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UMIとは / 日本人と黒人のアイデンティティをあわせ持つシンガーの魅力

Artists Music R&B

「私は人を癒すために音楽を作っていると思うし、その裏には深い意図があるんだ。」

ワシントン州シアトル出身のシンガーソングライターUMIは、日本人と黒人のハーフとして生まれ、両方のアイデンティティをを持つ人物です。他者への共感と内省から生まれる音楽は、ヒーリング要素を持っていて、人々に癒しをもたらしてくれます。

今回はそんなシンガーUMIを紹介。「ヒットソング」や「注目作品」、「生い立ち」「影響を受けたアーティスト」などを深掘りしながら、彼女の魅力に迫ります。

目次

  1. UMIの6トップヒットソング
    1.Remember Me
    2.Butterfly
    3.Love Affair
    4.Lullaby
    5.Down to Earth
    6.Midnight Blues
  2. UMIのキャリアを振り返る
    日本人と黒人のハーフとして生を受ける
    音楽に囲まれて育った幼少期
    ネットで曲をアップし、注目を集め始める
    LAへ移住し、パフォーマーとしての足場を固める
  3. UMIが影響を受けたアーティスト
  4. 注目の2作品を紹介
    『Introspection』
    『Forest in the City』

プロフィール

名前 UMI(ウミ)
本名 Tierra Umi Wilson(ティエラ・ウミ・ウィルソン)
生年月日 1999年
出身 ワシントン州シアトル
主な作品 ALBUM
・『Forest in the City』2022
EP
・『Interlude』2018
・『Balance』2019
・『Love Language』2019
・『Introspection』2020
・『Introspection Reimagined』2021

UMI(ウミ)は本名Tierra Umi Wilson(ティエラ・ウミ・ウィルソン)。1999年生まれ、ワシントン州シアトル出身のシンガーソングライターです。その印象は、ソウルフルでエネルギーがあり、キャッチーでポップ。他者への共感を反映したメッセージ性のある音楽は、多くのリスナーに安らぎを与えています。

高校時代からYouTubeやSoundCloudでカバー曲を発表し、後に自身のオリジナルソングへと着手。その後ロサンゼルスへ渡り、南カリフォルニア大学でビジネスを学びながら、2019年にEP『Love Language』、2020年に『Introspection』、2021年にEPのライブ版『Introspection Reimagined』などの作品をリリースしました。

「Remember Me」などのヒットソングが有名になる頃、音楽活動に専念するため大学を退学し、2022年には待望のファーストアルバム『Forest in the City』をリリース。自身がヘッドライナーを務めるツアーも行っています。

日本人と黒人のハーフならではのアイデンティティを武器にした、自然的でスピリチュアリズムのある音楽は、ずっと耳を傾けていられるような不思議な魅力を持っています。

UMIの6トップヒットソング

1.Remember Me

リリース:2018年10月8日

親しい友人の失恋体験を元に書かれた曲で、ノスタルジーや複雑な気持ちが表現されています。友人の経験に深く共感し、自分も同じことを経験したような感覚になったところから生まれたそうです。

「 “Remember Me” は私の友人の経験で、私はとても深く共感し、ほとんど彼女のために曲を書いたんだけど、私もそれを経験しているような気がしたんだ。」COMPLEX

またミュージックビデオは、失恋の普遍性をどうビジュアルで表現するかにこだわりを持って作ったそうです。

「あの曲を書いたとき、私は失恋の普遍性を表現しようとしたんだ。誰もが経験することだから、それをどうビジュアルで表現するか。」COOLS

「フィルムを使っているので、ちょっとアナログな感じもするね。ノスタルジックで温かみがありつつも、ちょっと冷たいテーマがあるからこそ、みんなが惹きつけられるんだと思うよ。」Coog Radio

2.Butterfly

リリース:2018年3月9日

Away from it all again
(もう一度全てから離れよう)
Away from my troubles and my sins
(私の悩みや罪から離れ)
Away from the fears inside
(心の中の恐怖から離れ)
Away from the tears I try to hide away
(私が隠そうとする涙から遠く離れて)

と歌うこの歌は、自分の人生で何がしたいのかよく分からなかったときに、「期待に応えなきゃ」と思ったところからインスピレーションを受けて書かれたものだそうです。

「Butterflyは、人生の不確実性と自己を理解するための社会的圧力についての正直な歌なんだ」Getmybuzzup

どこか背中を押してくれるメッセージが込められていて、ゆったりとしたサウンドの中に、確固たる自己愛の大切さが説かれている曲ですね。

3.Love Affair

リリース:2019年10月9日
収録作品:『Love Language』

2019年のEP『Love Language』の先行シングル。一目惚れ・片想いをキャッチーかつコミカルに表現していて、特にミュージックビデオでその様子が楽しめます。ビデオの中ではUMI自身がアニメキャラに変身しているのも印象的ですね。

長い間ハーフであることに葛藤を抱えていたというUMIですが、「アニメ」という日本文化を色濃く表すアイデンティティを取り入れているのも注目したい部分です。

4.Lullaby

リリース:2018年12月17日

フロリダ出身でLAをベースに活動するシンガーYEEKをフィーチャーした曲。落ち着きのあるローファイビートが特徴的で、タイトルのとおり「子守唄」要素のある曲です。

スローリーで心地よく、ナイトクルージングにも最適な一曲ですね。

5.Down to Earth

リリース:2019年5月17日
収録作品:『Balance』(Single)

この曲は2019年の2曲入りのシングル作品『Balance』に収録された曲です。オバマ元大統領の夫人であるミシェル・オバマさんのプレイリストにも入ったことで話題になりました。

6.Midnight Blues

リリース:2018年1月17日
収録作品:『Interlude』

4曲入りの作品『Interlude』の2曲目に収録。この曲はジョン・キャメロンの楽曲「Liquid Sunshine」がサンプリングされていて、独特なスピリチュアリティを感じます。また、テンポ感の良いトラックが個人的にドストライクで、彼女の楽曲の中でも個人的に大好きな一曲です。

UMIのキャリアを振り返る

日本人と黒人のハーフとして生を受ける

90年代末、UMIは日本人の母と黒人の父の間に生まれました。「UMI」はミドルネームで、日本語の「海」から来ているそうです。

「自分はアジア人なのか?黒人なのか?」という葛藤を幼い頃から抱えていたそうですが、今では両方のアイデンティティを受け入れ、そんな彼女にしか見出せない部分を表現することが重要になったそうです。

「父方の祖先であるアフリカ系アメリカ人からは、魂とリズムが私を動かしているように感じるの。」okayplayer

「日本側からは、日本のアートや音楽、文化はとても細部にまでこだわっていて、エネルギーや風水にも気を配っていることに気づかされるんだ。」okayplayer

音楽に囲まれて育った幼少期


母はピアニスト、父はドラム、叔母はブルースシンガーという音楽的な家庭で育ったUMI。小さい頃から歌を歌っていて、曲を書き始めたのは4歳〜の頃だそう。

「小さい頃からずっと歌っていたんだ。でも、いつもステージ恐怖症だったから、家族以外には私が歌っていることを知らないの。4歳のときから曲を書いていて、そのころの日記も持っているよ。」COMPLEX

7歳の頃にはクリスマスプレゼントに貰ったギターに触れるようになり、2年ほどレッスンを受けて、基礎を学んだそうです。

「7歳のときのクリスマスに、おばあちゃんがギターを買ってくれたんだ。何をやっているのかわからなかったけど、ギターが好きだったの。」She Shreds Media

基礎を学んだあとは、ひたすらカバー曲を独学で覚えて練習の日々。覚えたコードを組み合わせて、自分の音楽の糧にし、ギターのノウハウを覚えていったそうです。

「私にとってギターはとても大切なもの。自然に表現できるようになったんだ。ギターがなければ、私はここでこうして活動していないでしょう。」She Shreds Media

ネットで曲をアップし、注目を集め始める

「人前で歌うのが怖いんだ」と公言しているUMIは、ライブなどの実際のパフォーマンス活動ではなく、Youtubeチャンネルを通して人前に立ちました。最初の頃はカバー曲をアップしていたそうです。

「高校生のとき、音楽をやりたかったけど、人前で歌うのが怖くてYouTubeチャンネルを始めたんだ。」COMPLEX

Self Control // Frank Ocean (Cover)

その後音楽ストリーミングサイトの「SoundCloud」でも、カバー曲をアップ。そこで徐々に著作権でフラグが立つようになったことから、彼女の中で「オリジナル曲を作ろう」という想いが芽生えたそうです。

「 “これは宇宙が私にオリジナル曲を出し始めろと言っているんだ” と思ったよ。それから、自分の日記から何曲か抜き出して自分でプロデュースしたり、ギターを弾いたり、それをSoundCloudやYouTubeにアップしたりして、時間をかけて成長してきたんだ。」COMPLEX

作った曲は、小さなUSBマイクで録音してアップしていたそうです。彼女の「Friendzone」という楽曲は、実際にUSBマイクで録音して作ったものなのだとか。

Friendzone

LAへ移住し、パフォーマーとしての足場を固める

徐々にチャンネルの登録者を増やし、自信をつけていったUMIは、ロサンゼルスへの移住を決意。南カリフォルニア大学でビジネスを専攻し、在学中にEP『Love Language』(2019)、『Introspection』(2020)、『Introspection Reimagined』(2021)をリリースします。[R]

「LAに来たとき、私は自分の殻を破り、自分自身を発見し、もっと世界と自分を共有したいと思うようになったんだ。個人的には、エネルギーやクリエイションにおいて、よりオープンで外向的になったように思う。」okayplayer

その後クリエイティブな音楽を作るため、学業との両立が難しいと考えた彼女は、大学を中退します。辞めたときは、楽曲「Remember Me」が有名になり始めた頃で、少しずつ夢が叶っていくのを実感したことで「そろそろ大学を辞めようかな」と思ったのだとか。

「学校から離れたことで、より多くの時間を生き、成長し、ただ存在することで自分自身を理解することができるようになったんだ。」issuu

ステージ恐怖症で人前に立てなかった彼女ですが、今では恐怖に縛られることなく、ワクワクした気持ちでステージに上がっているそうです。

2022年にはファーストアルバム『Forest in the City』のリリース。そして初のヘッドライナーツアーを行うなど、パフォーマーとして大活躍しています。

UMIが影響を受けたアーティスト

UMIは影響を受けた人物として、以下のアーティストの名前を挙げています。

Stevie Wonder、Sade、Eryka Badu、Lauryn Hill、SZA、Frank Ocean、D'Angelo、Jhené Aiko、Miguel、etc…

特にFrank OceanとSZAには深い思い入れがある印象で、Frank Oceanは「歌えるラッパー」としてラッパーの概念を変えた人物として。SZAは女性の経験について語る自由奔放さを尊敬しているのだそうです。

「フランク・オーシャンは、ラッパーでありながら、世界で最も素晴らしいメロディーを書く人だと思う。最初に彼の曲を聴いたとき、それまでよりもずっとラップの良さがわかるようになったし、彼の影響でもっとラップを聴くようになったんだ。」COOLS

今後、作ったり、書いたりしてみたい楽曲について聞かれた際はSZAの「20 Something」という楽曲の名前を挙げていました。

「SZAの “20 Something” だね。聴くたびに感情がこもっていて、20代でなくとも彼女の言いたいことが理解できる。プロダクションはとてもシンプルで、彼女の声だけが曲を伝えている。この曲にはインスパイアされるわ。」Coog Radio

SZA – 20 Something

関連記事:SZA(シザ)とは / 情緒溢れるカジュアルなリリシストシンガー

注目の2作品を紹介

『Introspection』

2020年5月にリリースされたUMIの4枚目のEP。ジャムセッションから生まれた曲が多いというこの作品は、Erykah Badu(エリカ・バドゥ)や、D’Angelo(ディアンジェロ)の楽曲「Feel like Makin’ Love」にインスパイアされているのだそうです。

「Introspectionはディアンジェロの “Feel like Makin’ Love” にインスパイアされたもので、聴いてみるとベースやドラムのヴァイブが似ているのが分かると思うわ。」EUPHORIA.

D’Angelo – Feel Like Makin’ Love

また、それまでの作品の中でも特に内面に目を向けた作品で、『Introspection』がリリースされるまでの数年のUMIの成長を反映した作品となっています。

「Introspectionは、私の内なる旅を映し出したもの。自己表現においてこれほど正直だったことはないんだ。そして、最高の癒しと成長は内面から生まれるということを思い出させるものとなってくれればと思っているわ。」Youtube Introspection The Movie

この作品の延長線上にある物語を表現したショートムービー『Introspection 🦋 The Movie』も公開されているので、是非チェックしてみてください。

Introspection 🦋 The Movie

『Forest in the City』

2022年5月26日リリース。UMIの初のフルレングス・アルバムです。「Forest in the City」というタイトルからも滲み出ていますが、「都会のノイズに疲れた現代人を癒す音のオアシス」のようなものをリスナーに届けたいという想いがあるそう。

前作『Introspection』がUMIの内面を掘り下げたもの(パンデミックによって世間でも人々が内省的な時期だったことも反映されている)だったのに対して、『Forest in the City』では、より外側へと意識を向けた作品だそうです。人々に共感し、癒しを与える要素が散りばめられています。

「この世界に存在することは大変なことで、ノイズに満ち溢れているわ。私自身それを感じていたので、音のオアシスになるようなアルバムを作りたかったの。都会のどこにいても、聴くだけで自然界に戻れるような。内側に存在する平和を思い出させてくれるような このアルバムがあなたにとって薬になりますように🌿💛。」UMI Instagram

音楽を通じて感じらるUMIのアイデンティティ、どこにいても自然や公園にいられるような感覚を『Forest in the City』で味わってもらいたいそうです。

私は人を癒すために音楽を作っているのであって、その裏には深い意図があると思う。それがなかったら、音楽を作っていても魂が満たされないような気がするんだ。それが人の役に立つとわかっているからこそ、 “これをやっていてよかった、毎日ワクワクしながらやっている” という気持ちになれるんだ。okayplayer

最後に

UMIを紹介させていただきました。『Forest in the City』のインタビューでは、「最近では日本人と黒人のアイデンティティの良さをより実感した」的なことを語っていて、『Forest in the City』ではジャンルに縛られることなく、音楽へのアプローチがユニークになっていったのだそうです。

彼女は日本の良さを「ディテールへのこだわり」と言っていているのが特に印象的でした。日本に当たり前に住んでると分からなくなっちゃいますが、確かに細かいサービス精神、配慮みないなものは基本的にしっかりしてるし、漫画・アニメ・ゲームのアプローチしかりスゴイものがあるよなと。

こうして日本文化の良さを再確認できてよかったです(笑)。自分も良い方向に活かしたいなと。

今回はここまでです。最後までお読みいただきありがとうございました!

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Reference

COMPLEX「UMI Is a Neo-Soul and R&B-Inspired Artist Creating Space for Healing
Eda Yu」

COOLS「MEET UMI, THE R&B SONGSTRESS WHO SWEARS BY HER MORNING MEDITATION」
COOG RADIO「Interview: UMI Talks the Power of Affirmations, the Exploration of Self, and Creating with Friends」
Getmybuzzup「UMI EXPORES LIFE’S UNCERTAINTIES IN NEW LOFI SINGLE “BUTTERFLY” [AUDIO]」
okayplayer.「First Look Friday: UMI on Making Music That Heals」
She Shreds Media「UMI and the Collective Healing Power of Music」
issuu「UMI: The Full Moon Songwriter」
EUPHORIA.「UMI」
BRIGHT LIFE「INTERVIEW WITH SINGER AND SONGWRITER UMI」
VOGUE「Here Come The Youth – The Young Breakthrough Musicians Making Noise In The Music Industry」
THE B-SIDE「UMI TALKS ACTIVISM, FRANK OCEAN, AND REMAINING AUTHENTIC」
Rated R&B「Stream UMI’s New EP ‘Introspection’」
Rolling Stone「UMI’s Peaceful Soul: ‘I Can Be Whatever I Want to Be’」
Genius「UMI」

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