NPR Music タイニーデスクコンサートのススメ【15選】
NPR Musicが主催する、オフィスを背景に様々な著名アーティストがパフォーマンスを行う「タイニーデスクコンサート(Tiny Desk Concert)」。2008年より続く企画で、YouTubeで合計20億回視聴。800を超えるコンサートが存在しています。
そんな数あるタイニーデスクコンサートの中から、是非とも見ておきたい15のおすすめ回を紹介。
タイニーデスクコンサートが気になっていた方は、是非ご覧いただければと思います。
タイニーデスクコンサート(Tiny Desk Concert)とは?
タイニーデスクコンサート(Tiny Desk Concert)は、アメリカの公的・非営利メディア組織であるNPR(ナショナル・パブリック・ラジオ)のプロジェクトのこと。
NPRの主力ニュース番組「All Things Consided」のホストであるボブ・ボイレンのデスクで開催されるコンサートで、ボイレンとNPRミュージック・エディターのスティーブン・トンプソンが2008年に開始しました。
毎回幅広いジャンルのアーティストがデスクに登場し、個性的な演奏を披露。リラックスしたムード、生バンドとの掛け合い、視聴者と距離感の近いパフォーマンスが楽しめます。
タイニーデスクコンサートおすすめ15選
Youtubeプレイリストも作ってるので、連続視聴・鑑賞用に是非!
1.Anderson .Paak & The Free Nationals
Set List | Time |
1.Come Down | 0:00~ |
2.Heart Don’t Stand A Chance | 3:47~ |
3.Put Me Thru | 7:36~ |
4.Suede | 11:58~ |
カリフォルニア州オックスナード出身のミュージシャンAnderson .Paak(アンダーソン・パーク)と、彼のバックバンドThe Free Nationals(ザ・フリーナショナルズ)のパフォーマンス。
この時期は、ちょうどアンダーソン・パークがアルバム『Malibu』を引っさげて全米を回っていた頃です。タイニーデスクコンサートでは、アルバムのシングル曲「Come Down」でスタートし、『Malibu』の楽曲を中心に演奏を披露しています。
2曲目「Heart Don’t Stand A Chance」のギタリストのJose Riosによる味付けが最高です。
2.Mac Miller
Set List | Time |
1.Small Worlds | 0:00~ |
2.What’s the Use? (Feat. Thundercat) | 5:42~ |
3.2009 | 11:41~ |
このビデオが公開された約一ヶ月後に、悔しくも亡くなってしまったペンシルベニア州ピッツバーグ出身のラッパーMac Miller(マック・ミラー)のパフォーマンス。彼の生前最後のアルバム『Swimming』の曲を初めて披露する場となった記念すべきステージです。
2曲目「What’s the Use?」ではマックの親友であり、ベーシスト/ミュージシャンのThundercat(サンダーキャット)をフィーチャーし、ファンキーなヴァイブスを披露。7:45辺りの掛け合いもハートフルで良いです。
マック自身が”自分にとって大切な曲”と言う3曲目の「2009」では、ストリングス(ヴァイオリン等の弦楽器)を入れ、感慨深く歌い上げています。
3曲通して物語があるような、そんなコンサートです。
3.Tyler, The Creator
Set List | Time |
1.Boredom | 0:00~ |
2.See You Again | 8:40~ |
3.Glitter | 13:16~ |
カリフォルニア州ラデラハイツ出身のラッパーTyler, The Creator(タイラー・ザ・クリエイター)のパフォーマンスです。
タイニーデスクにとって初めての夜間パフォーマンスとなった回。いつもとは違う照明に包まれた異質な空間は、タイラーとそのチームが特別にリクエストしたものなのだとか。
披露されたのは2017年のアルバム『Flower Boy』からの三曲です。終始コーラスデュオとのセッションがあるタイニーデスクコンサートならではのオリジナルサウンドに仕上がっています。
4.Daniel Caesar
Set List | Time |
1.Japanese Denim | 0:00~ |
2.Get You | 4:39~ |
3.Best Part (feat. H.E.R.) | 10:50~ |
カナダ・オンタリオ州オシャワ出身のシンガーDaniel Caesar(ダニエル・シーザー)と、彼のバンドの登場です。ピアノによりかかった砕けた姿勢で、歌うことだけに集中した様子がエモいパフォーマンス。タイニーデスクコンサートの真骨頂がこの雰囲気で語られていると思います。
グラミー賞の「BEST R&B PERFORMANCE」を受賞したH.E.R.とのコラボソング「Best Part」をはじめ、今でも不動の(2022年2月現在でも)人気の曲を容赦なく歌い上げています。
「Best Part」で全員が調和する場面は鳥肌×100。
関連記事:質感のある歌声を持つカナダのシンガー「Daniel Caesar(ダニエルシーザー)」を紹介
5.H.E.R.
Set List | Time |
1.Going (Interlude) | 0:00~ |
2.Feel A Way | 2:53~ |
3.Hard Place | 6:50- |
4.Focus | 12:30~ |
Daniel Caesar(ダニエル・シーザー)の回でもゲストで登場し、それがきっけで再びタイニーデスクコンサートに招かれたカリフォルニア・ヴァレーホ出身のシンガーH.E.R.。2本のギターとローズ・ピアノを操り、彼女の代表曲を披露しています。
今でこそ素顔を見せる機会の多い彼女ですが、この当時はまだ「匿名性の高いアーティスト」として、大柄なサングラスをトレードマークとして活動しています。一見冷静に見えるルックスからにじみ出る情熱は、この時期だけにしかみられないものかもしれませんね。
関連記事:H.E.R. / 匿名でデビューした若きR&Bアイコンの正体
関連記事:H.E.R.のデビューアルバム『Back of My Mind』に込められた想いとは
6.Masego
Set List | Time |
1.Tadow | 0:00~ |
2.Nayhoo | 4:57~ |
3.Queen Tings | 8:19~ |
4.Black Love | 12:42~ |
5.I Do Everything | 16:50~ |
ジャマイカのキングストン生まれ、バージニア州ニューポートニューズで育ちのシンガーMasego(マセーゴ)のパフォーマンスです。
様々な楽器を操り、サックス奏者ーひいては「マルチインストゥルメンタリスト」としての肩書も持つ人物。一曲目の「Tadow」では友人のコメディアン、Lorenzo Cromwellをマイクに立たせるというジョークを交えつつ、ジャムセッションに近いジャジーな演奏を披露しています。
秀美な歌声、サックス演奏、ボトルジャグリングなど、多彩な一面をみせる自由なプレースタイルがみられるのも彼のパフォーマンスの見どころであります。
関連記事:「トラップ・ハウス・ジャズ」というオリジナルジャンルを確立したシンガーMasegoを紹介
7.Erykah Badu
Set List | Time |
1.Rimshot | 1:28~ |
2.Green Eyes | 3:45~ |
「ゴッド・マザー・オブ・ソウル」とも称され、シンガーの大きな潮流を作った草分け的な存在であるErykah Badu(エリカ・バドゥ)のパフォーマンスです。
1997年のアルバム『Baduizm』のアウトロに収録された「Rimshot」で演奏を開始。その後、このパフォーマンスの核となる「Green Eyes」でソウルフルな歌声や、幅広い音楽アレンジ、バンド演奏を余すところなく披露しています。
エリカ・バドゥのスピリチュアルなビジュアルにも注目したいコンサートですね。
8.Snoh Aalegra
Set List | Time |
1.Love Like That | 0:00~ |
2.I Want You Around | 3:00~ |
3.Whoa | 6:20~ |
4.Fool For You | 9:45~ |
5.Find Someone Like You | 12:11~ |
現在はロサンゼルスを拠点に活動する、イラン系スウェーデン人シンガーのSnoh Aalegra(スノー・アレグラ)。ルックスの美しさに匹敵する高らかな歌声で、一曲目「Love Like That」からバラード臭強めに進行するコンサートです。
2019年のアルバム『Ugh, those feels again』からの楽曲多めでお送りされるこのライブは、「ゆったり」というよりも「うっとり」してしまう、とろみのある質感を覚えます。
9.Summer Walker
Set List | Time |
1.Session 32 | 0:00~ |
2.Wasted | 2:42~ |
3.Girls Need Love | 5:24~ |
4.Riot | 9:13~ |
5.Playing Games | 11:29~ |
アトランタ出身の新星シンガーSummer Walker(サマー・ウォーカー)。デビューアルバム『Over It』では、女性R&Bアーティストとして史上最大のストリーミング・デビューを獲得した逸材でもあります。
彼女の雰囲気ぴったりなライティングの後押しもあって、終始エモーショナルな香りが漂うコンサートです。
内気で有名な彼女は、ライブの最後にも「ここに来られて本当に嬉しいけど、社交不安があるんだ…」と語っていますが、そんな飾らない姿も魅力の一つだと思います。
膝の上のピンクのぬいぐるみも地味にキュート。
関連記事:Summer Walker( サマー・ウォーカー)/ 内省的なR&Bの新星歌姫
10.Jhené Aiko
Set List | Time |
1.Lotus (Intro) | 0:00~ |
2.Stranger | 1:47~ |
3.Do Better Blues | 3:33~ |
4.To Love & Die | 5:32~ |
5.Born Tired | 7:19~ |
6.W.A.Y.S. | 9:27~ |
7.Summer 2020 | 11:28~ |
8.Eternal Sunshine | 15:11~ |
ロサンゼルス出身のスターJhené Aiko(ジェネイ・アイコ)のタイニーデスク(ホーム)コンサート。パンデミックの影響でオフィスからは一旦離れ、アメリカ国内をはじめ、世界各地のパフォーマンスを披露する形となっています。
ピアノ、ベース、シンギングボウル、パーカッション、ハープ、チャイムと、彼女の魅力的な声を引き立てる楽器要素が満載。音楽のタッチはどこかスピリチュアルでヒーリング的です。
音楽で癒やされる18分間であること違いなし。
関連記事:Jhene Aiko(ジェネイ・アイコ)とは / 誠実な歌声で魅せるヒーリングシンガー
11.Thundercat
Set List | Time |
1.Lava Lamp | 0:00~ |
2.Friend Zone | 3:21~ |
3.Them Changes | 6:30~ |
Flying Lotus、Kendrick Lamarなどの楽曲の後押しをはじめ、メインアーティスト/ベーシストとしても名高いThundercat(サンダーキャット)のパフォーマンスです。
今回のタイニーデスクコンサートでは、奇抜なネオンピンクのパーカーを着て登場。そんな見た目とは裏腹に、鮮やかなベースラインとしなやかな歌声を披露しています。
セットリストはアルバム『Drunk』からの名曲3曲で、特に「Them Changes」での指さばきは圧巻。サンダーキャットワールドをとくとご覧いただければと思います。
12.DJ Premier & The Badder Band
Set List | Time |
1.KRS-One – “KRS-One Attacks” | 0:00~ |
2.KRS-One – “MC’s Act Like They Don’t Know” | 2:11~ |
3.Das Efx – “Real Hip-Hop” | 4:03~ |
4.Nas – “Nas Is Like” | 6:45~ |
5.Jeru The Damaja – “Da Bichez” | 7:44~ |
6.Gang Starr – “Step In The Arena” | 10:30~ |
7.Gang Starr feat. M.O.P. – “1/2 & 1/2” | 12:00~ |
8.Royce Da 5’9 – “Boom” | 15:00~ |
9.Gang Starr – “Moment Of Truth” | 19:06~ |
ヒップホップシーンで数々の名曲を生み出した、伝説的な存在のDJプレミアと彼のツアーバンドであるBadder Bandとのコラボセッション。DJが指揮する初めてのコンサートだそうです。
プレミアが携わった名曲9曲がスペシャルにアレンジされていて、常に熱気のある雰囲気に包まれています。ドラム、ホーン、エレクトリックベース、どれも常に引き立っていて、楽曲に新たな趣が生まれているのがまじまじと体験できます。
ラストにGangstarrのパートナーである、亡きGuruのライムが印象的な「Moment of Truth」で締めくくったのも感慨深いですね。
13.Chika
Set List | Time |
1.Industry Games | 0:00~ |
2.Songs About You | 4:00~ |
3.Balencies | 8:56~ |
4.Crown | 13:02~ |
5.Intro | 15:50 |
アラバマ州出身のラッパーChika(チカ)。デビュー作である2020年の『Industry Games EP』はグラミー賞「最優秀新人賞」にノミネートされています。タイニーデスクコンサートでは、その『Industry Games EP』から5曲を披露。
シンプルな楽器構成で、4人のバックボーカルと見事に調和するChikaのシームレスなラップ&ボーカルは秀逸です。
自在に行き来するラップ&ボーカルや、ボーカルレンジの広さが素晴らしく、完全に耳をロックされます。
14.The Isley Brothers
Set List | Time |
1.Between the Sheets | 0:00~ |
2.Footsteps in the Dark | 2:09~ |
3.For the Love of You | 5:08~ |
4.That Lady | 10:00~ |
ソウル、ファンク、ブラック・コンテンポラリー、現代のアーティストに与えた影響は数しれないであろう偉大な音楽グループThe Isley Brothers(アイズレー・ブラザーズ)の登場。NPRも「ホームコンサートシリーズが正式に新たな高みに到達した」とコメントするほど、注目のコンサートであること間違いなしです。
名曲「Between the Sheets」を皮切りに、計4曲を披露。「Between the Sheets」では、この曲をサンプリングした故Notorious B.I.G.の1994年のシングル「Big Poppa」の一節
「I love it when you call me Big Poppa(Big Poppaと呼ばれるのは最高の気分だ)」
と、ささやきを入れているのも粋です。
また、4曲目の「That Lady」を披露する前にロナルド・アイズレーは、
「昔ジミ・ヘンドリックスが家に住んでいて、演奏していたことを思い出すよ。そのあと、このレコードをサンプリングしたケンドリック・ラマーという若者と出会い、グラミー賞を受賞したんだ。」The Isley Brothers: Tiny Desk (Home) Concert
と、時代を超えた彼らのキャリアを振り返るコメントもしています。
濃密な13分間。必見・必聴です。
15.Common At The White House
Set List | Time |
1.I Used To Love H.E.R. | 0:27~ |
2.Letter To The Free | 5:19~ |
3.The Day The Women Took Over | 11:02~ |
4.Little Chicago Boy | 16:50~ |
オバマ大統領の任期終了間近だった2016年10月4日。
パンデミック以前にはNPRのデスク以外でコンサートを行うことはなかったタイニーデスクコンサートですが、この時だけは特別でした。ホワイトハウスからの誘いで実現した「ホワイトハウス・ライブラリー」でのタイニーデスク・コンサートです。
ラッパーのCommon(コモン)を主軸に、ロバート・グラスパーやデリック・ホッジなど仲の良いメンバーでの編成バンドが集結。代表曲「I Used To Love H.E.R.」でスタートしたあと、2016年のアルバム『Black America Again』の3曲を披露しました。
コモンが選んだ曲は、新しい奴隷制度としての投獄を扱い、女性が世界を支配する時代を想像し、彼が生涯尊敬する男性、父親を称えるものでした。Common At The White House: NPR Music Tiny Desk Concert
オーセンティックな背景をバックに、アート、ソウル、政治的なメッセージが混ざり合う、ひと味違うタイニーデスクコンサートです。
最後に
最近はパンデミックの影響で、あのお馴染みのオフィスでのコンサートは見られませんが、場所の制約が無くなったことでより幅広いアーティストのパフォーマンスがみられるようになってますね。
とはいえ、個人的にはあのオフィス空間の雰囲気も込み込みで好きなとこもあったので、またあの場所でのコンサートがみられるのを期待したいところです。
冒頭にも書きましたが、800ものコンサートがこれまでにストックされてるので、是非NPRのチャンネルを覗いて見るのもおすすめです。