SZA – The Weekendを考察&解説 / 恋人との時間をタイムシェアするラブソング

SZAの2017年のデビューLP『CTRL』からのシングルカットで、ビルボード・ホット100では29位を記録し、当時のSZAのソロ曲で最高位を記録した曲「The Weekend」。

今回はそんな「The Weekend」の歌詞の内容を主に深掘りし、考察していきます。(※本記事は筆者の感想文が含まれます。あくまで考察としてお読みいただければと思います。)

SZA – The Weekendはどんな曲?

The Weekendは「男をタイムシェアする」という革新的な視点が描かれている歌で、「すべての行動の中心が男性である」という考えを一旦置き、「彼女側主体の視点」や「現代的な考え(昔にはなかったと思われる恋愛の価値観)」を示した歌です。

「男との時間をシェアするって本当にリアルだよね。正直に言えば、一人の女性だけと付き合ってる男なんてほとんどいないと思う。低調に言うと、インターネットのせいで関係を保つのが難しくなってるんじゃないかな。情報があふれてるから。常に新しいもの、もっと、もっと、もっとって感じ。一人の人といるって、制限みたいなもの、束縛みたいなものに感じるよね。みんな刺激を求めてる感じ。
男ってさ、誰と付き合ってるのか言いたくないようなとこあるよね。なんとなく、後で連絡する選択肢を失いたくないから。彼らが本当にそうするかどうかは分からないけど、選択肢が必要なんだと思う。だからその曲の中で、私はその選択肢に入りたいの。多分、君はたくさんの彼女がいるんじゃないかな。もしかしたら、正直に言ってくれてないかもしれないけど、君がたくさんの彼女がいることは知ってるよ。でも気にしない、だって私、君の彼女になりたくなかったんだから!君の行動を私に対する失礼として受け取ってないし、君が彼氏じゃないからって私の価値が下がるわけじゃない。そうだし、君も彼女の彼氏じゃないし、彼女の彼氏でもない。ただ自由に遊び回ってるだけさ。」VULTURE

インターネットやSNSの発達によって、人々の恋愛模様が昔と変化しているのが表れています。

SZA「The Weekend」のリリックを深読みする

ここからは、歌詞のいくつかの部分を抜粋して、曲で伝えたい想いを考察します。

ヴァース1冒頭

Lyric

You say you got a girl
(君は彼女がいるって言ってる)
Yeah, how you want me? How you want me when you got a girl?
(え、どうして私を欲しがるの?彼女がいるのに私をどうして欲しがるの?)
The feelin’ is reckless, of knowin’ it’s selfish
(この感じは無謀で、自分勝手だってわかってる)
And knowin’ I’m desperate
(そして私が必死だってことも知ってる)
Gettin’ all in your love, fallin’ all over love, like
(君の愛に夢中になって、愛に完全に落ちて、みたいな)

ヴァース1では、SZAが男性との関係の複雑さを明らかにしています。彼女は彼が他の女性とも関係を持っていることを知っていますが、それでも彼を欲しがっています。

ヴァース後半には「Like, is you comin’ home? Is you out with her?(帰ってくるの?彼女と出かけてるの?)I don’t care long as you here by 10:30, no later than(10:30までにここにいればいい、それ以上遅れないで)」と言っていることから、二の次でも良いから彼と一緒にいたい気持ちが伝わって来ますね。

この状態が「自己中心的(無謀で必死)」ということを彼女も分かっていますが、それでも彼との関係に夢中になっていることを認めています。

コーラス前半

Lyric

My man is my man, is your man, heard it’s her man too
(私の男は私の男、君の男、彼女の男だって聞いた)
My man is my man, is your man, heard that’s her man
(私の男は私の男、君の男、彼女の男だって聞いた)
Tuesday and Wednesday, Thursday and Friday
(火曜日と水曜日、木曜日と金曜日)
I just keep him satisfied through the weekend
(週末まで彼を満足させてるだけ)
You like nine to five, I’m the weekend, oh
(君は9時から5時、私は週末、ああ)
Make him lose his mind every weekend
(毎週末彼の心を失わせる)

コーラス部分は、タイトルにもなっている「Weekend(週末)」が絡んでくる部分です。

ここでは、相手の男性が複数の女性と関係を持っていることを歌っています。彼女は彼にとっての「週末」であり、彼が他の女性と過ごす平日とは違って、「特別な週末の存在」であることを強調しているように感じます。

そんな彼の行動を知っても尚、彼を欲しがっていることがここからも分かります。

ヴァース2

Lyric

I gotta say, I’m in the mood for a little bit more of that
(言わせてもらうけど、もっとその感じが欲しいわ)
I mean, I’m sayin’, what kind of tease is two days?
(つまり、2日間だけって、どんないじわる?)
I need me at least ’bout four of them, more of them
(私は少なくとも4日間は欲しいわ、それ以上も)
More you on me, on us, just tell me you want me, yeah, Monday
(もっと君と私、私たちの時間が欲しいの。ただ、月曜日に私を欲しがってるって言って)
And I’ll be at your door, ready to take her place
(そうしたら、私は君のところに行って、彼女の代わりになるわ)
Ready to give you what you’ve been missin’ on weekdays
(平日に君が恋しがってたもの、私があげる)

2番目のヴァースでは、歌い手が彼との関係をさらに深めたいという願望を強調し、彼女は彼との時間をもっと欲しがっています。

コーラスで歌っていたように、彼が他の女性と過ごす時間に比べ、自分との時間が特別であることを示していて、彼女は彼の欲望、彼が欲しがるものを提供する準備ができていることを表現しています。

まとめ

総じて、この曲は一人の男性と関わる(複数の)女性の視点から、「タイムシェア」という新たな観点での恋愛関係の複雑さを描写しています。自分の価値を意識し、自分の欲しいものを追求する力を持っていることを強調する歌い手。

「一人のパートナーだけって誰が決めたの?」「でも彼がもっと欲しい」と、人間的な矛盾を感じさせつつ、「Weekend(週末の恋人)」という印象深いワード軸に、恋愛模様を表現している部分にセンスを感じる曲でした。

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