Victoria Monét – 「On My Mama」を考察&解説 / 産後うつの中での自己肯定の探求

2023年6月16日リリース。また8月25日にリリースされたVictoria Monét(ヴィクトリア・モネ)のアルバム『JUGUAR ll』にも収録された「On My Mama」。テキサス州出身のラッパーChalie Boyのヒット曲「I Look Good」をサンプリングしたポジティビティ溢れる一曲です。

今回はそんな「On My Mama」の歌詞の内容を主に深掘りします。(※本記事は筆者の感想文が含まれます。あくまで考察としてお読みいただければと思います。)

「On My Mama」が出来たきっかけ

この曲は、2021年2月に産まれたヴィクトリアの愛娘ケインズの誕生後に出来た曲だそう。彼女は産後の困難な経験し、その経験に対するポジティブな肯定としてこの曲を作ったのだとか。

彼女は産後うつに悩まされていたそうで、パンデミックの時期も重なったことで相当なストレスを抱えていたそう。

「このレコードは実際には2021年に作ったよ。おそらく…出産後8、9週間後くらいかな?。私はとてもに辛い時期にあった。産後うつだったんだ。」NECOLE

「まだ授乳中で、新しい生活に適応しようとしていたけど、同時にCOVIDパンデミックの真っ只中で、子供と一緒にスタジオにいることさえもリスキーで怖い状況だった。」NECOLE

「ヘイゼル(2歳の娘)を授かった後で初めて気に入る曲が書けたんだ」と語るヴィクトリア。

しかし、ポジティブソングである本曲ですが、曲で歌われているようなポジティビティのある内容を、彼女自身で信じることが出来ない状態でもあったそうです。

「曲にすることで、それを実現しようと思ったんだ。そして、私は自分自身がとても魅力的に見え、良い気分でいるし、そんな気分や評価を受けるに値する。」NECOLE

「On My Mama」は、辛い自分の気持ちや状況に対して、ポジティブな自分を言い聞かせ、そんな自分を肯定するような想いが込められている曲のようですね。

「On My Mama」のリリックを読む

ここからは、歌詞のいくつかの部分を抜粋して、曲で伝えたい想いを考察します。

この歌は、自己肯定感と自尊心の高さがテーマ感じられる曲で、特に女性の強さと独立性を強調。タイトルでもある「on my mama」 は、自身が言っていることに自分自身で誓ったり、確信していることを示すスラングで、彼女の家族や出身地域への誇りを表現しています。

ヴァース1冒頭

Lyric

When they say, “She get it from her mama
(彼らが「彼女は母親譲りだ」と言ったら)
I’ma say, “You fuckin’ right
(私は「全くその通り」と言うわ)
Body rude, it’s unpolite
(体は圧倒的で、あまりにも魅力的)
Done bein’ the humble type
(控えめなタイプを演じるのはもう終わり)

ヴァースの冒頭では、彼女の魅力や性格が母親譲りであることを誇りに思っています。その後の「Body rude, it’s unpolite」は、直訳すると「体が失礼で、それは無礼だ」と訳せますが、文脈的に見ていくと、「彼女の体は非常に魅力的で、その魅力が周りの人々に圧倒的である」ことを示唆。

そして、「it’s unpolite(礼儀知らず)」はその魅力が強烈すぎて、まるで他の人々に対して「無礼」であるかのようだ、ということを強調しています。

この部分では、彼女が自分の魅力に自信を持ち、控えめでいることをやめたいと考えていることが伝わります。

コーラス

Lyric

I put that on my own mama, on my hood
(それを私の母と私の地域に誓って)
I look fly, I look good
(私はカッコよく、きれい)
You can’t touch my bag, wish you could
(私のバッグには触れられない、できたらいいのにね)
I look fly, I look too good
(私はカッコよく、あまりにもきれい)

コーラス部分では、彼女の外見やスタイルに対する自信が中心となっています。繰り返される「I look fly, I look good(私はカッコよく、きれい)」は、彼女が自分の容姿に絶対的な自信を持っていることを示しています。

「on my own mama」や「 on my hood」は、彼女が言っていることの真実性や確実性を強調するフレーズ(スラング)で、「私が言っていることは本当に本気で、絶対に真実だ」ということを強調しています。

ヴァース2冒頭

Lyric

I’m so deep in my bag
(私は今、絶好調よ)
Like a grandma with a peppermint
(ペパーミントを持ったおばあちゃんのように)
They say, “Ooh, she smell good
(彼らは「おお、彼女はいい香りだ」と言う)
That’s just ’cause I’m Heaven-sent
(それはただ私が天からの贈り物だからよ)

「I’m so deep in my bag」というフレーズは直訳すると「(私はバッグの中に深く入ってる)」ですが、「In my bag」や「Deep in my bag」という表現は、スラングとして使用されることが多いそうで、「自分のゾーンに入っている」、「最高のパフォーマンスを出している」、「自分の能力や才能を最大限に活かしている」という意味を持っているようです。

この部分では、ヴィクトリアの自信と独自性、彼女自身の存在の特別さを強調しています。

まとめ

総じて「On My Mama」は、自分の価値や、自信について「確実性」を持っている自己肯定ソングというのが分かるフレーズがたくさん散りばめられていました。

女性の力、自信、自分自身を受け入れることの大切さを祝福しており、ヴィクトリア自身を含め、多くの辛い状況にある人に光を与えるポジティブソングです。

以上、Victoria Monét – 「On My Mama」の考察でした。

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