2022年12月 / 今月チェックした作品を紹介

その月にリリースされたもので、個人的にチェックし、メモしておきたい作品(アルバム・EP・ミックステープなど)をピックアップする記事です。

このシリーズは2022年の5月からスタートしていますが、それ以前にもチェックしていた作品がいくつかあります。また、新譜を探す中で新たに見つけた2022年リリース作品もいくつかあるので、まとめ記事にしています。そちらも是非チェックして頂けたらと思います。


それでは本題です。12月は以下のラインナップとなっております〜。

1.Oliv Blu – 『Handle With Care』


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こちらは11月後半リリース。イリノイ州シカゴの南郊外を拠点とするシンガーソングライターOliv BluのEPです。

Oliv Bluはアメリカの歌のリアリティコンテスト番組『The Voice』のシーズン16に出場し、シーンで広く知られるようになった人物。

まとまったプロジェクトとしては恐らくこのEPが最初の作品です。5曲という短さでも彼女の艶やかな雰囲気がギュッと凝縮されていて、素晴らしい作品だと思いました。

ちなみに彼女はダンサー出身なのだとか。

2.Misha – 『Nocturnal』


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こちらも11月後半リリース作品です。ヘルシンキ在住で、ウクライナにルーツを持つフィンランドの音楽プロデューサーMishaのデビューアルバム。

「宇宙と真夜中のダンスフロアの雰囲気に焦点を当てた」というコンセプティブなアルバムで、ナイトシーンとの相性良さげな一作です。

「夢見ること、運転すること、愛し合うこと、自分を見つめ直すこと、そして気持ちを落ち着かせることなど、夜のさまざまな側面や雰囲気をとらえようとしたんだ」WORDPLAY MAGAZINE

OddiseeやEl PrezなどのMCが時々刺さってくるのも最高です。

3.SZA – 『SOS』


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歌姫SZAの待望のセカンドアルバム。元々2019年の中頃にセカンドアルバムの可能性を示唆していたところから、レーベルとの対立を何度か繰り返した後、前作から5年半という歳月をかけて作り上げられたアルバムです。

アルバムカバーアートは、1997年に撮られたダイアナ妃の写真を彷彿とさせるもので、彼女の写真からインスピレーションを受けたものだと本人も認めています。

SOSのカバーアートは、本来は船舶の上で撮るはずだったそうですが、それに伴って参考にしたリファレンスの中にダイアナ妃の写真があり、採用に至ったのだそう。

「なぜなら、私は彼女が孤立している感じが好きで、それが私が最も伝えたかったことだったからよ。」NME

ヒヤッとするアルバムタイトル「SOS」をはじめ、カバーアートでも表現されている「孤独感」。「心の傷」や「フラストレーション」など、少しダークだけど人間味の強い作品です。

前作『Ctrl』の「もろさ」のような部分から、もう少し自身の「エゴ」的な部分を掘り下げ、独立心を感じさせる「強さ」が垣間見える作品だとも言われています。

「R&Bの代表的なアーティスト」と表現されがちな彼女ですが、今作にはラップ、オルタナティブ・ミュージック、インディー・ロックなどの要素が盛り込まれ、簡単な言葉では一括りにはできない偉大なアーティストだなと改めて感じる次第です。

関連記事:SZA(シザ)とは / 情緒溢れるカジュアルなリリシストシンガー

4.Little Simz – 『No Thank You』


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イギリスのラッパーLittle Simzの5枚目のアルバム。彼女と頻繁にコラボレートしているプロデューサー、Infloがバックアップし、イギリスのシンンガーソングライターCleo Solがボーカルサポートしています。

全10曲のミニマルなアルバムである本作は、発売の1週間前にサプライズ発表。前作『Sometimes I Might Be Introvert』のリリースからそれほど時間が経たないうちにリリースされました。

というのは、2022年の初めに7年間付き合ったマネージャーとの別れを経験したという、最近の出来事への感情が反映されているからでは?と囁かれているため。

自己愛や自己発見がテーマになっているそうです。

5.Emotional Oranges – 『The Juice: Vol. III』


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「Adeleのボーカルコーチ」と「Drakeのオーディオエンジニア」という、類い稀なバックグラウンドを持つ二人で結成されたロサンゼルスのR&BデュオEmotional Orangesの8トラックプロジェクト。

先駆けてリリースされていたアップテンポな「Bounce」や、くつろぎ感のある「Let Me Go」など、充実した内容の作品であります。

6.RINI – 『Ultraviolet』


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オーストラリアのメルボルン出身。ロサンゼルスを拠点に活動するシンガーRINIの新作です。

今作も彼の持ち味でもある、スウィートな雰囲気を基点に構成されていて、より洗練されたスロージャムを堪能できます。

最近、個人的に注目するシンガーのSabrina Claudioと共作したという「Haunt Me」が収録されていたり、さらにのめり込み度の高い作品でした◎。

関連記事:RINIとは / ロマンチック&メロウな歌声のR&Bアーティスト

7.Black Thought & Seun Kuti – 『African Dreams』


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ナイジェリア出身のミュージシャンSeun Kutiと、伝説的ヒップホップバンドThe RootsのラッパーBlack ThoughtのリミックスEPです。

Seun KutiはアフロビートのパイオニアであるFela Kutiの息子でもあり、「アフロビートとヒップホップ、音楽の関係の新しい始まりだ」とも述べられた作品です。

ちなみに、収録されている「Kuku Kee Me(Remix)」は、人気サッカーゲーム『FIFA 23』の公式サウンドトラックに起用されているのだとか。

8.Kool G Rap – 『Last Of A Dying Breed』


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ヒップホップ黄金時代より活躍を広げる、クイーンズのラップレジェンドKool G Rapのニューアルバム。2018年の『Son Of G Rap with 38 Spesh』以来、またソロとしては2017年の『Return Of The Don』以来のアルバムです。

エグゼクティブプロデューサーをNational Hip Hop Museum(ナショナル・ヒップホップ・ミュージアム)が務めたという本作は、AZ、NEMS、Vado、38 Spesh、Royal Flush、Big Daddy Kane、Marley Marl、Doo Wop、Grandmaster Cazなどなど、レジェンドに次ぐレジェンドたちが集結しています。

9.Kamaiyah – 『Keep It Lit』


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カリフォルニア・オークランドのラッパーKamaiyahの新作EP。西海岸の風情がふんだんに落とし込まれたプロダクションベースで進む作品です。

作中で何度かリピートされる「Keep It Lit」というフレーズが、また良い味を出してます◎。

10.Stalley – 『Somebody Up There Loves Me』


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オハイオ州のリリシストStalleyの最新作。「レイドバックしたソウルフルなクルーズ」と公式でも紹介されている通りの作風で、個人的にここ最近のラップ作品の中でも、とりわけグッときた作品であります。

この作品は、レイドバックしたソウルフルなクルーズで、苦労して得た知恵とストリートゴスペルに満ちている。伝統と時代を超越した感覚を両立させた、綿密な職人技の証しである。Bandcamp

ちなみにアルバムタイトルにも想いがしっかり込められているそうです。

「諦めて辞めてしまったり、辛いことがあって落ち込んだりすることは誰にでもあるけれど、誰かが守ってくれているんだということが、このタイトルの由来になってるんだ」ALL HIPHOP

11.Ab-Soul – 『HERBERT』


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カリフォルニア州カーソンで育ち、音楽レーベルTDEのレーベルメイトであるJay Rock、Kendrick Lamar、Schoolboy Qらとのヒップホップグループ「Black Hippy」でもお馴染みのラッパーAb-Soulの新作です。

がこれまで制作した作品の中で最も個人的なプロジェクトだそうで、「家族」「過去の自◯未遂」「ラップの現状とその中での自分の位置づけについて」などが作品に落とし込まれているそうです。

「このアルバムは作るのが一番難しかったんだけど、一番シンプルなアルバムだから、とても重要なんだ。”この作品には比喩はいらない。パンチラインもいらない。比喩もいらないし、オチもいらない、ただ語りたいんだ”という感じだったんだ。」billboard

作品のエンディングトラックをDJ Premierが担当しているのもかなり興味深い点でした。

12.Boldy James & Cuns – 『Be That as It May』


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デトロイトのラッパーBoldy Jamesと、イタリアのプロデューサーでTuff Kong(イタリア・ローマ発の独立系音楽レーベル)のエグゼクティブディレクターであるCunsがタッグを組んだ一作。

ダークなトーンに加え、Cunsの絶妙なビート感の組み合わせがグッドでした。

13.Pete Rock – 『Return of the SP1200, Vol. 2』


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ニューヨーク・ブロンクス出身、史上最高のヒップホッププロデューサーの一人として名高いPete Rockの新作。自身のルーツである伝説のサンプラードラムマシンSP-1200(最初の作品はSP-1200だけで作ったのだとか[R])に立ち返った作品。

ちなみに前作『Return of the SP1200』は現在Apple Musicで聴けるようなので、気になる方は是非。

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