2024年4月 / 今月のチェックマーク作品リスト

その月にリリースされたもので、チェックマークを是非とも付けておきたい作品(アルバム・EP・ミックステープなど)をピックアップする記事です。

ということで、4月は以下のラインナップとなっております〜。

1.J. Cole – 『Might Delete Later』


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ラッパー J. Cole(J・コール)による4枚目のミックステープ。Coleの個人的な経験や社会に対する考察など、様々なテーマを扱った本作は、なんといってもアルバムのラストトラック「7 Minute Drill」にて、Kendrick Lamarの「Like That」におけるバースへの応酬を行なったのが印象深い点でしょう。

この「Like That」へのアンサーを反省・謝罪したコールは、すぐさま該当曲「7 Minute Drill」を配信サービスから削除。彼の行動は賛否を生んでいるようです(USでは批判意見が多く、日本では肯定的意見が多いらしい)。

個人的には、「恐らく批判を喰らうだろう」と分かっていながら、ありのままの姿(ある種の弱みめいたもの)を見せた彼をクールだなと思いました。

コールがトラックについて言及している動画

「血を見たがってる人たちがいるんだ。でも、自分は葛藤してるよ。心の中ではね、同業者たちに対して感じてる尊敬とか、このゲームの中でそばにいられるだけでありがたいと思ってるから。でも、世界は血を求めてる。それ、感じる?だから、音楽を出そうとするこの精神状態で、正直に言うけど、精神的にも自分を悪く感じさせるような動きをしてしまったんだ。ちょっとしたことで仲間を突き放そうとして、フレンドリーを保とうとしたけど、結局、それを聞いて、話が出てきた時、それが俺の心に響かなくて、平和が乱れたんだ。」

今シーズンはケンドリック関連の話題が持ちきりです。

2.Devin Morrison – 『Dreamsoul Ballads』


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フロリダ州オーランド出身のシンガーDevin Morrison(デヴィン・モリソン)の最新作。

「最初はくだらないコンセプトだったが、最終的にはもっと感情的な意味を持つことになった。」bandcamp

と語られている本作は、女性の名前をタイトルにした7曲入りの作品。あいかわらずのシルキー&スムースな歌声は美しく、ノスタルジック&ロマンチックなサウンドも幻想的で聴き心地最高です。

4月末には、彼が縁のある東京(以前住んでいた)でもリリースパーティが行われていましたね。

関連記事:Devin Morrison(デヴィン・モリソン)とは / スムースR&Bの逸材のこれまでを紹介

3.Misha – 『Radiant』


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フィンランドのプロデューサーMisha(ミーシャ)の最新フルレングス・プロジェクト。音楽トリオ”Moonchild”のAmber Navranをはじめ、Nate Smith、Katori Walker、BeMyFiasco、Dornikなどが参加しています。

サウンドはソウルフルR&Bテイスト。とだけ言うには説明不足で、ドリーミーなシンセ・太めなビート・重低音とが溶け合ったプロダクションが印象的です。リラックスしながらも、深く聴き込める作品だと思います◎。

4.Bryson Tiller – 『Bryson Tiller』


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ケンタッキー州ルイビル出身のアーティストBryson Tiller(ブライソン・ティラー)のニューアルバムです。自らの名前を名付けた裏には、「みんなが思う以上に自分は多彩である」ということを誇示したかったからなのだとか。

「『Bryson Tiller』というタイトルにした理由はいくつかある。一つは、長い間みんなが俺をある枠にはめようとしていたからだよ。彼らは俺に2015年にやったこと、つまりT R A P S O U Lのスタイルを続けてほしいと望んでいるんだ。ラップと歌を混ぜて一つのものにする。それを続ければ全てが上手くいくと。周りの人たちも、「お前はそれを知ってるから、それをやればいい」と言う。でも、「いや、俺はアーティストだ。もっと色々なことができる」と思っている。みんなは俺がT R A P S O U Lを作った時よりも優れたラッパーであることを知らない。歌手として自分がより優れているとは言いたくないけど、T R A P S O U Lではわざとボーカルを抑制したんだ。みんなは俺が歌手として何ができるかをまだ知らないんだよ。」billboard

「もう一つの理由は、今が自分自身を示し、本当の自分でいる絶好の機会だと感じたからだ。人々に真の自分を見せ、自分らしいことをする。SF映画が好きで、それがアルバムのカバーのインスピレーションなんだ。」billboard

そして、”自分らしさ”を表現した作品でもあるそう。彼の「スキル・多彩さの誇示」と、「自分らしさの表現」がテーマの両軸になったのは間違いなさそうです。

確かに「undertow」なんかはバリバリカントリー調だし、「Assime The Position」の、R&Bとは一線を画すスタイルのポップソングがあったりetcで、過去作と比べると鮮やかなだなと感じました。

「誰に何を言われようとも自分はコレなんだ」という、どこか『SOS』のSZAの雰囲気も感じたりして、そんな点も好きなポイントです。

彼はここからさらに化けそうだなと感じた次第であります。

5.Jean Deaux – 『nowhere, fast』


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シカゴ出身のシンガーソングライターJean Deaux(ジーン・ドー)の最新EP。本作は彼女がEmpire Recordsとのビジネス関係を終了した時期と重なり、精神的な不安があった中で制作されたのだそうです。

『Nowhere, Fast』を制作し始めたのは、Empireとのビジネスパートナーシップを終えた時だったわ。私の人生には多くの不確実性があり、マネジメントとも関係を終えたの。これからどうなるか全く見えないし、次の章が何になるのかもわからない。その感じが私の人生の他のすべて、人間関係、友情、ビジネス関係、あらゆる関係にも影響していたの。自分をかなり孤立させることで、自分自身について多くを学べたわ。それが『Nowhere, Fast』の制作の出発点だったと思う。結局、新しいレーベルで作品をリリースすることになって、うまくいったわ。その時期に自分の人生で正直でいることがどれほど大事かを感じて、その時間をとって本当に良かったと思ってる。billboard

1人で向き合う時間ができたことで「自分に正直になれた」と語り、彼女の新たな自己表現の一面が表れた作品かもしれません。

フォトグラファーのブリアナ・アリスが撮影した、シネマティックなアートワークにも注目。

6.Seafood Sam – 『Standing on Giant Shoulders』


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カリフォルニア・ロングビーチのラッパーSeafood Sam(シーフード・サム)の新作。アルバムタイトル『Standing on Giant Shoulders』は、「過去の偉大な業績や知識を基にして、さらに高みを目指す」意味を持つ「巨人の肩の上に立つ」という言葉に由来していて、過去の偉大なミュージシャンたち、具体的にはジェームス・ブラウン、ボビー・ブラウン、マイルス・デイビスから受けた影響やインスピレーションを表しているのだとか。

「グルーヴィー」と言えば抽象的ですが、 瑞々しくゆとりのあるサウンド、彼のレイドバックなフロー、様々なレイヤーが重なり合って、 心地よさ100%の音楽を生み出しています。

7.Ye Ali – 『Private Suite 5』


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インディアナ州ハモンド出身のシンガーYe Ali(イェ・アリ)の、2015年から続くシリーズ作『Private Suite』の第5弾。そのほとんどがメロウネスなスロージャムで構成されている作品です。

ウェットでドリーミーな別世界に連れて行かれるような、そんな25分を体感できます。

8.PARTYNEXTDOOR – 『PARTYNEXTDOOR 4 (P4)』


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カナダのシンガーソングライターPARTYNEXTDOOR(パーティーネクストドア)の、2020年10月にリリースしたEP『PARTYPACK』に続く作品で、セルフタイトルシリーズ最新作。「H e r O l d F r i e n d s」「R e s e n t m e n t」「R e a l W o m a n」という三枚のシングルリリースを経て、約4年ぶりのリリースとなったアルバムです。

アルバムの核を担う魅惑的なR&Bの曲調が多くを占めながらも、カリブ海音楽の影響を受けた「For Certain」なども含まれており、一貫性と革新性が入り混じっています。

アートワークも言わずもがなですが印象的。賛否あれど、脳裏に焼き付くジャケットです。

ドレイクのOVO所属ということで、ケンドリックとのビーフの影響が少なからずありそうですね。。

9.Flwr Chyld and Grimm Lynn – 『Café Noir』


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ジョージア州アトランタのシンガー・ソングライターFlwr Chyld(フラワー・チャイルド)と、Grimm Lynn(グリム・リン)によるコラボ作。R&B、ネオソウル、ファンク、ソウルの要素を良いとこ取りしたような8曲は、リラックスした時間をさらに豊かにしてくれる音色が満載。

夏のプレイリストにも何曲か入れたい心地よさがあります。

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