H.E.R. – Damageを考察&解説 / 当たり前の存在と思ったとき起こる痛み

2020年10月21日リリース。シンガーH.E.R.のアルバム『Back of My Mind』にも収録された曲「Damage」。Herb Alpertの1987年のヒット曲「Making Love in the Rain」をサンプリングし、2022年には、第64回グラミー賞の「ベストR&Bソング賞」と「ベストR&Bパフォーマンス賞」にもノミネートされた他、RIAAからダブルプラチナ認定も受けています。

今回はそんな「Damage」の歌詞の内容を主に深掘りしていきます。(※本記事は筆者の感想文が含まれます。あくまで考察としてお読みいただければと思います。)

H.E.R. – 「Damage」のリリックを深読みする

歌詞の一部を抜粋しながら、曲に込められたメッセージを紐解いていきます。

この曲は、大切な人からの信頼が裏切られることの痛みを強調しつつ、自己価値の理解と、自分を尊重してくれる相手を求めているのが伺える歌です。

「当然と思わないで」というフレーズが何度も出てきており、大切な人があなたのことを「当たり前の存在」と思ったとき起こる「ダメージ」について歌っています。

「”Damage”は、誰かを好きになったとき、あるいは誰かと関係を深めているときに抱く弱さを表現している。彼らがあなたの心を壊さないことを願う。」genius

プレコーラス

Lyric

If I let you, don’t take me for granted, yeah (You, you, you, you)
(もし私があなたを許すなら、私を当然のように思わないで)
If I’m worth more than you could manage, manage, yeah
(もし私の価値があなたにとって扱えないほど高いならね)
Open with me, oh, we could be honest
(私とオープンに、私たちは正直になれる)
Closer to me, oh, givin’ me solace
(私に近づいて、私に慰めを与えて)
Promise that you won’t let me fall, oh, oh
(私を見捨てないと約束して)

ここでは彼女が自分の価値を理解し、それを「当然のように扱わないで欲しい」と、彼にも理解を求めています。また、相手との関係で正直でありたいと願っていて、そのためには相手との距離を縮めたり、正直になることが必要だと感じています。

コーラス

Lyric

Holdin’ me tight, lovin’ me right, givin’ me life
(私をしっかり抱きしめて、ちゃんと愛して、活力を与えて)
All night you could be (You could be)
(一晩中あなたはそうできる)
Tellin’ me lies, makin’ me cry, wastin’ my time
(私に嘘をついて、私を泣かせて、私の時間を無駄にして)
The whole time, so just be
(ずっと一緒にいる間、あなた自身でいて)
Careful what you take for granted, yeah
(当然のように思うことに注意して)
‘Cause with me know you could do damage
(私と一緒にいると、あなたはダメージを与えることができるんだ)
You (Uh), you could do damage
(あなたはダメージを与えることができるんだ)
You (You), you could do damage (You, you, you, you)
(あなたはダメージを与えることができるんだ)

コーラス部分では、歌い手が相手に期待する愛の形と、それが裏切られたときの痛みを表現。

彼女は愛情深く、正しく愛されることを求めていますが、同時に、嘘をつかれたり、時間を無駄にしたりすることの痛みも知っています。

プレコーラスでも歌っていましたが、ここでも「自分を当然のように扱わないでほしい」と求めていて、彼女自身が「当たり前の存在」と思われたときに受ける可能性のある「ダメージ」についてを歌っていることが分かります。

ヴァース2

Lyric

Worry ’bout it, I’m puttin’ pressure (You know)
(それについて心配して、私はプレッシャーをかけてる(あなたは知ってる))
You’ll only cut me if I let you
(私が許せば、あなたは私を傷つけるだけ)
No, we ain’t doing this just for pleasure
(いや、私たちはこれを楽しみのためだけにやっているわけではない)
Either learn me or I’m a lesson, gone, no
(私を理解するか、私が教訓になるか、離れる、いや)

このヴァースでは、歌い手の「立場」や「気持ちの理解」について歌っているように思います。

彼女はある問題について心配し、相手に対してプレッシャーをかけている様子が伺えます。また、「自分がその行動を許してしまうと、結果として自分が傷つく可能性がある」ということを表現。

彼女はこの関係を単なる楽しみのためだけではなく、深く真剣な関係を求めていて、もし相手がそうしないなら「歌い手自身が相手にとっての教訓となるだろう」と。そして、その後で関係が終わるかもしれないことを示しているように感じます。

最後に

「自己価値の理解」と「それを尊重する相手を求める感情」、「そんな相手に対し、信頼が裏切られること怖さ」を「ダメージ(痛み)」として表現している歌だと思いました。

また冒頭でも触れてますが、「当然と思わないで」というワードが個人的に強く印象に残っていて、「当たり前なんて無いんだよ」というメッセージもあるように感じた次第です。

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