Cordaeの「Two Tens (ft. Anderson .Paak)」を考察&解説 / 恋愛における責任感と行動力の重要性

メリーランド州を拠点に活動するラッパーのCordae(コーデー)と、カリフォルニア州オックスナードのミュージシャンAnderson .Paak(アンダーソン・パーク)によるコラボレーションソング。2019年の曲「RNP」に続く2度目のコラボレーションで、二人のやり取りがシームレスに行われるキャッチーなラップソングです。

今回はこの「Two Tens」の歌詞や和訳を用いながら、曲の内容を考察&解説していきます。

(※本記事は筆者の感想文が含まれます。あくまで考察としてお読みいただければと思います。)

Cordae「Two Tens (ft. Anderson .Paak)」はどんな曲?

この曲は、二人の魅力的な女性(”two tens”)との出会いや、楽しみを追求することの誘惑と、それに伴う責任や結果について考えることの重要性などを歌った曲です。

また、ノースキャロライナ州ファイエットビル出身のラッパーJ Cole(J・コール)の軽快かつドープなビートもフィーチャーしています。

「スタジオでこれを作ったのを覚えているよ。J Coleのビートを使って延長戦をしていたんだ。”もっとJ Coleのビートはあるか?”ってなった時、”ああ、たぶんね”って感じだった。”もし壊れていなければ、修理する必要はない”って言うだろ?J Coleのビートを使って二人で作業すると、いつも上手くいくんだ。互いにレコードをかけ合って、”さて、次に何をしようか?”となる。お互いを感心させたいと思いながらも、それだけではなく、本当にいい曲を作りたいんだ。それが何よりも大切なんだよ。」Genius Youtube

Cordae「Two Tens (ft. Anderson .Paak)」の歌詞を深読みする

この曲は実際に本人たちの解説があるので、その情報を交えながら歌詞を深掘りしていきたいと思います。

コーラス:Anderson .Paak / 魅力的な二人の女性との出会い

Lyric

Two friends and they both tens, lookin’ nice, uh
(二人の友達はどちらも10点、素敵だね)
Too bent, I should call it quits but I’m not, uh
(かなり酔ってる、やめとくべきだけどやめない)
No chances, we all dance in the light, uh
(チャンスはない、みんなで光の中で踊るんだ)
Tell me, what’s the odds we can all get a bite? Uh (Uh, okay)
(みんなでゲットできる確率ってどれくらい?)

コーラスでは、魅力的な二人の女性(「tens」=10点満点のという意味)との出会いを描写。このシーンは、おそらくパーティーや社交の場での出来事を想像させます。「lookin’ nice」は、彼女たちの外見が魅力的であることを示し、「Too bent」という部分から、かなり酔っている状態でフワフワな感じを醸し出しています。

本来ならその場を離れるべきだけど、「そうしない」という決意を表し、自分たちがどれだけのチャンスを持っているのか、「ゲットできる(関係を持てる)可能性」がどれくらいあるのかを問いかけているようです。

「”みんなでゲットできる可能性って何だろう?”っていうのは、ハウスパーティーとかで、二人組の女の子と遭遇した時の雰囲気を想像してたんだ。フックは簡単に見せかけて、ちょっと詩的な要素を加えるのが好きだよ。」Genius Youtube

ヴァース1-1:Anderson .Paak & Cordae / 過去の経験と教訓

Lyric

The last time we tried that, it didn’t end well
(前にそれを試した時はうまくいかなかった)
Plus, you never know the story that they friends tell
(それに、彼女らの友達が何を話してるかわからないし)
And off the brown liquor, nigga feel like Denzel
(ブラウンリカーで、まるでデンゼルのように感じる)
Out in Washington, in the D.C. with a chocolate bitch
(ワシントンD.C.でチョコレート色のギャルと一緒に)
Lil’ freak bitch get geeked off erotic shit (So what you do?)
(ちょっと変わった子がエロいことで興奮するんだ(で、何したの?))
Shot the club up like Stojakovic (Uh, man)
(ストヤコビッチみたいにクラブを撃ちまくったよ(うん、マジで))

ヴァース1の冒頭では、過去の経験が思い通りに進まなかったことと、新たな出会いに対する期待と不安を感じています。コーラス部分の「みんなでゲットできるか?」というクエスチョンも回収しているようです。

ここでは「以前にも似たような状況があったけど、結果は良くなかった。その女性たちの友達がどんな噂をするかもわからない」と語り、以前のネガティブな経験と、他人の意見や噂の影響を懸念。

そんな中、酒(ブラウンリカー)に酔って勢いづいている状態も描かれ、「自分がデンゼル・ワシントンのように感じている」と自信満々であることも示しています。一時的な自信や無敵感を感じている雰囲気もありますね。

また最後には、バスケットボールの試合で3ポイントシュートを連続で決めるストヤコビッチ(NBAで活躍したセルビア出身の元プロバスケットボール選手)のように、クラブで目立つ行動を取り、注目を集めることを比喩的に表現。

「フックは質問で終わるから、”みんなでゲットできるか?”ってなると、”前にやった時はダメだったよね”という話になる。曲全体が一つの物語みたいなものさ。」Genius Youtube

ヴァース1-2:Anderson .Paak & Cordae / 生活の複雑さと愛に対する深い感情

Lyric

That’s that other shit, payin’ child support through the government
(それはまた別の話だよ、政府を通じて養育費を払ってる)
Joint custody weekends, you can’t touch the kid (Man)
(週末は子供と会えるけど、普段は触れ合うことができない。)
I love this bitch, we gon’ travel and fill up the bucket list
(この子が好きだから、一緒に旅行してバケットリストを埋めていくんだ)
Have ’bout ten kids on the ranch on some southern shit
(牧場で10人の子供を持つのもいいなあ、南部のスタイルで)

ここで話は一旦別の話題へ(Two Tensの女性との進展後の話?真意は不明です)。ここでは子供の親権に関する複雑な状況を説明し、政府を通じて養育費を支払うことや、限られた時間だけ子供と過ごすことに触れています。

離婚や別居した状況を指している雰囲気がありますが、そんな状況にも関わらず、彼女(おそらくは子供の母親)に対する愛情を強調。彼は彼女との関係を楽しみ、一緒に多くのことを経験したいと考えています。

ヴァース1-3:Cordae & Anderson .Paak / お金・距離感・人生について

Lyric

You mean sucker shit, slave to the pussy since you discovered it
(お前はダメな奴だって、それを見つけてからずっとアソコの奴隷だ)
Ten bands on Chanel purse, that’s bad budgeting’
(シャネルのバッグに1万ドルも使うなんて、予算の使い方が悪い)
Plus you niggas always together, it’s mad smothering’
(お前らいつも一緒で、息苦しいぐらいだ)
You simpin’ over bitches, I never thought it would come to this
(女のために情けないことをするなんて、こんな日が来るとは思わなかった)
Why you always mad? I just wanna have fun with it
(なんでいつも怒ってる?僕は楽しみたいだけなんだ)
The winters ain’t bad when you cruisin’ in the summer with—
(夏にクルージングしてる時は、冬も悪くない)

ここでは恋愛におけるお金の使い方や、人との距離感、人生を楽しむことの大切さに焦点を当てています。

恋愛での過度な出費や物質への依存が賢明な選択ではないこと、人との関わり方において適度な距離感が必要であること、日々の生活や人生の中で楽しみを見つけていくことの重要性が感じとれる部分です。

二行目では「シャネルのバッグに1万ドルも使うなんて、予算の使い方が悪い」と、高価なブランド品に多額のお金を使うことは賢い予算管理ではないと強調。感情だけでなく、金銭管理の感覚の大事さを感じさせます。

さらに、「Plus you niggas always together, it’s mad smothering’(お前らいつも一緒で、息苦しいぐらいだ)〜」については、「公然の愛情表現が大嫌いだ」と本人たちもインタビューで述べ、人からの見え方について苦言を呈しています。

「PDAってやつさ。恋人同士がお互いにキスしてるのを見ると、”おい、俺は夕食を楽しみたいだけなんだが”ってなる。部屋を取れよって話だ。」Genius Youtube

最後の部分では、「いつも怒っているよりも、楽しむことに焦点を当てるべきだ」と表現。「夏に楽しい時間を過ごせば冬も悪くない」というメッセージを通じて、季節に関わらず、人生のあらゆる瞬間を最大限に楽しむべきだというメッセージが受け取れます。

ちなみにこの後再びコーラスが流れますが、繰り返すことによって「その夜のエンドレスな可能性と、ただ楽しもうとする気持ち」を強調してるのだそうです。

ヴァース2-1:Cordae / 「長い目で見ろ」というメッセージ

Lyric

See, I’m not tryna be overbearing or give you a lecture
(見てくれ、押しつけがましくしたり説教したりするつもりはない)
I just want you to see this shit from a different perspective
(ただ、違う視点からこのことを見てほしいんだ)
See, every ho is a dog and every dog has its day
(どの女も一時の遊びだってこと、どの犬にもその日が来る)
You can’t be lovin’ on every mutt that be fallin’ astray
(道を迷っている犬に恋してる場合じゃない)

ヴァース2は二人が言い合いになるのも印象的な部分。ここでは情に流されず、もっと大局を見るように促すメッセージを述べているそうです。人生の選択についてもう一度考え直すよう促しています。

特に恋愛において、一時的な魅力に惑わされることなく、もっと長期的な視点で物事を見る重要性を説いているのがわかりますね。

ヴァース2-2:Anderson .Paak → Cordae → Anderson .Paak / 具体的な行動で責任を果たすこと

Lyric

My nigga, watch what you say, how you blockin’ the way?
(友よ、よく考えて話せよ、なぜ邪魔をする?)
You just talkin’, nothing’s comin’ from a logical place
(お前の言ってること、論理的じゃないからな)
I’m kickin’ knowledge today, you gettin’ brolic today
(今日は知識を教える、お前は今日は筋肉をつけるんだ)
Why you payin’ her son tuition? ‘Cause I’m his father today
(なぜ彼女の息子の授業料を払ってるんだ?それは今日は俺が彼の父親だからさ)

ここでは、「現実的に物事を考えること」「感情に流されないようにすること」「時には即座に責任を取ること」の重要性を示しているのだそう。

三行目、「Brolic」という言葉には、「力強さ」や「筋肉質」などの意味がありますが、ここでは比喩的に、「精神的な強さ」や「成長」を意味していると考えておきます。

また、「なぜ彼女の息子の授業料を払ってるんだ?」との問いに「今日は俺が彼の父親だ」と答える事で、責任感や行動力を表現していると考えられます。

つまり、愛情や関係性において、時には具体的な行動で責任を果たすことが必要だという考えを示しているのだと思います。

「愛情表現は、言葉だけじゃなく、行動でも示されるべきだってことを言ってるんだよ。」Genius Youtube

まとめ

先述した「愛情表現は、言葉だけじゃなく、行動でも示されるべきだってことを言ってるんだよ。」というコメントが、この曲の総括になっているように感じます。「楽しもうぜ」という雰囲気と、「責任感」や「行動力」など、コントラストのある内容の歌だと思いました。

以上、Cordaeの「Two Tens (ft. Anderson .Paak)」を考察&解説でした。

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Cordae「Two Tens (ft. Anderson .Paak)」 Soundcloud

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