Ella Mai(エラメイ) / 若くしてグラミー賞を獲った気鋭のR&Bシンガー

ロンドン出身。現在はLAを拠点に活動し、「Boo’d Up」や「Trip」などのヒット曲。また、セルフタイトルアルバム『Ella Mai』がヒットし有名になったシンガーElla Mai(エラメイ)。第61回グラミー賞では、「最優秀R&B楽曲賞(Best R&B Song)」も受賞しました。

今回はそんなElla Maiを紹介。プロフィール、経歴、ヒットソング紹介を軸に、彼女についてを深堀りしていきます。

シンガーElla Maiについて気になっていた方は是非ご覧になってって下さい。

Ella Mai(エラ・メイ)

名前 Ella Mai(エラ・メイ)
本名 Ella Mai Howell(エラ・メイ・ハウエル)
生年月日 1994年
出身 イギリス・ロンドン
主な作品 ALBUM
・『Ella Mai』2018
・『Heart on My Sleeve』2022
EP
・『Time』2016
・『Change』2016
・『Ready』2017

Ella Mai(エラ・メイ)は1994年11月3日生まれ。イギリス・ロンドン出身。ロサンゼルスを拠点に活動するシンガーソングライター。代表曲「Boo’d Up」をはじめ、色気のある歌声と、共感を得るリリックで多くのリスナーの支持を獲得している歌姫です。

2016年1月にDJ Mustardが運営するInterscope配給のレーベル”10 Summers”と契約。同年翌月にEP『Time』で正式にデビューを果たし、11月にEP『Change』。その4カ月後にEP『Ready』と立て続けに作品を発表。『Ready』に収録されたラブバラード「Boo’d Up」は多くのリスナーに届き、第61回グラミー賞「最優秀R&B楽曲賞」を受賞しました。

2018年10月には待望のデビューアルバム『Ella Mai』をリリースし、ビルボード200では5位を記録。第62回グラミー賞「最優秀R&Bアルバム」にもノミネートされました。

権威のある賞・ノミネートを獲得した作品の後押しで一躍有名になった彼女は、2022年5月にセカンドアルバム『Heart on My Sleeve』をリリースし、ビルボード200で初登場15位を獲得しました。

名前の由来

「Ella Mai」という名前は、女性トップ・ジャズ・ボーカリストの一人である、Ella Jane Fitzgerald(エラ・フィッツジェラルド)に因んで名づけられたそうです。

Ella Mai(エラ・メイ)の10ヒットソング

1.Boo’d Up

リリース:2018年2月 
収録作品:『Ready』/『Ella Mai』

「Boo’d Up」は、US Billboard Hot 100では5位を獲得した曲であり、第61回グラミー賞(2019)の「ベストR&B賞」と「最優秀楽曲賞」にノミネートされています。(ちなみに前者である「ベストR&B賞」は見事受賞)ソーシャルメディアやナイトクラブで人気を高めたのと、ケラーニのツアー同行でその相乗効果を高めたそうです。

また、ローリング・ストーン誌は「過去10年間でブレイクした女性R&Bシンガーによる最大のシングルの1つ」と評価し、Billboard誌はこの曲を年間3位の曲として選ばれています。

2.Trip

リリース:2018年8月
収録作品:『Ella Mai』

デビューアルバムのセカンドシングル曲。「Boo’d Up」に並ぶ彼女の人気曲です。

謝り方や「私が悪かったの」という方法を知っていることをテーマにした曲を作りたいと思ったの。Genius

恋愛において考えすぎてしまったことへの後悔を表現しているというこの曲。「Tripした(夢中になった)相手の愛が大きすぎて、バカげた行動をしてしまう」と、恋愛の麻薬的な部分を表現した歌です。

しかし彼女は「この状況が必ずしも悪いものではない」と述べていて、「私の場合は良すぎる状況が怖くて、あえて悪い状況にしようとしている」といった旨のコメントもしています。良い関係性ゆえの防衛反応だと。

解釈は様々にあると思いますが「愛の大きさゆえの、辛さや心地よさ」が、「Trip(夢中になる)」という言葉になぞらえてクリエイティブに表現された歌だと思いました。

3.Shot Clock

リリース:2019年1月
収録作品:『Ella Mai』

デビューアルバムからの一曲で、ゴールドディスクも獲得した曲です。

この曲は「”関係が時間切れになる”という最終段階の通告」を示していて、ミュージックビデオではバスケットコートでの差し迫るカウントダウンを強調しながら関係を比喩するような作品となっています。

4.She Don’t Ft. TyDolla$ign

リリース:2016年
収録作品:『Time』

ロサンゼルスのシンガーTy Dolla $ign(タイ・ダラー・サイン)をフィーチャーした、デビューEP『Time』からのシングルリリースの曲です。

この曲は別れの歌なのですが、Ella Mai自身は、

「この曲について私にとって重要なのは、「傷ついた」という別れの歌ではなく、『あなたの好きなようにしなよ、私は前に進むから』という事実があること」FADER

と語っています。

5.10,000 Hours

リリース:2016年11月
収録作品:『CHANGE』

この曲は2nd EPの『CHANGE』に収録されている曲です。YoutubeのMV再生回数も6000万回を超える人気の曲で、「10,000 Hours(10,000時間)」という曲名の通り、

「1秒の積み重ねで1分になり、やがて10,000時間になる。お互いの関係や愛を築くのにゆっくりと時間をかけましょう」

といった内容のラブソングです。

6.Naked

リリース:2017年11月
収録作品:『Ella Mai』

アルバム『Ella Mai』に収録された、DJマスタードプロデュースの曲です。

Lyric

Can you love me naked?
(裸の私を愛してくれる?)

と歌うこの曲は「ありのままの自分を受け入れて欲しい」という願いの込められた曲です。

「人生には『受け入れられるために自分を変えなければならない』と思わせる要因が沢山あるけど、その必要はないということを言いたかったの。」FADER

7.Whatchamacallit ft. Chris Brown

リリース:2018年10月
収録作品:『Ella Mai』

アルバムからのサードシングルとしてリリースされた曲で、人気シンガーのクリス・ブラウンをフィーチャーした一曲です。

クリスは私のアイドルの一人。そんな彼が私のデビューアルバムに参加してくれるなんて、私にとっては正気の沙汰じゃないわ。もし16歳のときに言われていたら『ありえない!』と思ったでしょうね。Billboard

この二人はクリスの「This X-Mas」という曲でもコラボしています。

Chris Brown – This X-Mas ft. Ella Mai

8.Not Another Love Song

リリース:2020年10月

人気を博したセルフタイトルデビューアルバム『Ella mai』以来のニューシングル。彼女が「より成熟した自分を表現している」と語る曲です。「Boo’d Up」から、より大人になり、ラブソングに向き合う姿勢も変わったそうです。

「私は26歳になろうとしているけど、若い女性としてさまざまなシナリオを経験して、それを違った形で表現することができるの。”Boo’d Up”は、非常に無邪気なラブソングね。”Not Another Love Song”は、もう少し大人のスタンスで愛を歌っているの。”Boo’d Up”をレコーディングしたのは2017年で、私が22歳の時だった。その時とはずいぶん変わったわ。」Variety

Boi-1da、Jahaan Sweetによるトラックの質感もこれまでと比べて、よりアダルトな雰囲気が感じられる一曲です。

9.Gut Feeling ft. H.E.R

リリース:2018年10月
収録作品:『Ella Mai』

アルバムの12曲目に収録。カリフォルニア州ヴァレーホ出身のR&BアーティストのH.E.R.との初のコラボレーション曲です。

Ella MaiはH.E.R.とのコラボについて「彼女のファンであり、嬉しく思う」とコメントしています。

どちらもR&Bの若手アーティストですが、女性同士が団結することが重要だと思う。特に物語をコントロールできる若い黒人女性は、(メディアは)常に私たちを対立させようとするからね。私は純粋に彼女を素晴らしいと思っているの。彼女はとても才能があると思う。だからこのアルバムにH.E.R.が参加してくれて嬉しかった。Billboard

関連記事:H.E.R. / 匿名でデビューした若きR&Bアイコンの正体

10.Meek Mill – 24/7 feat. Ella Mai

リリース:2018年11月30日
収録作品:『Championships』 by Meek Mill

ペンシルバニア州フィラデルフィア出身のラッパーMeek Millのアルバム『Championships』に収録。こちらはエラメイが客演参加した曲です。時間や週、曜日になぞらえて、お互いが親密になることについて歌っています。

トラックにはビヨンセのヒット曲「Me, Myself and I」をサンプリング。個人的にも好きな曲のサンプリングなので、このコラボはグッと来ました。原曲も是非!

Beyoncé – Me, Myself and I

Ella Mai(エラ・メイ)の経歴

育った環境

イギリス生まれの彼女は、幼少期、家庭内ではジャズやレゲエが流れる家庭で育ったそうです。また、エリカ・バドゥのようなソウルミュージックやアリシア・キーズのようなR&Bを聴いて育ったそう。幼少期から芸能学校に通っていたものの、作詞作曲は後になってから始めたのだとか。

12歳のときニューヨークに引っ越し、高校卒業のタイミングで一度ロンドンに戻るものの、現在の活動の拠点であるロサンゼルスへやがて移ることとなります。

初期には『Arize』というグループで活動していた

2014年、『Arize』というトリオのメンバーとしてイギリスのオーディション番組「The X Factor」に出演。

Arizeのライブ映像

めちゃくちゃ歌上手いですね。

グループでの活動を糧にしつつも「一人でいることの創造力」の重要性についても、後のインタビューで語っています。

「グループで活動した経験は多くの事を教えてくれたと思っているけど、創造性を完全にコントロールして自分の言いたいことを正確に伝えるためには、一人でいること、孤独であること、地に足がついていること、自分の言いたいことを正確に知っていることが絶対に必要だわ。」nbga

オーディション後グループは解散し、その翌年にSoundcloudに4曲のオリジナルソロのEPを公開。(このEPかな?)

このEPがDJ Mustardの目に留まったことで、DJ Mustardのレーベル”10 Summers Records”と契約を果たすこととなります。

契約後はリリースラッシュ

2016年2月にデビューEP『Time』をリリース。EPに収録された、LAのシンガーTyDolla$ignをフィーチャーした曲「She Don’t」も話題に。

デビューEP『Time』

さらに2016年11月には2nd EP『Change』、2017年2月に3rd EP『Ready』をリリース。

2nd EP『Change』

3rd EP『Ready』

そしてこの『Ready』に収録の楽曲「Boo’d Up」がSNSを中心に広がり大ヒット。Ella Maiの代表曲となり、彼女の人気を押し上げます。

Boo’d Up(LIVE)

また、この頃シンガーKehlani(ケラーニ)のSweetSexySavageワールドツアーにも同行し話題になっています。

関連記事:Kehlani(ケラーニ)/ 成長し続けるリアリスティックR&Bアーティスト

デビューアルバム『Ella Mai』が大ヒットを記録


2018年10月12日には、デビュー・セルフタイトルアルバム『Ella Mai』をリリースし、アルバムには、

  • クリス・ブラウン
  • ジョン・レジェンド
  • H.E.R.

といった面々が参加。「Boo’d Up」や「Trip」などの曲も後押しとなり、初週に69,000枚の売り上げを記録するという大ヒット。第62回グラミー賞(2020)では「ベストR&Bアルバム」にもノミネートされました。

最後に

今回は新進気鋭のシンガー、Ella Mai(エラメイ)を紹介させていただきました。

あるインタビューで彼女は、”R&Bの役割”について「忙しい現代で、ホット一息つくための、シンプルな時間を作るためのもの」的な事を話していました。それが彼女にとってのR&Bの好きな部分でもあるのだと。

確かに、せわしなく時間が流れている中でも、R&Bが流れてくるとゆったりとした空間が生まれる気がします。まさに彼女はそのような居心地の良い空間を作れるアーティストの一人だと思いました。

おすすめ記事:次世代ネオ・ソウルヴァイブスを持つシンガー Ari Lennoxを紹介

Reference

Genius「Trip」
FADER「Ella Mai dresses down for love in her new song “Naked”」
FADER「Ella Mai Is Totally Over Ty Dolla $ign In Her Debut Video “She Don’t”」
Billboard「Ella Mai On Her Self-Titled Album Going Gold & Wanting Lauryn Hill to Remix ‘Gut Feeling’」
VARIETY「Ella Mai Graduates From ‘Boo’d Up’ to Grown Up With ‘Not Another Love Song’」
NYLON「ELLA MAI MAKES MUSIC THAT WE CAN’T STOP LISTENING TO」
Rolling Stone「Watch Ella Mai Issue Timed Ultimatum in New ‘Shot Clock’ Video」
HOTNEWHIPHOP「Time EP」
nbga「AN INTERVIEW WITH ELLA MAI | “I KNOW WHERE I FIT IN AND IF THAT’S NOT THE NORM THAT’S FINE”」

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