イギリス出身LA在住のシンガー「Sinead Harnett(シニード・ハーネット)」を紹介
イギリス出身で現在はLAを拠点にするシンガーSinead Harnett(シニード・ハーネット)。VanJessやMasegoといった注目のR&Bアーティストをフィーチャーした曲「Stickin」に出会って以降、とても気になっていたアーティストです。
今回はそんな彼女のこれまでの経歴や、作品について。影響を受けたアーティストや、ヒットソングを紹介します。
タイ人の母とアイルランド人の父の間に生まれ、ノース・ロンドンで育ち、LAで活動をするという類稀な経歴を持つSinead Harnettの作品や想いをお楽しみ下さい。
Sinead Harnett(シニード・ハーネット)とは
Sinéad Harnett(シニード・ハーネット)は本名Sinéad Monica Harnett(シニード・モニカ・ハーネット)。1990年生まれ。イギリス出身のシンガーソングライターです。
「熟練」を感じさせる歌声の持ち主であり、自身の成長とともに素直に描写されるソングライティングが、しなやかで独特の香りを醸し出しています。
2011年にグライム音楽のパイオニアであるWileyに見いだされ、アルバム「Chill Out Zone」に収録されている「Walk Away」に参加。
2013年にはBlack Butter Recordsからソロデビューシングル「Got Me」を、2014年にデビューEP『N.O.W』をリリース。この時代には、Disclosure、Ryan Hemsworth、Snakehipsなどとコラボレーションし、ダンスミュージック界で活躍しました。
2016年にセルフタイトルEPを、2017年にはミックステープ『Chapter One』をリリース。
そして、2019年には待望のデビューアルバム『Lessons in Love』を発表。シングル「If You Let Me Love You」はSpotifyストリーム数7000万界を超える大ヒットを獲得します。
2021年にはLucky Daye、EARTHGANG、VanJess、Masegoといった、R&Bシーンに欠かせないアーティストとのコラボレーションも実現したセカンドアルバム『Ready is Always Too Late』をリリース。現在は拠点をイギリスからLAに移し、さらに成熟した歌声を披露しています。
Sinead Harnett(シニード・ハーネット)の8ヒットソング
1.If You Let Me ft. GRADES
リリース:2016年7月28日
収録作品:『Lessons In Love』
デビューアルバム『Lessons In Love』に収録。Spotifyでは700万ストリームを達成した人気曲。
「この曲は、私のソロの旅の大きな一章のように感じる」
と表現していて、この曲を書いていたとき、彼女のメンタルは落ち込んだ状態にあったそう(恐らく人間関係や恋愛の問題で)。
「”If You Let Me”を書いていたとき、私はとても落ち込んでいて、失った関係を修復することが答えだと思っていたの。今振り返ってみると、自分を救うことが本当の幸せにつながることだとわかって面白いわ。」COMPLEX UK
辛い状態を乗り越えた先に見えたのが「自己愛」だったようですね。アコースティックバージョンも素敵なので是非ご覧ください。
2.No Other Way ft. Snakehips
リリース:2014年1月1日
収録作品:『NOW』
デビューEP『NOW』のリードシングルとしてリリースされた一曲。2014年初頭の作品で、デビューしてまもない頃のシニードの歌声が聴けます。
プロデュースはUKのエレクトロニックミュージックデュオSnakehips。ダンスミュージック寄りのアーティストですが、「No Other Way」はしっとりとクリーンなR&Bで個人的にも好きでした。
3.Stickin’ feat. Masego & VanJess
リリース:2020年7月10日
収録作品:『Ready Is Always Too Late』
ナイジェリア系アメリカ人のR&BデュオVanJessと、ジャマイカのキングストン生まれバージニア州のニューポートニューズ育ちのシンガーMasegoをフィーチャーした曲です。
Spotifyなどのストリーミングサービスでも沢山取り上げられていた印象のある曲で、筆者自身もこの曲によってSinead Harnettを知りました。
フィーチャーアーティストの間違いの無さと、トラックの質感で一気に心を奪われましたね。
4.Body
リリース:2018年4月6日
恋人が薬物依存に陥ってしまったが、離れることが出来なくて体を許してしまう。といった内容の少し痛みのある歌です。
1stアルバムリリース以前の曲なので、まだ辛い心境下にいた時期の作品であることが感じられますね。「A COLORS SHOW」の映像も合わせてどうぞ。
5.Take Me Away feat. EARTHGANG
リリース:2020年10月16日
収録作品:『Ready Is Always Too Late』
J.ColeのレーベルDreamvilleに所属するデュオEARTHGANGのJohnny Venusとのコラボレーション曲です。
誰かと一緒に居ることの重要性・心地よさを表現したこの曲は「I want to find some inner peace(心の平穏を求めて)」と歌っています。
爽やかでスムースなMVは、2020年という激動の年から学んだものを2021年へ昇華する内容です。
「私たち全員が自分自身を囲むにふさわしい、愛に満ちたコミュニティを感じられるように力を与えたい。より良い2021年のための祈りであり、聴覚的なハグとでも言うべきものだわ。」Youtube
「聴覚的なハグ」って言葉が出るあたりがリリシストです。
6.Be the One Remix Feat. Col3trane
リリース:2020年3月20日
デビューアルバム『Lessons In Love』の7曲曲目「Be The One (interlude)」のリミックスで、イギリスのR&BスターCol3traneをフィーチャーした曲です。
文字通りインターリュードとして公開されていた本曲、「フルバージョンをリリースして欲しい」と多くの声が上がったため、リミックス版をリリースしたそうです。
7.Lessons
リリース:2018年11月7日
収録作品:『Lessons In Love』
この曲はデビューアルバム『Lessons In Love』の幕開けを飾る一曲で、恋愛の不安で不安定な気持ちを表現しています。
「この曲名でアルバムを始めないわけにはいかないでしょう。とてもぴったり。人生で最も怖いことの一つは、何度も失敗した後に再び愛に弱くなること。傷つくことが分かっていても、どんどん深みにはまっていくのをどうしようもできない。この不安な気持ちが、この曲の全てなの。」COMPLEX UK
アコースティック版もまた違った質感で良いです。
8.Last Love
リリース:2021年2月24日
収録作品:『Ready Is Always Too Late』
2ndアルバム『Ready Is Always Too Late』に収録。シングル(恋人がいない状態)のときに、ふと思う「最後に愛した人」を表現した歌です。
「独身の時はできるだけ毎日を充実させているけど、愛する人に抱かれたことを思い出すような小さな瞬間が忍び寄ってくる。”Last Love”は、前に進むことを祝福する曲なの。」NME
Sinead Harnettを知る3つのこと
1.影響を受けたアーティスト
幼少期、家の中ではエタ・ジェイムス、ホイットニー・ヒューストン、セリーヌ・ディオン、ティナ・ターナーなどが流れていたそうです。
元々ピアノを演奏していたというSinéad。そんな彼女が歌を始めるきっかけとなったのが、ブリトニー・スピアーズの「Baby One More Time」だそう。
「ブリトニーがやったアドリブですごく低い音があって、私はできたけど妹はできなかったのを覚えていて、私は何かを掴んだのかもしれないと思ったの。」GAFFER
Britney Spears - Baby One More Time
また、魂を揺さぶった曲はSamphaの「(No One Knows Me) Like the Piano」という曲だそうで、「辛い時も音楽に引っ張ってもらえた」と語っています。
今まで見てきたライブを振り返って、パフォーマーとして、アーティストとして刺激を受けたものはありますか?ThomasBleach
という質問に対しては、「数えればきりがないわ」と回答した上で、以下のアーティストをあげています。
- Frank Ocean
- James Blake
- Solange
- Sampha
- Beyonce
- Christina
- Jessie J
- Jennifer Hudson
- H.E.R.
2.タイ人の母とアイルランド人の父を持ち、ノース・ロンドンで育った
タイ人の母とアイルランド人の父の間に生を受けた彼女は、母がタイ人であることを理由に容姿をバカにされたり、同級生から人種差別的な言葉を浴びせられることもあったそうです。
その中で「なぜ私はブロンドの友達のようになれないのだろう」と葛藤していたそう。
「今にして思えばそれは本当に馬鹿げたことで、今では自分の血を誇りに思っていてとても幸せ。アイルランド人はとてもフレンドリーで楽しいし、タイの文化はとてもスピリチュアルで心がほっこりする。そういったルーツが私の音楽に反映されればと思っているわ。」HYPEBAE
今ではそんな悩みも思い出となり、この生まれや育ちのルーツは彼女の音楽の礎となっているようです。
3.2ndアルバムはSinaed Harnettの成長と進化を実感できる作品
2021年5月21日リリースの2ndアルバム『Ready Is Always Too Late』。Lucky Daye、EARTHGANG、VanJess、Masegoなど、現行人気アーティストとのコラボも実現した作品です。
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アルバムのテーマは「いつやるのか、今でしょ」
「Ready Is Always Too Late(準備ができてからでは遅いの)」と題するこの作品は、シニードの成長と成熟を象徴しているといいます。「今しかない」という考えから着想を得て「言い訳をせず、今すぐ実行に移そうよ」という想いが込められているそうです。
「”Ready”は言い訳なの。そんなことを言っていたらいつまで経っても出来ないかもしれない。」POPSUGAR
「自分を受け入れて愛せるようになるまでには、とんでもなく時間がかかったわ。だからいつまでも待っているつもりはないし、今すぐにでも実行したいの。」POPSUGAR
「準備が整ってから」「時間に余裕ができたら」「お金が沢山あったら」など似た言い訳は沢山ありますが、彼女の考えはグサッときますね。
2ndアルバムは「自己肯定感」を獲得した先を描いた作品
1stアルバム『Lessons in Love』から約2年の月日を経て、『Ready Is Always Too Late』がリリースされました。ある意味で1stアルバムの続編的なメッセージがあるのが2ndアルバム『Ready Is Always Too Late』なのだそうです。
1stアルバム『Lessons in Love』では自己愛が包括的なメッセージだったと語っています。2ndアルバムでは、「それをやった後に何が起こるのか。愛のレッスンを受けて、それを実践した後の人生はどう感じられるのか」と語っています。Schön!
「1stアルバムには穏やかなエネルギーはあまりなく、もう少し痛みがあるように思うわ。私という人間は、まだ自分の立ち位置を見つけようとしていて、自分の価値観を見つけようとしていた。今回のアルバムでは、曲作りの最後の6ヶ月間は自分に自信が持てて、自分の肌に馴染むことができたと思うわ。」Frontrunner Magazine
まだ苦しみの渦中にいた1stアルバム。この時期には「自己愛」を意識することを重要視していて、2ndアルバムからはその先の景色を描いて「自己価値」を強固なものにしたんですね。
『Ready Is Always Too Late』では「より自信に満ちたトーンが出てきたと思う」と本人は語っています。
また、「ロマンティックなつながり」や「過去の恋愛からの脱却」なども描いているそうです。「ロマンティックなつながり」っていうのは、恋愛に限らず家族や仲間とのコネクションも入るのだとか。
「若い頃は不安や憂鬱に悩まされ、何年も経験するまでそれらが何なのかをよく知らなかったの。だからこそ自分が音楽をどのように発展させていくかということにワクワクしているの。」ThomasBleach
最後に
Sinead Harnettを紹介しました。「より自信に満ちたトーンが出てきたと思う」と語っていたセカンド『Ready Is Always Too Late』ですが、よりR&Bの質感(トラックの質の変化とか)が感じられたのはLAへ移住した影響もあったんでしょうか。
1st良かったんですが、個人的にはセカンドがかなりグッとくる内容で、聴き心地が良かったです。
またニューシングルも出てきているようなので、新たに情報が溜まったらまた記事にしたいと思います。
最後までお読み頂いた方、ありがとうございました。
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