Devin Morrison(デヴィン・モリソン)とは / スムースR&Bの逸材のこれまでを紹介

フロリダ州オーランド出身。スローバックなサウンドスケープを作り出す、シルキー&スムースなR&BアーティストDevin Morrison(デヴィン・モリソン)。

衝撃的なR&Bの最高傑作『Bussin’』では多くのリスナーを魅了し、アメリカのみならず、日本や韓国ヨーロッパのアーティストともコラボレーションする人物です。

本記事ではDevin Morrisonのヒットソング紹介と、これまでのキャリアを深掘り。彼のアイデンティティのルーツに迫ります。

Devin Morrison(デヴィン・モリソン)のプロフィール

名前 Devin Morrison(デヴィン・モリソン)
出身 フロリダ州オーランド
主な作品 ALBUM
・『Bussin』2019

Devin Morrisonはフロリダ州オーランド出身のシンガー/ソングライター/プロデューサー。スムースなR&Bボーカルと、あらゆるジャンルの音楽からインスピレーションを得たヴィンテージライクなサウンドで知られています。

2019年のソロ・デビューアルバム『Bussin’』では、ソウルフルなボーカルパフォーマンスに加え、ソングライター、プロデューサーとしての才能も発揮。シンプルでハイファイなビート、コラボアーティストとの重なり合うハーモニーが心地よく、多くのファンを魅了しました。

東京への在住歴もある彼は、BudamunkやFitz Ambro$eなど、日本に根ざすドープなアーティストともコラボレートしている他、Joyce Wrice、Vanjess、Phonte、Crushなど、アメリカ、韓国のアーティストらともコラボしています。

Devin Morrison(デヴィン・モリソン)の5ヒットソング

1.Yamz (& Masego)

リリース:2021年11月19日

ジャマイカのキングストン生まれで、バージニア州ニューポートニューズで育ちのシンガー/サックス奏者/プロデューサーのMasegoとのコラボレーションシングルです。

トラックはDevin Morrisonと、Masego作品の多くをプロデュースするMichael Daniel Fosterが手がけています。心地よいシンセサイザーとピアノが特徴的で、80年代・90年代の空気を感じさせるレトロ感と、滑らかな質感を持った曲です。

「Yam」は、サンクス・ギビング・デー(Thanksgiving Day / 感謝祭とも呼ばれる)という、11月の第4木曜日を指す祝日に食べられる山芋の砂糖漬け(サツマイモを使う場合もあるそう)のこと。感謝祭ディナーの定番として、黒人の家庭で親しまれているようです[R]。

「Yam」という言葉はこれまでにも、ラッパーのDominoの楽曲「Sweet Potato Pie(1994)」ではエロティックな比喩で、Young Jeezyの楽曲「And Then What(2005)」ではハスリング的な比喩としても用いられていたそう。

本曲「Yamz」でも、Devin MorrisonとMasegoがお金についての話、愛についての話を歌っている点が面白く、遊び心が感じられる一曲でもあります。

関連記事:「トラップ・ハウス・ジャズ」というオリジナルジャンルを確立したシンガーMasegoを紹介

2.With You (feat.Joyce Wrice)

リリース:2019年4月3日
収録作品:『Bussin’』

LAを拠点に活動するシンガーJoyce Wriceをフィーチャーした一曲。お互いの愛を確かめ合う、純粋な恋愛ソングです。

Lyric

No, it doesn’t matter what happens
いいや、そんなことはどうでもいい
You’re terminally adored
あなたは末永く憧れの存在
I’m forever yours,
私は永遠にあなたのもの
I’m head over heels, over you
あなたのことで、頭がいっぱい

上記のブリッジ部分では二人のハモリが柔らかく浸透します。優しくしっとりしつつも、確実なキックとスネアが響くトラックセンスも抜群です。

関連記事:Joyce Wrice(ジョイスライス) / 艶やかな歌声を持つ日系R&Bシンガー

3.Fairytale

リリース:2019年4月3日
収録作品:『Bussin’』

アルバム『Bussin’』の終局を彩る曲。Devin Morrisonの兄であるLakks Mableがボーカルサポートを務めています。

Lyric

He’s not a fairytale (How do you know?)
彼はおとぎ話ではない(どうしてわかる?)
See, I know Him very well
ほら、私は彼をよく知ってる
I ain’t talkin’ ‘bout religion, I’m talkin’ ‘bout a friend
宗教の話じゃない、友達の話だ
Yes, I’m talkin’ ‘bout Jesus (Hey)
そう、救世主の話だ

キリスト教に深く関係するリリックから、ゴスペルへの敬意も感じられる一曲。

アルバムのファーストトラック「It’s Time」に参加しているデヴィンの父David “Dah-Vi” Morrisonが、叔父たちと結成したゴスペル・グループ、モリソン・エコーズ(1970年代のシカゴで有名だったそう)の元シンガーだった歴史を振り返っても、兄弟でこの曲を歌う感慨深さがあると思いました。

4.Nu Beginning (feat. Amber Navran)

リリース:2021年6月1日

デヴィンがツアーに同行した、LAのネオソウル/ソウルジャズトリオであるMoonchildのフロントウーマン、Amber Navranをフィーチャーした一曲。デヴィンの歌声がいつもよりもエモく、アンバーの囁くようなソフトな歌声と、ピアノの音色が優しいサウンドの相性は抜群です。

「僕の人生において様々なことが変化していくこの季節に、この曲はふさわしいと感じた。」bandcamp

5.No

リリース:2019年3月1日
収録作品:『Bussin’』

アルバム『Bussin’』に収録。アルバムのファーストシングルです。リスナー達からも「Deweleのようだ」や「スラムヴィレッジの雰囲気」と好評を博す人気曲で、デトロイトサウンドの質感も醸し出すジャジーな一曲。

彼はスラムビレッジに夢中になっていた兄弟の中で育ったのもあって、本曲にもどこかそんなバックグラウンドが活きているのかもしれません。

本曲はインストもリリースされているので、トラックが気になる方は是非聴いてみてください。

Devin Morrisonのこれまでのキャリアを辿る

音楽一家の三男として育った幼少期

デヴィンは音楽一家の三男としてフロリダ州オーランドに生まれました。彼の父は、彼のアルバムの一曲目「It’s Time」にも参加しているDavid “Dah-Vi” Morrisonで、1970年代にシカゴで有名だったゴスペル・グループ「Morrison Echoes(モリソン・エコーズ)の元シンガーです。

少年時代はバスケ選手を夢見ていたそうですが、祖母の意向もあり、ピアノを習っていたそうです。

「祖母は母にピアノを習わせるように言ったんだ。」Bandcamp

「それが祖母の死ぬ前の最後の願いだった。僕はあまり好きじゃなかったけど、その後12歳の時にビートを作り始めたんだ。」Bandcamp

また、スラムヴィレッジに夢中だったという兄弟の中で育ったデヴィン。兄弟の一人は『Bussin’』の「Fairytale」にも参加するLakks Mableで、優れたヴォーカリストであり、彼もまた自身で音楽を制作しているようです。

「僕の家族は、最初はシカゴやフィリーのような北部に住んでいたんだけど、オーランドの多くの人が持っていないような、すごくいい音楽の趣味を持っていたんだ。」Bandcamp

デヴィンの出身地であるオーランドのシーンは小さく、オーランドのアーティストが世間に出ていくには、フロリダに認められる必要があるのだとか。トラップなど、ポピュラーな音楽の影響力が強く、ソウルフルなアーティストが活躍するには難しい環境だったそうです。

アラバマでの大学生活では有名な合唱団に所属

高校卒業後はアラバマ州ハンツビルにある、オークウッド大学に進学。オーケストラや合唱団のために音楽を作るかたわら、オークウッドの合唱団「Aeolians」にも所属しました。

「初めて本格的に歌ったのが、世界でも有数の合唱団だったんだからファニーだよね。」Bandcamp

本格的なキャリアのスタートは東京へ出てから

アラバマの地を離れたあと、デヴィンは拠点を東京へと移します。

きっかけは日本のゲーム。幼い頃からゲーム好きだった彼は、ナムコの格闘ゲーム『鉄拳3』や『ソウルキャリバー』のゲームや、サウンドトラックにも魅了されたそうです。

特に夢中になったのはSEGAから発売された、ドリームキャストのゲーム『ジェットセットラジオ』で、ヒップホップやファンクの要素を持つサントラにも強く影響されたのだとか。

3分で紹介するDC「ジェットセットラジオ」

「”東京に行きたい”と思わせてくれるゲームだった。美的感覚だけで、”すごくワクワクする。ここが僕の行きたい場所なんだ”ってね。」Bandcamp

東京ではNOVAで英語の講師の仕事、教育関係の仕事を転々としていたそうですが、それらの仕事は好きではなかったといいます。年に三度のクビも経験しており、ライフワーク・ライスワークの面で苦労人でもあります。

「僕は音楽の学校に通っていたし、家族も音楽家ばかりだった。なぜ、こんなところで英語を教えているんだろう。」Bandcamp

そんな苦楽を共にする東京では、彼の音楽人生のキーポイントとなるアーティストFitz Ambro$e、Budamunk、Submerse、Ace Hashimotoらとも親交を深めました。

「Ace Hashimotoは僕のキャリアをスタートさせた人物で、彼がBudamunkを紹介してくれて、僕のキャリアをスタートさせてくれたんだ。」808s & Jazz Breaks

また、Fitz Ambro$eの勧めでフランス人プロデューサーのOnraとも知り合い、「君と一緒にレコードを作りたい」と言われたところから状況は急展開したそうです。

英語の仕事をやめ、ビートを売って生計を立てながら、本格的にアーティストの道へ。この頃から『Bussin’』の制作が始まったそうですが、ビザの関係で帰国を余儀なくされ、舞台はまたアメリカの地へ戻ります。

『Bussin’』のリリース / LAでのキャリアの上昇

帰国後は地元のオーランドには戻らず、ロサンゼルスへと移住。仲間に恵まれたロスの環境は、『Bussin’』を完成させるために最高の環境であり、帰国を余儀なくされた出来事を幸運なものにしました。

「ロサンゼルスは物価が高いから、最初はちょっと大変だった。でも、そこには大好きで尊敬する友人たちがいて、彼らと一緒に仕事をするのは本当に楽しいんだ。」Bandcamp

元々ファンであり、「一緒に遊ぼうよ」と声をかけたら、「いいよ!」と言ってくれたWe Are KING、LAに越して二週間で友達になったJoyce Wrice、Onraを通じて知り合ったTha Dogg PoundのDaz Dillingerなどを客演に迎えた『Bussin’』はついに完成へ向かいます。

Onraの後押しを経て、彼のレーベル”NBN RECORDS”からリリースされた『Bussin’』は瞬く間に注目され、Devin Morrisonの最高傑作として取り上げられました。

『Bussin’』のヒットを機に、LAのトリオMoonchildへのツアー参加や、自身のアメリカ&ヨーロッパツアーも行うこととなり、世界中が認知するR&Bアーティストへの階段を駆け上がりました。

『Bussin’』以降も「P.B.J.」「Yamz」などのヒットソングのリリースや、Budamunk、Joyce Wrice、Vanjess、Phonte、Crushらの作品への参加など、精力的に活躍。自身のインストゥルメンタルシリーズ『Dream Lobby』のリリースなど、彼の音楽活動は現在も多忙を極めています。

最後に

本記事のトップヒットソングの他、いくつかおすすめ曲を紹介しようと思ったのですが、正直Devin Morrisonミュージックはどれも忖度なくめちゃくちゃに良いので、是非聴いてみて下さい。

>>>Devin MorrisonのBandcampページで聴けます

気に入ったものがあれば是非購入して、アーティストの応援もして欲しいと思います!

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Reference

Soulbounce「R&B Is ‘Bussin” Loose On Devin Morrison’s Debut Album」
RINGLEADER「How’d We Miss It | Devin Morrison’s Bussin’ is Gold-School R&B」
Bandcamp「How A Love of Video Games Led To Devin Morrison’s Throwback R&B LP “Bussin’”」
808s & Jazz Breaks「Interview: Devin Morrison」
OTOTOY「90年代R&Bの体現者、注目の新星デヴィン・モリソンとは? ──「パンチライン・オブ・ザ・マンス」 第28回」
genius「Devin Morrison」

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facebook.com/DevinJMorrison

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