
NASが語る3rdアルバム『iam…』に込めた想いとは
初投稿からかなりスローバックな内容になってしまいますが、今回はNASの3rdアルバム『i am』に潜む彼の想いを、雑誌インタビューを参考にいくつか紹介できればなと思います。
NASのアルバム『I am』はラップ・ミュージックを聴いてる友達に向けた
1999年にリリースされたNASのアルバム『i am The Autobiography』は『Illmatic (1994)』、『It Was Written (1996)』に続く3作目のアルバムで、レーベルの公式の説明ではストリート向けのアルバムということでリリースされたものだそう。
雑誌「bmr(1999)」では、アルバムについてこう語った
「今回出すのは、いつもラップ・ミュージックを聴いてる友達に向けてって感じだね。彼らの聴く音楽のレヴェルを高めるためにね」
「bmr(1999年4月号)」NAS
本人曰く「アルバムごとに違うモノを作って、上にあがっていきたい」といった意気込みがあったそう。
『i am』は「クラブ向けに作っていない」とも語るNASは、自分が感じたことについて書いたリリックが、シンプルにクラブ向けの作品にならなかったそうです。
これが意味するところは、当時の彼のありのままが表現されているということなのかもしれませんね。
また、アルバムタイトルである『i am The Autobiography』には「自分が生きていることに感謝している」そして「人は自分が生きていることに感謝するべき」という想いも込められていまして、単純ににこの一言を聞いただけで、アルバム全体の聴こえ方も変わって来そうです。
i amの収録曲を3つほど紹介
Nas Is Like
言わずと知れた名曲。
NASといえばこの曲を思い浮かべる人もいるかもしれませんね。DJ Premierプロデュースの今ではかなり有名な曲であります。
この曲はトラックが先に出来上がり、これを元にNASがリリックを書いたそうです。最終的な仕上げもPremierが行ったという、Premierの魂も籠っている一曲。
Hate Me Now
この曲はNASをトップの座に立たせたくないMCたちとの競争の曲です。理由も無く他人を嫌う、無知な者たちへ向けた曲だそう。
客演には現Sean Combs(ショーン・コムズ)ことPuff Daddyを迎えていますが、当時NASのマネージャーだったSteve Stoute(スティーブ・スタウト)との論争を生んだエピソードがあります。
ミュージックビデオではNASが十字架に張り付けにされていますが、初期の元ビデオにはパフィーが十字架に張り付けられたバージョンがあるらしく、カトリック教徒であるパフィーは「神への冒涜になるのでは」と懸念し、パフィーが十字架に関わる映像を削除するように要求するスタウトに連絡したそう。
しかし、MTVでオンエアされてしまいスタウトを襲撃する事件へと発展したそうです。
You Won’t See Me Tonight
バージニア州ノーウォーク出身のラッパーTimbalandがプロデュースした曲で、NAS本人もTimbalandとの共演は前々から望んでいたそうで、今は亡きアリーヤをボーカルフィーチャーしたこの曲は、
「ホットな曲だよ、早くみんなに聞いて欲しい」
とNAS自身も語っています。
NAS『I am』とは
1999年リリース。ラッパー Nasによる3番目のスタジオアルバム。
Billboard 200では1位でデビューし、初週では47万枚を売り上げるセールスを記録しています。
このアルバムのシングルは上記にもご紹介した「Hate Me Now」と「Nas Is Like」の二曲。
さらに、Mary J. Blige の「My Life」、The Notorious B.I.G.「Juicy」などの制作に関わったプロデューサーデュオTrackmastersや、Nas & AZの楽曲制作を多く務めるプロデューサーL.E.S.などが関わる曲も多数あります。
個人的にはTrackmastersプロデュースの「Dr. Knockboot」もカッコいいと思っております。
出典・参考
アイキャッチ画像
参考
『Today in Hip-Hop: Nas Premieres Controversial “Hate Me Now” Video on ‘TRL’』
『bmr 1999年4月号』