2023年6月 / 今月のチェックマーク作品リスト

その月にリリースされたもので、チェックマークを是非とも付けておきたい作品(アルバム・EP・ミックステープなど)をピックアップする記事です。

6月は以下のラインナップとなっております〜。(※前月末の作品も含まれます)

1.CJ Fly – 『HEALING FROM OUR WOUNDS』


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ニューヨークのクルー、Pro Era(プロ・エラ)のメンバーでもあるCJ Fly(CJ・フライ)のニューアルバム。

自らの経験・ストーリーをもとに制作された作品であるそうですが、CJ個人だけでなく、この音楽が届いたリスナーへの「痛みの軽減」が願われた作品でもあるそうです。

終始情緒的な雰囲気があり、サウンドだけでもグッとくる曲が多いです。

「このプロジェクトは、自分が経験した全てから癒えるために作ったものだ。でも、それは俺だけじゃない、この世界全体だ。特にパンデミックの後、我々全員が人生で何かから癒えようと奮闘している。この音楽が誰かの孤独感を和らげ、その人が人生のどのポイントであろうと必要としていたものとして届くことを祈ってる。これは俺が最も脆弱にさらけ出したアルバムで、ファンがまだ知らない自分自身についてたくさん語ってる。だから、自分のストーリーを共有し、これら癒しのバイブレーションを通じて繋がり、その過程で皆ともっと深く知り合うのを楽しみにしているんだ。」Instagram

2.7xvethegenius – 『The Genius Tape』


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ニューヨーク・バッファローのラッパー7xvethegenius(ラヴ・ザ・ジーニアアス)の新作。ニューヨーク・ロチェスター出身のDJ Green Lantern(DJ・グリーン・ランタン)が前編プロデュースしたという作品で、Conway The Machine、Rome Streetz、Che Noir、TFらが参加しています。

重ためブーム・バップ、7xvethegeniusの冷ややかなラップなど、渋め要素が盛りだくさんです。

3.No Guidnce – 『Is It A Crime? EP』


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ロンドン出身の新鋭R&BグループNo Guidnce(ノー・ガイダンス)の4曲入りEP。

アリアナ・グランデとの仕事でも知られるシンガーソングライターVictoria Monét (ヴィクトリア・モネ)などが本作のライティングチームに加わっているのだとか。

スローバック感、90sを感じさせるメロウな曲で構成されたEPです。

ちなみに彼らはTikTokを通じ、Bruno Marsの「When I Was Your Man」、Drakeの「One Dance」、SZAの「Kill Bill」などカバー曲で人気を博したのだそう。

FLOをはじめ、UKのR&Bグループもどんどん盛り上がっていく予感です。

4.Maeta – 『When I Hear Your Name』


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ジェイ・ZのレーベルRoc Nationと契約した、インディアナ州・インディアナポリス出身のR&BシンガーMaeta(メイタ)の新アルバムです。

QUEENへのオマージュ「Cool Cat」、KAYTRANDAプロデュースのダンストラック「Questions」、極上ピアノバラード「Something Happens When I Hear Your Name」、官能的で情感に溢れたR&B「S(EX)」、そしてFree Nationalsとのエンディング曲「Through The Night」など、とにかく魅力的な曲に溢れた作品です。

Free Nationalsとの「Through The Night」は映像も合わせて見て頂きたいです。

5.BLK ODYSSY – 『DIAMONDS & FREAKS』


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Sam Houston(サム・ヒューストン[Juwan Elcock(ジュワン・エルコック)]とも呼ばれる)とAlejandro Black(アレハンドロ・ブラック)という二人のアーティストによって始められた音楽プロジェクトBLK ODYSSY(ブラック・オデッセイ)の新作。

テキサス州オースティンを拠点に活動している彼らは、ロックとソウルの要素を融合させたスタイルで独自の音楽スタイルを確立し、デビュー作『BLK VINTAGE』も話題に上りました。

そんなBLK ODYSSYの2作目『DIAMONDS & FREAKS』は、「愛と欲望のエロティック小説」と称されていて、「性的依存症」、「欲望」、「愛と欲望の違い」に大きく焦点を当てているのだとか。

「このアルバムは、多層的でなんて深いんだろう、っていうプロジェクトなんだよ、俺にとって内面的にすごく深いんだ」okayplayer

また、サウンド面も多様性に溢れていて、R&B、ネオ・ソウル、ヒップホップが巧みにフュージョンしているように感じます。

「アレハンドロと俺、そして一緒に仕事した他の全ての連中にとって、BLK ODYSSYプロジェクトについては一つ明確なことがあったんだ。それはルールについてじゃなかった。伝統についてでもなかった。それはどう感じるかについてだったんだよ、音や音響がどう感じさせるか、曲の様々な要素がどう感じさせるか。それは常に俺たちが最優先に考えてることさ。だからこれらのトラックには本物の感情が詰まってて、それがこの曲に没入感を与えてる。それが俺たちのシグネチャーサウンドだと思ってる。」okayplayer

6.Statik Selektah – 『Round Trip』


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マサチューセッツ州ローレンスを拠点に活動するプロデューサーStatik Selektah(スタティック・セレクター)の最新作。20曲を余すところなくバケモノ曲に変える豪華フィーチャリングアーティストの祭典的作品です。

バンガーなブームバップ、ドープめなビート、ジャジーなメロディアストラック、そして聴けば分かるスタティックビート独特のエモーショナルな風合いトラックまで、多彩で多才な彼の音楽を堪能できる一作です。

7.Shafiq Husayn – 『So Gold』


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ロサンゼルスの音楽プロデューサーグループSa-Ra Creative Partners(サーラー・クリエイティブ・パートナーズ)の創設者の一人、プロデューサー、ソングライター、ヴォーカリストなどの顔を持つ多彩なアーティストShafiq Husayn(シャフィク・フセイン)の最新作。

Anderson.Paak、Syd、Peyton、Thurz、Jimetta Rose、Speed Waltonなどとのコラボレートが収められている本作は、”質感”のオンパレード。コラボするアーティストの個性と、一貫するシャフィークの音色に引き込まれます。

8.Kiana Ledé – 『Grudges』


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ロサンゼルスを拠点に活動するシンガーソングライターKiana Ledé(キアナ・レデ)の2ndアルバムです。

「Grudges(恨み)」という、なんともシリアスなタイトルが名付けられた作品。文字通りの意味が込められつつ、抱えた恨みを乗り越えるセラピーの役割など、複数の意味を持っているのだとか。

「関係性に対する恨み、そして人生全般に対する恨みだね。これは私たち全員が常に取り組まなければならないことだと思うわ、それが恋愛関係であろうと自己の内面であろうと、世界全体であろうと。」VIBE

はじめは「Closure(終結)」というタイトルを名付けようとしていた作品だそうですが、それは願望的なもので、「問題が何であるかをまず名付けなければ、それを解決するための取り組みは始まらない」と考えたことから「Grudges(恨み)」になったそうです。

「このアルバムは基本的に私が全ての恨みについて話しているだけ、そうすることで本当の終結に辿り着けるんだと思う。」VIBE

そんな元々のタイトル案であった「Closure」は、アルバムの17曲目に楽曲として収録されています。

Kiana Ledé – Closure
Lyric

[Verse 1]
A lot shit has happened to me in the past year
(過去1年で私にはたくさんのことが起こった)
A broken heart, anxiety and ocean tears, but
(失恋と不安と大量の涙だけど)
I been feelin’ better each day
(日々、少しずつ気分がよくなってきている)
Overcomin’ all my pain
(全ての苦痛を克服してきた)
Close to sayin’ I’m okay
(もうすぐ「私は大丈夫」と言えそうだ)
A little more and more everyday
(日々、少しずつ進んでいる)
But I came so far from where I began
(始めた場所から、私はこんなに遠くまで来た)
So it just takes time
(だから、時間が必要なだけ)
But it will get better
(でも、きっとよくなる)

キアナがこの歌詞で克服の姿を見せるように、この曲・このアルバムは、リスナーが孤独を感じないように寄り添ってくれているようにも感じますね。

9.Hit-Boy, Big Hit – 『SURF OR DROWN, Vol. 2』


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カリフォルニア州フォンタナ生まれの名プロデューサーHit-Boy(ヒット・ボーイ)と、彼の父親であるBig Hit(ビッグ・ヒット)のコラボ作。ヒット・ボーイが3月にリリースした 『SURF OR DROWN』の続編です。

関連記事:2023年3月 / 今月のチェックマーク作品リスト

作品にはBig Sean、Dom Kennedy、Garrenらアーティストが参加。9年間の刑期を終えて刑務所を出所したばかりという父との親子コラボレートを要チェックです。

10.Ambré – 『who’s loving you?』


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ニューオーリンズ出身のシンガーソングライターAmbré(アンブレ)の最新EP。前作『3000°』からおよそ一年ぶりの新作です。

「who’s loving you?(あなたを愛しているのは誰?)」というタイトルや、作品の内容はAmbréが自分自身やリスナーへ問いかけていることだそう。

「Who’s loving you? これは私が自分自身、そして観客に問いかけていること。愛されるってどんな感じ?愛されてるってどんな音がするの? このプロジェクトは、創作過程でとても自由で開放的だったよ。楽しみながら、開放的になることを目指して作ったんだ。まるでミックステープのように、’B面’や’Deep cuts’のような感じを出したかったんだ。それでも意図はしっかりとあるけど、作るのはとても簡単だったよ。このプロジェクトは、3000°が終わったところから始まっているんだよ。」

Ambréなりの「愛される」の音楽が本作品に詰まっているようです。

関連記事:Ambréとは / ソフトで繊細なボーカルを持つ魂のメロディメーカー

11.PHABO – 『Don’t Get Too Cozy』


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カリフォルニア州サンディエゴ生まれ、フロリダ州セント・ピーターズバーグ育ち、現在LAを拠点に活動しているシンガーPHABOのニューアルバム。盛りだくさんの18曲にメロウかつドープかつクラシックなR&Bが詰まった作品です。

イントロから2曲目「Line」の流れで完全に引き込まれました。

作品はわざと抑揚のある展開・仕掛けになっていて、リリックからサウンドまで楽しめる内容になっているそうです。

「プロジェクト全体に意図的に山あり谷ありが配置されていて、どの心情にもあまり安住しないようになってるんだ。例えば、”あ、見て、彼はこの曲で恋に落ちてるね。でも、”Your Loss”のKalan.FrFrとのコラボでは、まるでここにいること自体を気にしてないみたいな話し方をしてる”みたいな。そういう意味で、予測不能なんだよ。新しい言葉、新しい抑揚、新しいビートパターン、新しいコアがある。もっと本物の自分を最初から最後まで出してる感じ。クラシックR&Bの要素が楽しめると思うし、我々が押し進めてるサウンドも同様に楽しめるんじゃないかと思ってるよ。」

バックナンバー:2023年5月 / 今月のチェックマーク作品リスト

バックナンバー:2023年4月 / 今月のチェックマーク作品リスト

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