SZAの「Snooze」を考察&解説 / 深い困難をも乗り越える愛情

SZAのセカンドアルバム『SOS』の8曲目に収録され、ビルボード・ホット100では11位を記録をした一曲。

今回はそんな楽曲「Snooze」を考察します。歌詞のいくつかを読み解きながら、どんな想いが込められた歌なのかをご紹介。
(※本記事は筆者の感想文が含まれます。あくまで考察としてお読みいただければと思います。)

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「Snooze」のリリックを読む

この曲はパートナーへの深い愛情と、その愛情がどれほどの困難も引き受けられる強さを持っているかや、愛情の深度がどれほど深いかを歌っているラブソングです。

ヴァース1:「あなたのためならなんでも出来る」という強い愛情

Lyric

I’ll touch that fire for you
(あなたのためならその火に触れる)
I do that three, four times again, I testify for you
(それを三、四回も繰り返す、あなたのために証明するわ)
I told that lie, I’d kill that bitch
(あの嘘をついた、あの女を殺すわ)
I do what all of them around you scared to do, I’m not
(あなたの周りのみんなが怖がってやることを私はやる、私は怖くない)
Long as you juggin’ out here for me, I got it
(あなたが私のために戦ってくれる限り、私は大丈夫)
Mobbin’, schemin’, lootin’, hide your bodies
(暴れ回り、策略を巡らし、略奪し、痕跡を隠す)
Long as you dreamin’ ’bout me, ain’t no problem
(あなたが私のことを夢見ている限り、問題ない)
I don’t got nobody, just with you right now
(私には誰もいない、ただ今はあなただけ)
Tell the truth, I look better under you
(正直言って、あなたのそばにいるときの方が私はもっと素敵に見える)

冒頭のヴァースから猟奇的なほどに、彼への愛情を吐露。ほぼ全ての文に「あなた」が用いられ、「あなたのためならなんでも出来る」という強い愛情を表現しています。

コーラス:一瞬も見逃さず、すべての瞬間を大切にしたい想い

Lyric

I can’t lose when I’m with you
(あなたと一緒なら私は無敵)
How can I snooze and miss the moment?
(どうやって居眠りして、その瞬間を逃すことができる?)
You just too important
(あなただけがあまりにも大切)
Nobody do body like you do
(あなたのように魅力的な人は他にいない)
I can’t lose when I’m with you
(あなたと一緒なら私は無敵)
I can’t just snooze and miss the moment
(ただ居眠りして、その瞬間を逃すわけにはいかないのよ)
You just too important
(あなただけがあまりにも大切)
Nobody do body like you do, you do
(あなたのように魅力的な人は他にいない、あなただけ)

コーラスでタイトルの「snooze」というフレーズが登場。スヌーズはスマホの目覚まし機能の一つでよく見ますよね。直訳すると「居眠り」。文字通りの意味を活用しつつも「重要な瞬間や機会を逃す」という感情があるのかなと思いました。

彼に対する強い愛情を「この瞬間」というミクロな視点で表現しつつも、「すべての瞬間を大切にしたい」というマクロな視点として聴いても面白いです。

アルバム『SOS』の2曲目「Kill Bill」は、クエンティン・タランティーノの映画『キル・ビル』からインスパイアされている曲ですが、本曲「Snooze」でも映画の比喩が用いられています。

Lyric

In a droptop ride with you, I feel like Scarface (Scarface)
(あなたとオープンカーで走ると、気分はスカーフェイス)
Like that white bitch with the bob, I’ll be your main one (Your main one)
(そのボブの白い女性のように、私はあなたのメインになるわ)

映画『Scarface』は、1983年に公開されたアメリカの犯罪映画で、主人公のトニー・モンタナは麻薬ビジネスで成功を収め、豪華な生活を送る姿が描かれています。

「そのボブの白い女性のように」と歌っていることから、主人公スカーフェイスの妻であるエルヴィラ・ハンコックと重ねているのではないかという考察もあります。

総合して、彼女が恋人に対してどれだけ深い感情を抱いているかを強調し、曲全体が情熱的な恋愛感情と共に彼への強い献身を表現しています。

サウンド面の豆知識

「Snooze」はR&B界のレジェンドであるベビーフェイスと、プロダクション・デュオ「ザ・ラスカルズ」のクリストファー・リディック=タイネスとレオン・トーマス3世と共同で生み出されました。

SZAは下記のインタビューでこの曲の制作背景を語っています。

この曲は先述した「ザ・ラスカルズ」のレオンの声がビートのサンプルになっているそうで、そこにベビーフェイスがメロディやギターのパートなどを追加し完成したのだとか。

SZAは「私はサンプルが好きなんだよね」と語っていて、前作『CTRL』のトラック「Broken Clocks」もその例として挙げています。(この曲ではRiver Tiberの「West」のヴォーカルがビートのサンプルとなっている。)

以上、SZA – 「Snooze」の考察でした。

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Youtube SZA – Snooze (Lyric Video)

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