語るように、ソロ活動はいずれグループに還元する事になるのも感じているようです。
Matt Martians「僕たちそれぞれが自然体の個人だから、一緒にいないときも普通に音楽を作っているんだ。特にギアチェンジをしている訳じゃなくて、自然の流れなんだよね。」fnmnl
またソロとグループ活動の違いについて、Matt Martiansは「ごく自然な流れだったんだ」と説明しています。どちらにも悪い面はなく、「グループでできないことは個人でやればいいさ」という、ラフな気持ちも介在しているそうです。
2.音楽に磨きをかけ、共有する時間を設けている
2011年のデビュー・アルバム『Purple Naked Ladies』に始まり、これまでリリースしてきたアルバムプロジェクトは全部で4作品。作品を時系列に並べると以下のようになります。
- 1st『Purple Naked Ladies』(2011年)
- 2nd『Feel Good』(2013年)
- 3rd『Ego Death』(2015年)
- 4th『Hive Mind』(2018年)
クリス:「多くのアーティストは、自分のプロジェクトに十分な時間を与えていないような気がする。それは特定のスタイルのヒット曲が飽和してしまうからで、それを続けなければならなくなるから。でも、最初から最後までしっかりとしたプロジェクトでキャリアを築いて、2年、3年とツアーを続けることができれば、プロジェクトを心から楽しむことができるし、その上で次のプロジェクトに移ることができるし、ファンも一緒に成長してプロジェクトを楽しむことができるんだ。」DJBOOTH
彼らの作品は、一つのプロジェクト毎にしっかりと時間を設け、ツアーして、ファンと共有して…。といった感じで、「共有する時間」と「自分たちが音楽に向き合う適切な余裕」を作っている点に魅力があるのかなと思いました。
また、マットは最初の2枚のアルバムの間に学んだ事として、「自分の音楽がクリエイティブであること」と「リスナーとのバランス」について語っています。
マット:どんな音が効果的で、どんな音が効果的じゃないかを知ること。そして非常にクリエイティブであることに加え、リスナーが敬遠するほどクリエイティブになりすぎないことのバランスを見つけること。僕たちは、自分たちがかっこいいと思うものをたくさん作るのではなく、ひとつのサウンドに磨きをかけてきたと思うんだ。byt
やりすぎず、かと言ってただヒットするだけの音楽を作るわけでもない。その絶妙なさじ加減は、心地よさとして彼らの音楽に表れているように思います。
代表作である二作品を紹介
The Internetの代表的な二枚のアルバムを、彼らの言葉を借りつつ紹介します。
『Ego Death』
リリース:2015年6月26日
2015年にリリースされた彼らの3rdアルバム。当時高校生だったSteve Lacyも参加し始め、フルメンバーとなった作品。2016年のグラミー賞「最優秀アーバン・コンテンポラリー・アルバム」にノミネートされたことでも有名です。
カナダのプロデューサーKaytranadaのアシストによる「Girl」や「Special Affair」がリードリングルとしてリリースされています。
この作品は「ハードなものにしたかった」「人々の胸を打つものにしたかった」という想いがあったそう。前作の『Feel Good』よりも、ドラムをハードにし、よりヒップホップ的な方向へ寄せているそうです。(ライブでも通用する楽曲を揃えたかった想いもあるそうです)
また、彼らは『Ego Death』について以下のように語っています。
「このアルバムはバンドとして、また個人としての私たちの成長と私たちが直面している課題やそこから学んでいることを描いているんだ。 自分たちのエゴや周りのエゴを認め、自分たちが知っている最良の方法でそれらを利用することなんだ」VIBE
悪い意味で使われることの多い言葉である「エゴ」ですが、時としてそれが成長や探求につながる事を訴えています。
『Hive Mind』
リリース:2018年7月20日
『Ego Death』からおよそ3年の時を経てリリースされた4作目。「Hive Mind(集合精神)」と名付けられた本作は、それぞれのソロ活動を経てまたバンドに集結した彼らを表すのに最適とも言えるものです。
「このアルバムは『Ego Death』に続く強力な作品にしたかったんだ。特に方向性はなく、ただ『Ego Death』に負けないような、あるいは『Ego Death』を超えるような作品を出したいと思っていたんだ。ソロ・アルバムで自分たちの力を発揮し、個人として何ができるかを学ぶという自然な流れがあったんだ。」NYLON
「プレッシャーを感じることはないよ。みんなは僕らにある種のバンドになって欲しいと思っているみたいだけど、僕らはそうなりたいとは思っていないんだ。僕らはただ一貫した音楽を作って、パフォーマンスするのが好きなんだ」HIGHSNOBIETY
『Ego Death』を越えたいと思うのは、あくまで内省的なものだと感じるコメントですね。楽しみつつ、自分たちの音楽を納得のいくところまで磨き上げる点に重きを置いているのが分かります。
そんな『Hive Mind』の楽曲のほとんどは旅先で作られたものだそう。Airbnbを利用しつつ、仮想的なスタジオを作ってはその時々の新鮮な感覚で音楽制作に打ち込んだのだとか。
くつろいだり、談笑したり、食べ物をつまんだり、タバコを吸ったりしながら、楽しみながら楽曲制作が進んでいったそうです。
「個」から「グループ」としての再集結の作品であるとともに、「遊び心」を常に忘れていない朗らかさも反映された作品です。
The Internet(ジ・インターネット)のヒットソング
1.Girl ft. KAYTRANADA
リリース:2015年6月23日
収録作品:『Ego Death』
3rdアルバム『Ego Death』のリードシングルとしてリリース。カナダのプロデューサーKaytranadaとのコラボをしたことでも有名です。
この曲は、Sydが他の女性へ向けた曲とされていて、欲望・願望・愛情の込められたリリックが詰まっています。(Sydは同性愛者を公言しています。)
そんな彼女のパーソナルな部分もある曲ですが、愛する人を持つあらゆる人に共通する内容であることも確かです。「Girl」では、Sydならではの魅惑的なボーカルと視点で、愛の欲求をクリエイティブに表現しています。
2.Come Over
リリース:2018年5月30日
収録作品:『Hive Mind』
『Hive Mind』のセカンドシングルです。シドが以前交際していた相手からインスピレーションを得たという一曲。想いを寄せている相手の対応に、複雑な感情を重ねた片思いソングです。
「If you just let me come over babe」というフレーズが耳に残る、ミドルテンポな曲ですね。
3.Special Affair
リリース:2015年6月2日
収録作品:『Ego Death』
アルバム『Ego Death』のファーストシングルで、渋いベースが唸るスロージャム。一夜限りの恋の歌です。
「”Special Affair”のような曲を作るのは、少し意識的だった。」
と語るシド。続けて、『Ego Death』を作る過程で気づいたことも述べています。
このアルバムを作る過程で気づいたんだ。もし自分がどれだけ女性を愛しているかということを正直に伝えれば、自分のためにいくつかの扉を開くことができるかもしれないと。セックスシンボルになるためには、容姿端麗である必要も、スタイルが良い必要もない。あなたの自信と、あなた自身をどう見せるかということなんだ。FADER
自身の内面を正直に語り、ジェンダーポジティブやボディポジティブを結果的に生んでいるということですね。アメリカでは、これらの考えはZ世代(1990年後半から2000年代に生まれた人)に強く支持される傾向にあるそうです。
まさに「エゴ」を昇華し、クリエイティブに表現した、アルバムを象徴する一曲といえるでしょう。
4.Palace/Curse
リリース:2015年6月27日
収録作品:『Ego Death』
Odd Futureの仲間でもあるTyler the Creatorがゲスト出演する一曲。後半の「Curse」は、スティーブがiPhoneで作ったことでも知られるビートを起用しています。
動画はショートバージョンなのでオリジナルを聴きたい方はこちらをどうぞ。
5.Dontcha
リリース:2013年9月11日
収録作品:『Feel Good』
セカンド・アルバム『Feel Good』の最初のシングルとしてリリースされた一曲です。彼らが尊敬するというファレル・ウィリアムスの流れを汲むと言われる、魅惑的なファンクチューンです。
後半にかけてPatrick Paige IIのベースも乗ってきて、どんどん心地よくなる曲ですね。
最後に
The Internetについて紹介しました。最後にMatt Martiansが言っていたコメントで印象に残っているものがあるので、紹介して終わりたいと思います。
「人々はソーシャルメディアによって不健康な速度で物事を消費し、とても速い速度で再び供給されることを望んでいるよね。品質には時間がかかるんだ。構成とストーリーが必要だよ。何かを語るためには、少し過ごさければならないんだ。」HIGHSNOBIETY
完全な消費社会になった今、マインドフル(今この瞬間)な状態を意識する事の重要性を改めて感じました。
一つ一つをしっかり楽しんで、彼らのように自分が誇れるものを磨けるような人生にしたいと思いました。まさかThe Internetでここまで良い教訓を学べるとは思っていませんでした(笑)
ということで今回は終わります。最後までお読みくださった方、ありがとうございました。
おすすめ記事:ブルックリンのクインテットバンド「Phony Ppl」の魅力
・TimeOut「Interview: The Internet」
・TIME「How a Band Called The Internet Became One of the Best Things on the Internet」
・NYLON「WHY THE INTERNET’S MATT MARTIANS HATES… THE INTERNET」
・NME「The Big Read – The Internet: ‘We belong together’」
・FADER「The eternal rebellion of Matt Martians」
・FADER「The Internet Win Alone, Together」
・FADER「What Syd The Kid Learned Writing Songs About Women」
・yahoo!news「Processing Pain Through Music: An Interview With Patrick Paige II From The Internet」
・fnmnl「【ミニインタビュー】The Internetが最近好きな曲、してること」
・fnmnl「【インタビュー】The Internet 『Hive Mind』 | グループとしての個の強さを」
・DJBOOTH「“We’re Like the Megazord”: A Conversation With The Internet’s Patrick Paige II & Christopher Smith」
・BYT「BYT INTERVIEWS: THE INTERNET」
・VIBE「Groove Theory: The Internet Is R&B’s New Remedy」
・HIGHSNOBIETY「THE INTERNET: HOW FIVE ENLIGHTENED EGOS FORMED A ‘HIVE MIND’」
・Genius「The Internet」