2024年5月 / 今月のチェックマーク作品リスト

その月にリリースされたもので、チェックマークを是非とも付けておきたい作品(アルバム・EP・ミックステープなど)をピックアップする記事です。

ということで、5月は以下のラインナップとなっております〜。

1.Kamasi Washington – 『Fearless Movement』


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ロサンゼルスのジャズ・サックス奏者Kamasi Washington(カマシ・ワシントン)の最新作。ダンス・アルバムと定義づけられるこの作品は、俗にいうダンスミュージックとは別の意味合いで、「ダンスは動きであり表現であり、ある意味音楽と同等」という部分を大切にしている作品なのだとか。

彼の娘からインスピレーションを得た部分もあるそうで、子供の無邪気な視点が描かれていたり、ジャズだけでなく、ラテン、ファンク、クラシック、ヒップホップ、ソウルなど様々な要素がブレンドされた、クリエイティビティのあるアルバムです。

2.4batz – 『u made me a st4r』


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ダラス出身のシンガーソングライター4batz(フォー・バッツ)のデビューアルバム。4batzは2023年に突如現れ、「Act II: Date @ 8」や、ユニークなボーカルスタイルとビジュアルで注目を集める人物です。

そんな彼の独特のヴォーカルとメロディにはどこか中毒性があって、4batzならではの世界観が感じられます。

匿名とまでは行かないものの、この「謎に包まれてる感」に魅力を感じる人も多いのではないでしょうか。

3.SAFE – 『Tell It Like It Is』


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カナダ・トロント出身の歌手、ラッパー、シンガーソングライターのSAFE(セーフ)による10曲入り作品。彼は2015年にSoundCloudでリリースしたシングル「Feel」で注目を集め、Playboi CartiやKhalid、YG、Kiana Ledeなどとのコラボでも知られています。

『Tell It Like It Is』は、スローリーでとろけるようなリラックスソングで構成。声色を変えた「neck & earz」も面白いし、約25分というコンパクトさ、それでいて短すぎずに聴けるのが魅力だと思いました。

4.Ghostface Killah – 『Set The Tone (Guns & Roses)』


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ラッパーGhostface Killah(ゴースト・フェイスキラー)の12枚目のアルバム。「(Guns & Roses)」と名付けられた本作は、力強いビートと鋭いライムに裏付けられる「Guns」、アーバンでR&B的な要素も感じられる「Roses」という二つのセクション構成されています。

「Guns」セクションでは、古き良きGhostface Killahのスタイルが楽しめると評価は高めである一方、「Roses」セクションにアレルギー反応を示すリスナーも多いようです。が、「Roses」セクション、個人的には好きでした。

5.Rapsody – 『Please Don’t Cry』


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ノースカロライナ州スノー・ヒル出身のラッパーRapsody(ラプソディ)の4作目のアルバム。Lil WayneやErykah Baduなどの著名なアーティストが参加する22曲構成の作品です。

『Please Don’t Cry』と、なんとも物悲しげなタイトルですが、そんなタイトルを回収するように、本作は彼女にとって非常に個人的で脆弱な内容だといいます。

自己愛と自己受容をテーマにしていて、彼女自身の成長と癒しのプロセスを反映しており、リスナーにも同じメッセージを伝えたいと考えているそうです。

「Please Don’t Cry」というタイトルに関して、彼女は「抱え込まないで、解放して」と語っています。

「それがどういうことかっていうと、自分の感情を感じることを許してあげるべきなんだ。どんな感情であってもね——悲しいとは限らないけど——自分を人間として感じることを許してあげる。それがこの言葉の核心。皮肉なことに、いや、でも本当にそうしてほしい。泣くときには笑って、恋に落ちたときには目から涙が出るほど笑って。魂を痛みから洗い流すんだ。抱え込まないで、解放して、軽くなるんだ。」UPROXX

ラプソディが作中で一番好きな曲だという、エリカ・バドゥとの「3AM」の深掘り記事もあるのでぜひ。

関連記事:Rapsody「3:AM ft. Erykah Badu」を考察&解説 / パートナーへの深い愛と感謝を歌う曲

6.Vince Staples – 『Dark Times』


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カリフォルニア州ロングビーチ出身のラッパー、Vince Staples(ヴィンス・ステイプルズ)の最新作。彼のDef Jam契約の最後の作品としてリリースされたアルバムだそうです。

『Dark Times』では、Vince Staplesが自らの人生経験と向き合い、その中で感じた痛みや困難を描写しているといいます。そんなテーマを後押しする陰影のあるメロディックなサウンドアプローチがまた秀逸で、作品全体の緊張感のあるトーンも魅力の一つだと思いました。

7.Smoke DZA – 『You’re All Welcome』


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ニューヨーク・ハーレムのラッパーSmoke DZA(スモーク・ディザ)と、同じくハーレム出身のDJ RELLYRELL(DJレリー・レル)のコラボ作。Westside Gunn、Stove God Cooks、DRAM、Steven Young、Really Jaewon、Lord Cartelなどが参加しています。

「One Time」といったしぶとい曲はさることながら、「Rich Showers」といった繊細なヴォーカルが光る曲があったり、スパイスも効いた作品だと思いました。

8.Sango – 『North Vol. 2』


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『North Vol. 2』は、シアトル出身のプロデューサーSango(サンゴ)によるアルバム。彼の2013年のデビューアルバム『North』へのオマージュ作品としてリリースされたそうです。

masegoとのリードシングル「Masego’s Interlude」をはじめ、多彩なゲストアーティストを迎えた本作。R&Bのフィーリングを核に感じさせつつ、幅広いジャンルへの探求心がうかがえ、Sangoの多面的なプロデュース能力が開花している印象です。

『North』

9.Young Deji – 『Enjoymenting 2』


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テキサス州ヒューストン出身のシンガー/ダンサーのYoung Deji(ヤング・デジ)の最新作。ウィズ・カリファ筆頭のレーベルTaylor Gangからのリリースです。

ウィズ・カリファやタイダラーサインとのコラボ曲などを含む19曲は、ダンサーライクなバウンシー曲から、ナイトクルージングに最適なメロウソングまで色とりどり。多彩さはあるものの、Young Dejiシグネチャーはしっかりあって、聴きごたえ抜群でした。

10.mynameisntjmack – 『mynameisnt』


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ヴァージニア出身で現在はロサンゼルスを拠点に活動するラッパーmynameisntjmack(マイネームイズントジェイマック)の11曲入りプロジェクト。

ジャジーでアブストラクトな質感とレイドバックなフローを持ち、渋め。しかし懐古的過ぎず、現代的なノリもしっかり押さえているのがツボでした。

本作は過去の作品よりも、よりプロダクションに意識的に取り組んだそうで、彼の大きな進化が垣間見える作品でもあるようです。

「今回のアルバムでは、過去と違ってプロダクションに本気で取り組んでるってことさ。前はYouTubeとかで見つけたビートにラップ乗せて、DistroKidで出してたんだ。でも今は違う。デモから始めた曲を2年かけて育て上げ、知り合ったプロデューサーやミュージシャンと一緒に作り上げたんだ。ライブの楽器も使って、ホーン、ベース、キーボードとか、全部生音。これが俺の進化の大きなポイントだ。単に最高のラップを集めるんじゃなくて、全体的に完成度を高めることに焦点を当ててるんだよ」SHEESH

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