SZAの「Snooze」を考察&解説 / 深い困難をも乗り越える愛情
SZAのセカンドアルバム『SOS』の8曲目に収録され、ビルボード・ホット100では11位を記録をした一曲。
今回はそんな楽曲「Snooze」を考察します。歌詞のいくつかを読み解きながら、どんな想いが込められた歌なのかをご紹介。
(※本記事は筆者の感想文が含まれます。あくまで考察としてお読みいただければと思います。)
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SZA – 「Snooze」はどんな曲?
「Snooze」は、2022年12月にリリースされたSZAのセカンドアルバム『SOS』に収録された楽曲。R&Bとソウルを融合させたメロディックなトラックと、SZAの官能的な歌声が特徴です。
この曲はパートナーへの深い愛情と、その愛情がどれほどの困難も引き受けられる強さを持っているかや、愛情の深度がどれほど深いかを歌っているラブソングです。
相手との時間は「うたた寝」することも出来ないほど大切で愛おしいと歌っています。
サウンド面の豆知識
「Snooze」はR&B界のレジェンドであるベビーフェイスと、プロダクション・デュオ「ザ・ラスカルズ」のクリストファー・リディック=タイネスとレオン・トーマス3世と共同で生み出されました。
SZAは下記のインタビューでこの曲の制作背景を語っています。
この曲「ザ・ラスカルズ」のレオンの声がビートのサンプルになっているそうで、そこにベビーフェイスがメロディやギターのパートなどを追加し完成したのだとか。
SZAは「私はサンプルが好きなんだよね」と語っていて、前作『CTRL』のトラック「Broken Clocks」もその例として挙げています。(この曲ではRiver Tiberの「West」のヴォーカルがビートのサンプルとなっている。)
「Snooze」のリリックを読む
ここからは「Nasty」の歌詞の内容を、和訳を用いながら考察していきます。(※繰り返しの部分は省略させていただきます。)
ヴァース1:「あなたのためならなんでも出来る」という強い愛情
I’ll touch that fire for you
I do that three, four times again, I testify for you
I told that lie, I’d kill that bitch
I do what all of them around you scared to do, I’m not
Long as you juggin’ out here for me, I got it
Mobbin’, schemin’, lootin’, hide your bodies
Long as you dreamin’ ’bout me, ain’t no problem
I don’t got nobody, just with you right now
Tell the truth, I look better under you
あなたのためならその火に触れる
それを三、四回も繰り返す、あなたのために証明するわ
あの嘘をついた、あの女を殺すわ
あなたの周りのみんなが怖がってやることを私はやる、私は怖くない
あなたが私のために戦ってくれる限り、私は大丈夫
暴れ回り、策略を巡らし、略奪し、痕跡を隠す
あなたが私のことを夢見ている限り、問題ない
私には誰もいない、ただ今はあなただけ
正直言って、あなたのそばにいるときの方が私はもっと素敵に見える
冒頭のヴァースから猟奇的なほどに、彼への愛情を吐露。ほぼ全ての文に「あなた」が用いられ、「あなたのためならなんでも出来る」という強い愛情を表現しています。
コーラス:一瞬も見逃さず、すべての瞬間を大切にしたい想い
I can’t lose when I’m with you
How can I snooze and miss the moment?
You just too important
Nobody do body like you do
I can’t lose when I’m with you
I can’t just snooze and miss the moment
You just too important
Nobody do body like you do, you do
あなたと一緒なら私は無敵
どうやって居眠りして、その瞬間を逃すことができる?
あなただけがあまりにも大切
あなたのように魅力的な人は他にいない
あなたと一緒なら私は無敵
ただ居眠りして、その瞬間を逃すわけにはいかないのよ
あなただけがあまりにも大切
あなたのように魅力的な人は他にいない、あなただけ
コーラスでタイトルの「snooze」というフレーズが登場。スヌーズはスマホの目覚まし機能の一つでよく見ますよね。直訳すると「居眠り」。文字通りの意味を活用しつつも「重要な瞬間や機会を逃す」という感情があるのかなと思いました。
彼に対する強い愛情を「この瞬間」というミクロな視点で表現しつつも、「すべての瞬間を大切にしたい」というマクロな視点として聴いても面白いです。
アルバム『SOS』の2曲目「Kill Bill」は、クエンティン・タランティーノの映画『キル・ビル』からインスパイアされている曲ですが、本曲「Snooze」でも映画の比喩が用いられています。
ヴァース2:スカーフェイスの映画みたくあなたの一番が私
In a droptop ride with you, I feel like Scarface (Scarface)
Like that white bitch with the bob, I’ll be your main one (Your main one)
Lеt’s take this argument back up to my place (My placе)
Sex remind you I’m nonviolent, I’m your day one (Day one)
We ain’t have shit yet, it was magic, yeah
Smash and grab shit, yeah
Nasty habits take a hold when you not here
Ain’t a home when you not here
Hard to grow when you not here, I’m sayin’
オープンカーに乗ってるとき、まるでスカーフェイスになった気分
ボブカットのあの白人女みたいに、私はあなたの一番の女でいるわ
このケンカを私の家で続けましょう
セックスで思い出させる、私は非暴力主義者で、あなたの一番の存在
何も持ってなかったけど、それは魔法みたいだった
荒っぽいけど魅力的なことをしてた
あなたがいないと悪い癖が出てくる
あなたがいないと家じゃない
あなたがいないと成長するのが難しい、そう言ってるの
映画『Scarface』は、1983年に公開されたアメリカの犯罪映画で、主人公のトニー・モンタナは麻薬ビジネスで成功を収め、豪華な生活を送る姿が描かれています。
「そのボブの白い女性のように」と歌っていることから、主人公スカーフェイスの妻であるエルヴィラ・ハンコックと重ねているのではないかという考察もあります。
–コーラス/繰り返し–
ブリッジ:関係の中で感じる深い悲しみや混乱
Main one ridin’
How you frontin’ on me and I’m the main one tryin’?
How you blame it on me and you the main one lyin’?
How you threatenin’ to leave and I’m the main one cryin’?
Just tryna be your everything
Main one ridin’
How you frontin’ on me and I’m the main one tryin’?
How you blame it on me and you the main one lyin’?
How you threatenin’ to leave and I’m the main one cryin’?
一番の相棒でいるのに
どうして私に嘘ついてるのに、私が努力してるっていうの?
どうして私に責任を押し付けて、あなたが嘘ついてるの?
どうして私を置いていこうとして、私が泣いてるの?
ただあなたの全てになりたいだけ
一番の相棒でいるのに
どうして私に嘘ついてるのに、私が努力してるっていうの?
どうして私に責任を押し付けて、あなたが嘘ついてるの?
どうして私を置いていこうとして、私が泣いてるの?
ブリッジ部分では、彼との関係における不公平さや誤解、葛藤を感じていることを表現。
具体的には、彼女が関係を良くしようと努力しているのに対し、彼が偽った態度を取ったり、責任を押し付けたり、関係を終わらせようとすることに対する彼女のフラストレーションや悲しみが描かれています。
愛しすぎているが故、関係の中で感じる深い悲しみや混乱、努力が報われないことへの苛立ちを表現している部分です。
–コーラス/繰り返し–
まとめ
「Snooze」は総合して、歌い手が恋人に対してどれだけ深い感情を抱いているかを強調し、曲全体が情熱的な恋愛感情と共に彼への強い献身を表現している歌でした。
ストレートで、人間味のある恋愛ソングだと思います。
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