
最新R&Bを軸にしたプレイリスト「Take It Easy」Vol.54
Spotify、Apple Musicで公開しているR&Bを軸にしたレイドバックミュージックプレイリスト「Take It Easy」更新お知らせ記事です。
プレイリストの中から5曲をピックアップし、アーティストや曲についての紹介をします。というお題目でいつもやってましたが、前回同様に今回も100曲越えの更新ということで10曲をピックアップしてお送りします。
プレイリストはこちら。更新の度に内容が変わるので「いいね」で常にチェックしてもらえると嬉しいです。
- 10 Picks
- 1.Mariah Carey - 「Don't Forget About Us (KAYTRANADA Remix)」
- 2.Ledisi - 「7 DAYS OF WEAK」
- 3.Summer Walker - 「Spend It」
- 4.UMI, 6LACK - 「HARD TRUTHS」
- 5.RIEHATA - 「KNOW ME」
- 6.Tank - 「If I Ain't Got You (Tank's Version)」
- 7.Erick the Architect ft. Joyce Wrice - 「REVIVAL」
- 8.Kyle Dion - 「If I Knew」
- 9.Jenevieve - 「Head Over Heels」
- 10.Leon Thomas, Kehlani - 「DIRT ON MY SHOES」
10 Picks
1.Mariah Carey – 「Don’t Forget About Us (KAYTRANADA Remix)」
マライア・キャリーの大ヒットアルバム『The Emancipation of Mimi』(2005年)の20周年記念版リリース(2025年5月30日)に収録された、カナダのプロデューサーKAYTRANADA(ケイトラナダ)によるリミックスです。
オリジナル版に増す透明感と、アクセントとして加えられた多少のエレクトロ感が、曲をより味わい深くしているように感じまして好みです。
「今回のエディションを作る過程で、当時の思い出が全部よみがえってきて…私の人生とキャリアのすごく大事な節目だったなって改めて感じたわ。このアルバムには、これまでの私の大ヒット曲も、大好きな曲もいっぱい詰まってるの。忘れ去られてた名曲や、未発表のボーナストラック、それに最高のコラボレーターたちと作った新しいリミックスまで…全部を初めてひとつにまとめたのが、このスペシャル盤なの。」Pitchfork
デラックスアルバムには他にもスペシャルな追加曲が収録されてますので是非!
2.Ledisi – 「7 DAYS OF WEAK」
ニューオリンズ出身、グラミー賞受賞アーティストでもあるLedisi(レデシー)のニューアルバム 『The Crown』に収録。一週間の「WEEK」と、弱さの「WEAK」をかけていて、その曜日ごとに感じる「あなた」が居ないことでの喪失感や弱さを表現した悲しい曲です。
「あの曲の裏にある気持ちっていうのは、私たちって日々の生活の中で曜日のサイクルを大事にしてるじゃない?でも私、この曲のタイトルを決めたときのことが特に好きでさ。“Joc、これ『WEAK』ってタイトルにしようよ、だってこの曲のテーマってまさにそれでしょ。あなたがいないことで、7日間ずっと私は弱くなってる。だからその曜日の名前をぜんぶ歌詞に入れてるんだし”って言ったの。」Rated R&B
Mondays is one day, Tuesday, I lose it
Wеdnesday, I can’t take anymore of it
Thursday’s thе worst day, Friday I cried away
Saturday, I’d rather lay in bed and wait ‘til Sunday
Mondays is one day, Tuesday, I lose it
Wednesday, I can’t take any more of it
Thursday’s the worst day, Friday I cried away
Saturdays and Sundays, all weak without you here (Yeah)
月曜はただの一日、火曜には心が崩れて
水曜日はもう耐えられない
木曜日は最悪の日、金曜日は泣き明かした
土曜日はベッドに横になって日曜日を待ちたい
月曜はただの一日、火曜には心が崩れて
水曜日もう耐えられない
木曜日は最悪の日、金曜日は泣き明かした
土曜も日曜も、君がいないと弱いんだ
悲しみの気配の奥に、心が解きほぐされるような安らぎもある印象。音楽が持つ不思議な魔法を感じました。
3.Summer Walker – 「Spend It」
アトランタ出身のシンガーソングライターSummer Walker(サマー・ウォーカー)の最新曲です。彼女の新作アルバム『Finally Over It』からの2ndシングルで、前回リリースの「Heart Of A Woman」にに続くしっとり系。
ミニマルなトラックでありながら、ゴージャスでSummerの歌声が映えるスムースR&Bソングです。
Spend it on me
Go right ahead and spend it on me
Go right ahead and spoil me, baby
Buy back my love
Keep those sweet nothing’s from me
They don’t mean nothing to me
Diamonds and pearls
I’m that type of girl now
I want your black card, you can keep your heart
私にお金を使って
遠慮しないで私に注ぎ込んで
思いきり甘やかしてよ
私の愛を買い戻して
耳ざわりだけの甘い言葉なんていらない
そんなの、もう何の意味もないの
ダイヤと真珠、それが今の私にふさわしい
ブラックカードをちょうだい、持ちなんて要らないわ
歌詞は、「愛よりも金」と物質主義を掲げ、確かな価値を求める「強さ」や「自信」を感じる内容です。
一方で、「What’s the point of having a heart in this world?(この世界で心を持つ意味なんてある?)」と歌うように、過去には「甘い言葉」に裏切られてきた主人公の痛みも読み取れます。
「気持ちや言葉は信じない」と一蹴する傍らでは、まだ心を求めている部分もあるのか無いのか。混在した感じに人間味を覚えます。
関連記事:Summer Walker(サマー・ウォーカー)/ 内省的なR&Bの新星歌姫
4.UMI, 6LACK – 「HARD TRUTHS」
シアトル出身、LAを拠点に活動するシンガーUMI(ウミ)と、アトランタのラッパー6LACK(ブラック)のコラボシングル。ミニマルなビートにのせ、「外側はどんなに華やかでも、内面が空っぽなら幸せにはなれない」というメッセージを伝える曲です。
Summer Walkerの「Spend It」の、「愛よりも金」の主張とはまた違った感じですが、実は「誰かに理解されたい」「ちゃんと繋がりたい」という点で、根本的な人間の感情を貫いている気がします。
You could have a nice house, but going home lonely
Closet full of nice clothes, who’s holding you closely?
You could cash out, that’s nice, partyin’ all night
But you’re empty inside, are you alive?genius
素敵な家に住んでたって、帰るのはひとり
クローゼットはおしゃれな服でいっぱい、でも抱きしめてくれる人はいるの?
お金もあって、それっていいよね、一晩中パーティーもできるし
でも心の中は空っぽで… それで本当に生きてるって言えるの?
この並びで曲を紹介できたのが面白いです。
関連記事:UMIとは / 日本人と黒人のアイデンティティをあわせ持つシンガーの魅力
5.RIEHATA – 「KNOW ME」
世界的な日本人ダンサー/振付師として有名なRIEHATAさんの三曲入りプロジェクト『Time Frame』に収録された曲です。2000年代風のサウンドで、アンニュイな雰囲気もある一方で、メロディラインは心地よく歌詞も力強いです。
Don’t play about me I’m deep in my zone
If I make a choice don’t hate me
Thinking that I will be lonely
Safe to say that you don’t really know me
In too deep in my zone
If you know you know can’t blame me
Safe to say that you don’t really know me
なめないで、私は自分のゾーンに深く入ってる
自分で選んだ道、文句はやめて
ひとりになるって思ってる?
正直、あなたは私のこと、わかってない
深く入り込んでる、自分の世界に
分かる人には分かる、私を責められないはず
やっぱりあなたは私のこと、わかってない
このコーラスからも自己肯定や力強さを感じまして、日本語リリックもまたグッときます。
辿り着くまで
あれもこれも過程
険しい道選んできた理由
その全て
正解にして上へ
もっと上へSpotify
6.Tank – 「If I Ain’t Got You (Tank’s Version)」
アリシア・キーズの大ヒット曲を、R&BシンガーのTank(タンク)と女優のAmanda Reid(アマンダ・リード)がデュエットでカバーした新録曲。
このバージョンは、若かりしアリシア・キーズの若い頃をモデルにした物語(アリシア・キーズの音楽で描く、17歳の少女アリのリアルな青春ストーリー)のブロードウェイ・ミュージカル『Hell’s Kitchen』のために発表され、歌い手二人が出演しています。
ちなみに、父と娘の絆を再確認する場面で演奏されるそうで、生でみたら絶対泣きます。鳥肌です。
7.Erick the Architect ft. Joyce Wrice – 「REVIVAL」
ブルックリンのFlatbush ZombiesのメンバーErick the Architect(エリック・ザ・アーキテクト)が、ロサンゼルスを拠点に活動するシンガーJoyce Wrice(ジョイス・ライス)をフィーチャーした一曲。
夏に最適なダンスグルーヴが感じられるこの曲、バックコーラスなどからもわかるように、ゴスペルの雰囲気を取り入れたのは、「見えないものを信じる気持ちは、信仰にも恋愛にも通じる」と思ったことからだそう。
「“REVIVAL”は、何かを変えたいって強く願いながら、同時に“相手がどれだけ特別な存在か”ってことを思い出させるための曲なんだ。ちょっとゴスペルっぽい要素を入れたのは、たとえ曲が本質的には“世俗的”なものだとしても、“目には見えない誰かや何か”に対して強い愛を感じることって、別のかたちで現れることもあるから。それって、俺が思う“愛”そのものなんだよね。」Shore Fire Media
恋に夢中な感情と自己肯定感の高まりをテーマにした、ロマンティックでリッチなバイブスのあるラブソングです。
関連記事:Joyce Wrice(ジョイスライス) / 艶やかな歌声を持つ日系R&Bシンガー
8.Kyle Dion – 「If I Knew」
フロリダ育ちで現在はロサンゼルス拠点に活動するシンガー、Kyle Dion(カイル・ディオン)の最新作『SOULAR』に収録。
温かく、シルキーな音の響きを感じるこの曲は、「君には何か特別なものがあった。それに気づくには遅すぎた」と、失った恋への後悔と未練をテーマにした、切なめなR&Bソングです。
Waking up to your smile
Who gets that in the morning now, I’m wondering?
Making love out of town
Who gets those soft lips on a trip to somewhere?
If I only knew what I know nowgenius
君の笑顔で目覚める朝
それを今、手にしてるのは誰なんだろう?
旅先でふたりで愛し合った夜
あのやわらかい唇を、今は誰が独り占めしてる?
もし今の俺が、あの頃のことを知ってたなら…
There’s something about ya, something about ya, something about ya
I’d never take my eyes
Off of you if I knew how
There’s something about ya, something about ya, something about ya
I’d cherish that last night
If I knew what I knew nowgenius
君には何かがある、他の誰とも違う
たとえ目を逸らす方法を知っていたとしても、きっとできなかった
君には本当に、何かがある
もし今の俺が、あの夜の意味を分かってたら
あの最後の夜を、大切にしていたのに
痛烈さというよりは、静かに深く後悔するような感じに聴こえます。曲の温かみも、この内省的な人間っぽさからくるように思えました。
9.Jenevieve – 「Head Over Heels」
マイアミ出身のシンガーJenevieve(ジェネビーブ)の2年ぶり復帰曲第二弾(最初は「Haiku」)で、情熱的で少し挑発的なラブソングです。
Tom Browne「Charisma」のサンプリングが実に秀逸。ドラムとベースは屋台骨としてしっかり機能しつつも、決して前に出すぎることなく、Jenevieveの幻想的なボーカルとバッチリ調和しています。
関連記事:「Baby Powder」で一躍有名になったメロディアスなシンガーJenevieveを紹介
10.Leon Thomas, Kehlani – 「DIRT ON MY SHOES」
ブルックリン出身、グラミー賞ノミネートもされているシンガーソングライターLeon Thomas(レオン・トーマス)が、5月30日にリリースしたアルバム『MUTT Deluxe: HEEL』の中に収録されたKehlani(ケラーニ)とのコラボ曲。
[Pre-Chorus: Kehlani]
Oh, you opened your doors
You’re so damn mature
Off-white walls with no pictures of who’s been here before
Oh, oh
And I didn’t think to pack
On the first night that we had
Came back with some baggage
The reason that I’m damagedgenius
あなたは心を開いてくれた
すごく大人びてる人
誰の痕跡もない、真っ白な壁が広がってたああ、うん
最初の夜、私は何も持たずに来て
戻ってきたときには心の荷物を抱えてた
それが私が壊れてる理由
[Chorus: Kehlani, Kehlani & Leon Thomas, Leon Thomas]
And I knew I messed up the room
Had dirt up on my shoes
And I still walked into you
I still walked into you
Oh, it’s such a mess (Oh)
We can make it up in bed, yeah
Dirt all on my shoes
I’m tracking it all over the house
Tracking it all over the house
Tracking shit all over the house, oh
Would you still want me walking around?
Still got me walking aroundgenius
部屋をめちゃくちゃにしちゃったってわかってた
靴の裏には泥がついてて
それでもあなたのところに踏み込んだの
もう、ぐちゃぐちゃだよね
でもベッドで埋め合わせできるかもね
靴は泥だらけ
家中にその汚れを残してる
あちこちに足跡つけてる
問題をばらまいてるみたい
それでも、こんな私をそばに置いてくれる?
まだ私、うろうろしてるのよ
「baggage(心の荷物)」を抱えている歌い手たちが、心の乱れを抱えながらも、正直にさらけ出し、相手と向き合おうとする姿を描いています。
サウンドにも歌声にも程よく哀愁が漂っていて、それでいてソウルフルで、聴き込んでしまう一曲です。