FLOの「Losing You」を考察&解説 / 別れを前向きにするエンパワーメントバラード
ロンドンのガールズグループFLO(フロー)の「Not My Job」に続く曲として発表された「Losing You」。この曲は、別れの痛みを乗り越え、前向きに進むことを歌ったエンパワーメントバラードソングです。
この記事では、「Losing You」の内容を考察&解説。曲の前向きなメッセージやストーリーを紹介します。
(※本記事は筆者の感想文が含まれます。あくまで考察としてお読みいただければと思います。)
FLOのメンバープロフィールなどは以下の記事で深掘っていますので、ぜひ合わせてご覧ください。
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FLOの「Losing You」はどんな曲?
「Losing You」は、恋人との別れを経て、自分自身の強さと独立心を再発見する過程を描いています。
相手の浮気や約束を守らない態度に嫌気が差し、別れる決意をする描写が描かれ、別れた後は「自分一人でも幸せ」であり、「自分自身が強くなった」と感じています。
この曲はライティングキャンプ(アーティスト、ソングライター、プロデューサーが集まって、新しい曲を一緒に作るためのイベント)で書かれたそうで、「ちょっとゆっくりした感じの曲を作りたくて」というところから出来上がったのだとか。
「誰かと別れたけど大丈夫、みたいな感じ」MTV
「他に何もないけど、それでも全然大丈夫。それが私たちの物語の教訓。何があっても、最終的には大丈夫なんだって」MTV
彼女たちは「男なんて必要ない。たとえ必要だったとしても、私たちが主導権を握んなきゃ」と強気な姿勢でいることを応援しているようです。
メロウなバラードですが、女の子たちのエンパワーメントアンセムとしての力強い一面があります。「別れ」がネガティヴなものではなく、自分たちにとってプラスになるんだという点を強調した一曲ですね。
MTVのライブパフォーマンスもあるので是非ご覧ください。
FLOの「Losing You」を深読みする
ここからは「Losing You」の歌詞の内容を、和訳を用いながら考察していきます。
(※繰り返しのパートで歌い手が変わる部分がありますが、今回は歌詞の内容を考察するため、「誰が歌っているか」や繰り返しの部分は省略させていただきます。)
ヴァース1 / 日常の中の失望
Dishes in the sink, I ain’t have no time to think
I don’t even ask you where you been
I know you’re with some other bitch
シンクに皿が溜まっていて、考える暇もないわ
あなたがどこに行ってたかなんて、もう聞かない
他の女と一緒だったのはわかってる
最初のヴァースでは、家事に追われて忙しい歌い手が、恋人がどこに行っていたかを気にすることすらできない状況を描いています。
恋人が他の女性と浮気していることを知っているけれど、彼女はもう恋人を問い詰める気力もなく、それに対してあきらめの気持ちを持っています。
リフレイン / 破られた約束への失望
All these broken promises
You don’t know what loyal is
I’m so done with this
You’re only givin’ ten percent
全部破られた約束だわ
あなたは忠誠が何かを知らない
もううんざりよ
あなたは10%しか努力してないの
リフレインでは、恋人が約束を守らないことや、誠実さが無いことに対する失望が表現されています。
歌い手は恋人がこの関係に対して十分な努力をしていないと感じ、「もうこの状況には我慢できない」と強く感じています。
プレコーラス / 支え続けた過去と我慢の限界
Always lift you up and never let you down
That’s the reason you were keepin’ me around
I couldn’t see myself without you, but look now
I tapped out, I tapped out
いつもあなたを支えて、決して見捨てなかった
それがあなたが私を手放さなかった理由
あなたなしの自分が想像できなかったけど、今見てみて
もう限界よ、降参よ
プレコーラスでは、歌い手がかつて恋人を支えてきたことを振り返り、それが理由で恋人が自分を手放さなかったと述べています。
しかし、今ではその関係に限界を感じ、「もう耐えられない」と訴えています。自分自身が変わり始めていることにも気づいています。
コーラス / 別れを前向きに捉える
Losing you was easier than I thought it’d be
I’m happy on my own
It’s the first time I finally feel at home
Losing you has givin’ me everything I need
I’m happy that you’re gone
For the first time I’m finally feeling strong
あなたを失うのは思ったより簡単だったわ
一人で幸せよ
初めて自分の居場所を感じるの
あなたを失って、必要なものが全て手に入った
あなたがいなくなって嬉
しい
初めて自分が強くなったと感じる
コーラスでは、恋人との別れが思ったよりも簡単であったこと、そして一人でも十分に幸せであることを歌っています。
歌い手は、恋人との別れによって自分に必要なものを全て手に入れ、自分が強くなったと感じている様子。初めて、自分が本当の居場所を見つけたと実感しています。
ヴァース2 / 決別の宣言
Don’t bother callin’ on my phone
I’ll put you straight to busy tone
Ain’t with the games, I’m way too grown
Quit playin’, you don’t want no smoke
電話してこないで
すぐに通話中にするわ
ゲームなんてやらない、大人だから
ふざけないで、揉めたくないんでしょ
2番目のヴァースでは、歌い手が恋人からの連絡を拒絶し、もう子供じみたゲームには付き合わないと宣言。
彼女は大人になったと感じ、恋人に対してもう揉め事を起こさないように求めています。自分の時間や気持ちを無駄にしたくないという強い意思が感じられる部分です。
–リフレイン、プレコーラス、コーラス繰り返しにつき省略–
ポストコーラス / 解放の実感
Losing you
You
You
You (Losing you)
You, ooh-ooh, ooh-ooh
You
You
I finally feel so much better, better
あなたを失って
あなたを
あなたを
あなたを失って
あなたを
あなたを
やっとすごく気分が良くなった
ポストコーラスでは、「あなたを失って」というフレーズが使われており、解放感や前向きな気持ちの強調を感じます。
ブリッジ / 自己価値の再発見
I don’t need you, I’m good by myself (Good by myself)
Gave you heaven now it’s gone to hell (It’s gone to hell)
Heard you missin’ me, oops (Oops), oh, well (Oh, well)
Tryna find another one like me (That’s an L)
あなたなんていらない、一人で平気よ
あなたに天国を与えたのに、今は地獄になった
私を恋しがってるって?あら、そう
私みたいな人を探そうとしてるんだ、無駄よ
ブリッジでは、歌い手が自分一人で大丈夫だと強調し、かつて恋人に与えた幸福が今では地獄に変わったと述べています。
恋人が自分を恋しがっていると聞いても全く気にしない態度を見せ、同じような人を見つけるのは無駄だと断言しています。
–以下、コーラス&アウトロ省略–
最後に
以上、FLOの「Losing You」を考察しました。
「別れを通じて(一見ネガティブともとれる経験を通じて)」、自己価値を再発見する前向きな歌詞には、大いにパワーを貰える気がします。
恋愛の別れにとどまらず、あらゆる不安な経験に置き換えて聴いても良いかもしれません。「動じない」とまでは行かないかもしれませんが、彼女たちの「大丈夫だよ」というメッセージとともに、自己肯定感を高めていきたいです。
ちなみにXGのカヴァーもとても良いので、ぜひ。
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