Lizzo – Special (feat. SZA) を考察&解説 / 誰もが持つ自分の特別な価値を教えてくれる歌
2022年7月15日リリース。Lizzoの4枚目のアルバムのタイトル曲「Special」。その後、2023年2月9日にリリースされたSZAをフィーチャーしたリミックスバージョンの「Special」の歌詞の内容を主に、考察&解説していきます。
LizzoとSZAが「あなたは特別」と勇気づけてくれる曲で、思わず目頭が熱くなってしまうような、そんな一曲です。
(※本記事は筆者の感想文が含まれます。あくまで考察としてお読みいただければと思います。)
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Lizzoの「Special (feat. SZA) 」はどんな曲?
この歌は、自分自身や他者を受け入れ、愛することの大切さを中心としたメッセージを伝えています。
現代社会でのプレッシャーや他者からの評価に疲れた人々へのエンパワーメントの歌とも言えます。LizzoとSZAは、自分らしさを大切にし、他者の痛みや経験を理解することの重要性を歌詞を通じて伝えています。
また、Lizzo自身が非難された経験に基づく歌でもあり、「自分が特別な存在であること思い出させてくれるような曲を書こう」と思ったことがきっかけで生まれた曲だそうです。
「『Rumors』の後、たくさんの非難を受けたんだ。それは、『Cuz I Love You』以来、私からの消息がなかったからだと思うの。それが彼らにとって私を攻撃するチャンスだったんだろうね。でも私はその痛みを音楽に変えた。その痛みを利益に変えるの。それを自分のために使うの。だから私自身のために、自分がいかに特別な存在であるかを思い出させてくれるような曲を書こうとスタジオに入ったんだ。2番の歌詞ではこう言ってるんだ、『みんながみんな同じだったらどんな世界か想像できる?彼女が変わりたいってだけで彼女をキャンセルできると思う?彼女の痛みを経験していないのに、どうして石を投げられるんだ?だから私たちはこんなに孤独で、こんなに恥ずかしい気持ちになるんだよ。』私は自分自身をチェックするのと同じ鏡を、人々に向けようとしたんだ。『人々を怪物のように攻撃するけど、実はあなたたちが怪物になってしまったんだよ。』自分らしさを発揮し、成長する場所を誰も与えていない。」genius
SZAと共演するライブパフォーマンスも感動的なので是非ご覧ください。
Lizzoの「Special (feat. SZA) 」のリリックを深読みする
ここからは歌詞のいくつかを抜粋して、曲に込められた想いを紐解いていきます。
SZA/Verse 1:感受性は「超能力」。他者の評価には動じない。
Woke up this mornin’ to somebody judgin’ me
(今朝目を覚ましたら、誰かが批判していた)
No surprise they judgin’ me, don’t know who I’m ‘posed to be
(驚くことじゃない、彼らは私がどうあるべきかを理解してない)
I’m just actin’ up, I’m rash as fuck, and never sayin’ sorry
(私はただ自分らしく振る舞っているだけ。時々思い切ったことをするけど、謝る気はないわ)
Found out in the end that I can only do it for me
(結局のところ、自分自身のために行動するべきだと気づいたの)
You call it sensitive and I call it superpower
(あなたはそれを繊細と呼ぶけど、私はそれを超能力と呼ぶの)
You just lack empathy ‘cause you think it gives you power
(君は共感しないことが自分にとって有利だと考えてるから、他人の気持ちに共感できないんだ)
All I know is only God can judge me
(知ってるのは、私を評価できるのは神だけだってこと)
I don’t hide my heart, I wear it on me
(私は自分の気持ちを隠さず、はっきりと表現する)
SZAは、他者からの評価や期待に縛られず、自分らしさを大切にすることの重要性を歌っています。
他者の評価に対して自分を偽らず、「You call it sensitive and I call it superpower(あなたはそれを繊細と呼び、私はそれを超能力と呼ぶ)」と歌っている部分から、自分自身の特性や個性に自信を持ち、他人の評価に左右されない強さを表現しているように感じました。
「感受性は弱さではなく、むしろ超能力だよ」と、個性の価値や重要性を主張しているヴァースです。
Lizzo & SZA/Chorus:あなたは特別な存在
In case nobody told you today
(もし今日、誰からも言われていなくても)
You’re special
(君は特別なんだ)
In case nobody made you believe
(誰も君を信じてくれなくても)
You’re special
(君は特別なんだ)
Well, I will always love you the same
(私はいつも君を同じように愛してるよ)
You’re special
(君は特別なんだ)
I’m so glad that you’re still with us
(あなたがまだここにいてくれて、本当に嬉しい)
Broken, but damn, you’re still perfect
(傷ついてても、君は完璧だよ)
コーラスでは、自分自身やあなたを「特別」として受け入れ、愛することの大切さを伝えています。
「You’re special(君は特別なんだ)」というフレーズが繰り返され、リスナーに自分を大切にすることのメッセージを強調しています。シンプルですが、力強く、心にグッとくるコーラスです。
コーラス前には「I’m used to feelin’ alone(一人でいることには慣れてる)」「So I thought that I’d let you know(だから、君に伝えようと思ったんだ)」と、感情の共有と繋がりを感じるフレーズも歌っています。
Lizzo/Verse 2:彼女の痛みを経験していないのに、なぜ非難できる?
Could you imagine a world where everybody’s the same
(みんなが同じである世界を想像できる?)
And you could cancel a girl ‘cause she just wanted to change?
(彼女が変わりたいだけで、非難するの?)
How could you throw fuckin’ stones if you ain’t been through her pain?
(彼女の痛みを経験していないのに、なんで石を投げれるの?)
That’s why we feel so alone, that’s why we feel so much shame, hm
(だから私たちは孤独を感じるし、恥を感じるんだ)
Lizzoのヴァースでは、他者の痛みや経験を理解することの重要性について歌っています。
特に「How could you throw fuckin’ stones if you ain’t been through her pain?(彼女の痛みを経験していないのに、なんで石を投げれるの?)」という部分から、他者を評価する前に、その人の背景や状況を理解することの大切さを強調しています。
さいごに
上記のヴァースやコーラス以外でも、「You’re special(あなたは特別だ)」という力強い言葉がが何度も歌われています。
聴いていると自然と元気が出るし、自分らしさを祝福する曲として、後世にも残ってほしいと思う歌でした。
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